◆本当は規格外の強さだった!上弦の伍の玉壺
今回の上弦の鬼は弱かったのか──? と言えばそうとも言い切れないでしょう。
第九話で早くも倒されてしまった玉壺も、位からして妓夫太郎よりも上位の存在です。その前提の通り玉壺は規格外の能力の持ち主でした。
玉壺の能力は魚や水に関連する能力でした。玉壺の生み出した金魚から放たれる無数の針は毒性を持っており、そのワザと合わせて相手を水の中に封じ込める「水獄鉢」は一時は無一郎を一度は戦意を喪失させるコンボ技となっていました。
その上、凶悪なのが玉壺はまだ真の姿を隠している点にあります。脱皮を経た蛇のような姿になると異常な素早さと頑強さになり、恐ろしいのが触れたものをなんでも鮮魚にしてしまうという反則級の即死技「神の手」をあわせ持っていることにありました。触れるだけで勝ちが確定する異様な能力だったわけで、妓夫太郎よりも上の位にいるのも納得でした。
ただ、玉壺に関しては相手が悪かった。鬼殺隊の無一郎が強すぎました。これに尽きます。柱の中にも強い・弱いと差はあるようで、遊郭編の第8話「集結」では宇髄天元が才能を妬まれた場面で、岩柱の悲鳴嶼を得体のしれない存在としたり、刀を握ってふた月で柱になった無一郎のことを思い浮かべる瞬間が登場しています。
この場面からも無一郎の圧倒的な天才ぶりが柱の中で一目置かれることを示しており、天元と無一郎の間に実力差を感じさせました。
そして、その実力差が今回の『刀鍛冶の里編』でお披露目されたわけです。無一郎は、一度は死を覚悟するも記憶を取り戻して以降は玉壺を圧倒。鋼鐵塚が時間稼ぎしてくれたり、小鉄が空気を送ってくれるといった援護はあったものの、戦力としては単身で玉壺を倒すことに成功しました。
むしろ彼らをかばって大怪我を負った上での勝利だったので、やはり単純に無一郎が強すぎたことが表れています。意味深に登場している“痣”にも勝利の秘密はありそうですが、それにしてはたった一人で上弦を倒したのは天元が才能差を感じるのも納得です。