2020年冬アニメの一つである『虚構推理』は「恋愛」、「伝奇」、「ミステリ」が上手く組み合わされた珍しい作品であるため、徐々に注目を集めています。
画像引用元:https://kyokousuiri.jp/ より引用掲載 ©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会
主人公たちの恋愛模様を描き、可愛らしい妖怪が登場し、さらには推理まで披露してしまう『虚構推理』とはどんなアニメなのでしょうか?
今回は作品の要素である「ミステリ」「恋愛」「伝奇」に注目し『虚構推理』の面白さを紹介していきたいと思います。
虚構の推理を披露する『虚構推理』ってどんなアニメ?
画像引用元:https://kyokousuiri.jp/story/ より引用掲載 ©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会
『虚構推理』は妖怪たちが持ち込んでくる様々なトラブルを、主人公が虚構の推理を使って解決する話です。物語は妖怪たちの相談役である岩永琴子と妖怪から恐れられる少年・桜川九郎を中心とした推理モノとなっています。
推理モノといえば、『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』のように迷宮入り事件の解決や、殺人事件の解決などの、どこか緊張感のある真面目な作品を思い浮かべるのではないでしょうか。また、タイトルが漢字でのみ記載されていることから硬派な雰囲気の作品を思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかし、『虚構推理』は推理モノでありながら意外にもコミカルな一面をみせるアニメでもあります。
コミカルなアニメとなっている原因は、主人公たちの雰囲気と妖怪たちにあります。一般的に妖怪と人間の関係とは、どんなものを想像しますか?
妖怪に怯える人間や人間たちにイタズラをする妖怪など、人間よりも妖怪の方が強いと連想する人が多いのではないでしょうか。
ですが、『虚構推理』では、どこか自信が無さそうな妖怪や、人間や他の妖怪に怯える妖怪などが登場する反面、主人公である琴子や九郎はどんな状況でも余裕の雰囲気を出しています。九郎は殆どの場合で慌てたりはしませんし、琴子も大抵のことは予想通りといった感じです。また、逆に妖怪たちは九郎のことを恐れ、琴子の命令はよく聞いています。
このようなギャップがコミカルな雰囲気を出しているのでしょう。
画像引用元:https://kyokousuiri.jp/story/ より引用掲載 ©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会
また、『虚構推理』はただ妖怪が登場するだけアニメではありません。タイトルにもあるようにちゃんと推理も登場します。しかし、普通の推理ではなく、人を納得させるための虚構の推理であることがこの作品の特徴です。
『虚構推理』では、一つの真実を虚構の推理から導きだしていきます。人によってはこう解釈するだろう、こう解釈すればここに矛盾ができる、次はここに矛盾が……のように始めの推理はただの虚構そのものですが、徐々に真実に近づいていきます。また、真実ではなくともその人にとって、そうであればいいと考える虚構の真実を見つけ出し事件を解決する点もこの作品の特徴ともいえるでしょう。
ですが、その推理の過程はやや強引な場合もありツッコミたいシーンもありますが、そこに目を瞑れば比較的気楽に観ることができる面白い推理モノだと言えるでしょう。
琴子と九郎の関係は? 今カノと元カノにはさまれる三角関係?
画像引用元:https://kyokousuiri.jp/story/ より引用掲載 ©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会
『虚構推理』で注目したいポイントは妖怪や推理だけではありません。主人公たちの恋愛模様にも注目です!
九郎には、今カノと元カノがいます。元カノが登場しようが今カノがいるなら、三角関係などなりようもなく決着がつきそうですが、これが意外にも面白い三角関係になっています。
そもそもの3人の関係は……
琴子は『虚構推理』の物語が始まる前、九郎に出会い一目ぼれをしてしまいます。しかし、当時の九郎には年上の彼女である弓原紗季がいました。紗季は大人っぽく年齢よりも幼くみえる琴子とは真逆のタイプで、また九郎ともお似合いにもみえたため、琴子は想いを告げずチャンスを待つことに…。
画像引用元:https://kyokousuiri.jp/story/ より引用掲載 ©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会
そんな中チャンスがきたのは一目ぼれから2年後、九郎と紗季がある事件をキッカケに別れてしまった時です。その話を聞いた琴子は隙かさず傷心の九郎に告白をしますが、呆気なく断られます。しかし、それで諦める琴子ではありませんでした。諦めずに猛アタックを続けた結果いくつかの事件を経て、九郎と琴子は付き合うことになりました。
・アニメ前日談 九郎の彼女は紗季
・アニメ第1話~3話 九郎フリー
・アニメ第4話以降 九郎の彼女は琴子
となっているわけですね。
九郎と琴子は付き合っているといっても、九郎の琴子に対する扱いは結構雑で、琴子が一方的に九郎へ好き好きアピールをしている状態です。
九郎が紗季にベタ惚れだったことや、今も彼女を心配していることを知っている琴子は、紗季をライバル視するようになります。妖怪が苦手な紗季相手に様々な嫌がらせや、うっかり助けてしまった時などは助けるんじゃなかったと言ってしまうほどに……。
また、紗季自身も九郎に対して未練がありそうな一面もみせます。琴子が九郎とのエピソードを語る度に自分の方が彼を知っているアピールを欠かしませんし、琴子が九郎と仲良くするのを良しとしません。
このように今カノと元カノである2人はことある毎に、九郎をはさんで対立してしまいます。攻めきれない琴子と諦めきれない紗季とどっちも大切にする九郎の三角関係と言えるのではないでしょうか。
一見決着がついているかのようにみえる三角関係もこうしてみると意外と面白いものです。
<PR>
妖怪たちの存在がアニメの雰囲気を面白くしている!
画像引用元:https://kyokousuiri.jp/story/ より引用掲載 ©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会
この作品がコミカルで明るい雰囲気なのは、“妖怪”たちがいるから。
このアニメに出てくる妖怪たちは無害でイイやつばかりなのです。『虚構推理』に登場する妖怪は妖怪というより人間っぽい存在でもあります。
この作品には人間のように読書を楽しむ妖怪、人に化けて生活している妖怪が登場します。このように気性の穏やかなである一面や危険な存在に近づく琴子を心配する一面、心配するわりに怖くて逃げてしまう一面など、どこか人間っぽさを感じさせます。一般的な妖怪のイメージであるおどろおどろしい様子とは全く別モノです。
画像引用元:https://kyokousuiri.jp/story/ より引用掲載 ©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会
また、この物語は妖怪たちの相談から始まります。
彼らから寄せられる相談は「あの妖怪が怖いから退治してくれ」といったものや、「こんなことをしたか知りたい」など可愛らしいものですが、そこに人間が絡み物語が動くことになるのです。
事件発生時は妖怪たちも解決のために、あらゆる手助けもしてくれます。
画像引用元:https://kyokousuiri.jp/story/ より引用掲載 ©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会
時には琴子のタクシー代わりになり、時には監視係や連絡係になるなど事件解決のために働く妖怪たちはどこか可愛らしいです。
――『虚構推理』は推理モノが好きな人よりも、可愛い生物やコミカルなキャラクターが好きな人の方が楽しめるアニメといえるでしょう。また、妖怪たちはアニメ版よりも漫画版の方が数多く登場しており、より表情豊かに表現されています。『虚構推理』の妖怪たちの様子をより詳しくみたい方は漫画版も読んでみると面白いと思いますよ!
(Edit&Text/天乃ひる)
©城平京・片瀬茶柴・講談社/虚構推理製作委員会