遠藤周作さんの小説を原作に、マーティン・スコセッシ監督が制作した映画『沈黙―サイレンス―』が現在上映中です。
海外の人が、日本を舞台にした映画を作ったのを日本人の私たちが観ると、“日本人だからこそ”また特別な思い入れが生まれます。
実は今年、アニメ映画界でも日本が舞台の海外制作作品の公開が期待されているものがあります。
LAIKAの最新作、『Kubo and the Two Strings』(邦題:KUBO/クボ 二本の弦の秘密)です。
2月26日に発表予定の米国アカデミー賞の長編アニメ部門でも『ズートピア』に続いて受賞が期待されている作品でもあります。
まだ具体的な日本公開日は発表されていないものの、映画の配給を行なっているGAGAさんのサイトではすでに近日公開表記がされている状態です。
http://www.gaga.co.jp/
近日公開の項
http://www.gaga.co.jp/cinemas/detail/882/comingsoon
今後、日本でより注目の作品になることが期待される『Kubo and the Two Strings』。
いざHOTな話題になった時、「知ってました」ヅラができるよう、今回は『Kubo and the Two Strings』をちょっと掘り下げて紹介します。
コマ撮りアニメでお馴染みのLAIKA最新作
この『Kubo and the Two Strings』の制作を行なっているのはLAIKA。
これまでに『コララインとボタンの魔女』、『パラノーマンブライスホローの謎』などのコマ撮りアニメーションを制作してきた会社です。
コマ撮りアニメとは、実際の立体物をちょっとずつ動かしながら、その写真を何枚も何枚も何枚も撮り続けて、その写真を順番に映像に残すことで、人形がさも動いているかのように見せるアニメのことです。ストップモーションアニメとも呼ばれています。
あまりピンと来ない人も『チェブラーシカ』や『どーもくん』などの人形アニメ、『ピングー』や『ニャッキ!』などのクレイアニメをイメージしてくれれば、なんとなくわかるのではないでしょうか。あれらもコマ撮りアニメです。
そんなコマ撮りアニメ界の中でも、LAIKAは特に有力な会社。
各種の映画賞で大ヒット3DCGアニメーション相手に、コマ撮りアニメで立ち向かい、さまざまな賞を勝ち取っております。
この最新作『Kubo and the Two Strings』も、映画賞において過去最高と言わんばかりの大健闘を現在見せてくれています。
先日発表された英国アカデミー賞では『ファインディング・ドリー』、『ズートピア』、『モアナと伝説の海』といったディズニーのヒットタイトル3作品が同時にノミネートされる中、唯一ディズニー外からアニメ賞にノミネート。
そして、それらのディズニー作品を抑えて、アニメ賞を勝ち取るという快挙を果たしたのだから、見事としか言いようがありません。
ざっくり『Kubo and the Two Strings』
本作はタイトルにもあるように、少年“Kubo”が主人公。
三味線抱えたKuboちゃんが、あるものを探す冒険に出ることになる物語です。
ある意味、王道とも言えるようなファンタジー冒険譚なのですが、旅先では、猿や昆虫人間といった奇妙な仲間が登場したり、これまでのLAIKA作品同様、ダークな雰囲気を漂わせた描写やキャラクターの登場にも注目です。
一部CGも使われていますが、基本コマ撮りアニメなのでどのキャラクターも立体物を制作して、それを動かして作られております。
意外と珍しい日本の描き方
『Kubo and the Two Strings』の特徴と言えるのがなんといっても“日本が舞台であること”。
絶妙なのが、そのモチーフの選び方です。
日本という色付けが、定番とも言えるようなファンタジー冒険譚をまったく新しい体験に描き変えているところが見事です。
外人が日本を描く時は、やたら“忍者や芸者”が出てくるイメージがありますが、本作は一味違います。
しっかり日本人が見ても、「これは見たことなかった!」と言えるような日本っぽいディティールがこの映画では取り上げられています。折り紙、クワガタ虫、日本猿などといった、一風変わってるけど言われてみれば確かに日本っぽいモチーフが本作ではピックアップされています。
中でも“折り紙”の使い方が非常に印象的!
主人公のKuboの特別な能力として本作では折り紙が効果的に使われているのですが、その使われ方がまるで魔法の様なのです。
和のモチーフが上手い具合にファンタジーとして昇華されている様は、なんとも不思議な感覚です。
「日本という個性が、新しい“色”としてこんな機能をもたらせるんだ!」という発見が本作にはありました。
日本人ですらそんな感覚になれるのだから、世界の人にとっても、なかなかのセンス・オブ・ワンダーだったのではないかと想像させられます。
日本でもコマ撮りアニメの作品はなかなか限られているだけに、『Kubo and the Two Strings』の上映は最新のコマ撮りアニメを体験できる機会としても非常に良いチャンス。
一コマ一コマ撮影したものをつなげたコマ撮りアニメの映像は、3DCGアニメとは違った機微を持った映像になっているので、そんなところも気にして見ていただけたら良いのではないかと思います。
今のところ、具体的な公開日は明かされていない以上、まだ不安は残るのですが、近々『Kubo and the Two Strings』は日本の劇場でのお披露目の日が発表されることでしょう!
今回Kuboちゃんのことを初めて知ったという方も、これを機に、続報を気にしてみて下さいね。
――ここまで煽っておいてなんですが、劇場公開を期待させておきながらNetflix限定配信となってしまった『カンフー・パンダ3』みたいなパターンもあるので、もし公開されなかったらゴメンネ。
海外アニメの日本公開のハードルは意外と高いのです・・・。
(Edit&Text/ネジムラ89)
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