◆「ボーナス争奪戦」のボーナスの金額ってどれくらいだったの?
実は両津のボーナスの金額も、先述した通帳のシーンで給与とともに具体的な数字が記帳されています。その額、82万8,862円。亀有商店街で、争奪戦を繰り広げるに相応しい大金といえます。
一般的に、公務員のボーナス額は次のような計算で、毎年2回(夏季・冬季)支払われます。
・(基本給+扶養手当+地域手当)×支給月数
基本給(平均給与月額)に扶養手当と地域手当(物価の高い地域で勤務する公務員へ支払われる手当)を足した額を基本として、その金額に定められた支給月数(●ヵ月分)を掛けたものが、個人のボーナス額です。
基本給は役職や年齢などによって、手当は家庭の事情や居住区域などにそれぞれ影響されますので、他者とまったく同じになることはほとんどありません。
両津の平均給与月額は、既に32万円前後であることが作中で分かっており、確かめられる限りの数字で平均を取ると、約32万1,525円です。ほぼ警察官の平均月収と同じだといえます。続いて手当と支給月数の部分も考えていきます。
葛飾区は地域手当が支給される区域であることが、葛飾区条例第9号 で分かっており、「地域手当の月額は、給料、管理職手当及び扶養手当の月額の合計額の『100分の20』の範囲内の額とする」との記載もあります。
巡査長は正式な役職ではないため管理職ではなく、また、両津は独身なので扶養手当は発生しません。
以上のことをふまえて考えると、給料約32万1,525円の「100分の20」の6万4,305円が地域手当の額となります。
計算式のうち、基本給を32万1,525円、扶養手当を0円、地域手当を6万4,305円として、あとはこれらの合計金額の38万5,830円を何倍すればいいのかを決めると、巡査のボーナスの金額を求める式が完成します。
公務員の給与法によると、現在の地方公務員はボーナス1回で2.2か月分の金額がもらえます。そのため、巡査のボーナスを求めるときは次の式が最も近い数値となるでしょう。
・38万5,830円×2.2=84万8,826円
巡査のボーナスの予想金額は、実際の両津のボーナスより2万円高くなっています。
実際に、両津は始末書を提出するたびに給料を減らされたり、現物支給になったりしているエピソードもあります。そう考えると、実際の支給額から2万円低くなっていても納得できます。相当イレギュラーなので、警視庁の担当者はいつも大変なのではないでしょうか。
〈文/粂原もみじ 編集・監修/水野高輝(マネーメディア コンテンツディレクター)〉
※サムネイル画像:Amazonより