『劇場版 響け!ユーフォニアム 〜誓いのフィナーレ〜』(以下、『響け!』)を観に行って感想記事を書かせていただいた時に、ふと思ったことが一つ。
今年、京都アニメーション(以下、京アニ)制作のアニメが無いな? と。
毎年1〜2作品のアニメを元請けとして出している京アニなのですが、今のところ2019年はアニメの制作・放送予定が無いのです。
なんでだろう? と思って色々情報を見返していたところ、あることが分かりました。
なんと京アニ、今年だけで3本のアニメ映画、来年も2作品のアニメ映画の公開が予定されているんです!
そこで本記事では、今年〜来年に公開される映画がどんなものなのかを見ていこうと思います。
今までも京アニは映画を作り続けていた
京アニといえば『らき☆すた』『けいおん!』の日常系、『涼宮ハルヒシリーズ』『フルメタル・パニックシリーズ(第1作はGONZO製作)』などのライトノベル作品、『Kanon』『CLANNAD』など2010年までのkey作品など、社会現象にもなった有名アニメを多く夜に出した制作会社として知られていますよね。少なくとも上記のうち一つは観たことがある! という人もいるのではないでしょうか。
2010年以降は自社のライトノベルレーベル(KAエスマ文庫)から『中二病でも恋がしたい!』『無彩限のファントム・ワールド』などのアニメ化が増えています。
傾向としては、人気作となったアニメは2期が放送され、その後映画化に続くというケースが多いようですね(2期無しで映画化されたのは『たまこまーけっと』『境界の彼方』)。
逆にアニメ化されていない映画は、日本アカデミー賞の優秀アニメーション賞を受賞した『聲の形』くらいです。
なお京アニは2015年にも『境界の彼方』(2作品)と『Free!』原案のライトノベル『ハイ☆スピード!』と3本のアニメ映画を手がけています。2015年に京アニが出したアニメは『響け!』第1期のみです。
映画化されるアニメというのは、現在においてはさして珍しいというものでは無いでしょうが、それでも積極的に行っている制作会社は少ないです。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(以下、『あの花』)『黒執事』『うたの☆プリンスさまっ♪ シリーズ』を出しているA-1 Picturesのほか、今年京アニと同じく『青春ブタ野郎シリーズ』『冴えない彼女の育てかた』や、長井龍雪さん、岡田麿里さんら『あの花』の制作スタッフ「超平和バスターズ」が再び集まることで話題の『空の青さを知る人よ』を公開予定のCloverWorksくらいなんです(ちなみにどちらも配給元であるアニプレックスの子会社)。
そう考えると、大元が京アニ1社で映画を何本も制作するというのは、アニメ制作会社全般で見れば「異質」であり、そしてものすごいパワーを持った会社だなと感じます。
2015年と違い今年は映画に集中するという方針なのかは定かではありませんが、それだけ全力をぶつけたいのではと勝手に想像しています。
公開される作品は『響け!』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『Free!』の3作品
そんな京アニが今年映画化するのは『響け!』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『Free!』の3作品。そのうち『響け!』は、既に4月に公開が始まっていますよね。
もう一つはKAエスマ文庫発のライトノベル作品である『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。元々は陸軍の少女兵で戦争中に両腕を失った代筆屋の少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデンを中心とした群像劇で、2018年1月よりアニメ化されました。
今年9月6日に公開予定の映画は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』として2週間限定での上映らしく、2020年1月には完全新作の映画が公開されるとのことです。*1
3作品目は、同じくKAエスマ文庫のライトノベル『ハイ☆スピード!』を原案とした、言わずとしれた人気アニメ『Free!』。
小学校以降水泳から遠ざかっていた男子高校生たちによる水泳部が舞台であり、美少年が揃いに揃った青春物語。
2013年7月にアニメが放送され、以後2018年までに3期分のアニメと数多くの再放送が行われる他、2つの劇場版とアニメの再構成版2作が公開されるなど、アニメ放送から6年が経つ現在でもファンの多い作品です。
2019年7月5日に公開される『劇場版 Free!-Road to the World-夢』は、昨年放送された第3期の再構成版で、2020年夏に公開予定の方は完全新作となるそうです。
短い時間に込められた京アニの本気を見てみたい!
映画一つ作るだけでも相当な労力が必要なはずなのに、来年までに(アニメの再構成や外伝も含むとはいえ)5作品も手がけるとなると、そりゃアニメ制作にリソースは割けないだろうな、と素人目ながら思いました。
が、『聲の形』や『リズと青い鳥』、先月公開された『響け!』の映画を見ただけでも、京アニの本気がおよそ100分という短い時間の中にあれよあれよと詰め込まれているなぁと実感しました。
個人的に『響け!』は「映画では短すぎないか?」という感想を口にしましたが、それはあくまでストーリーの尺が足りないという意味合いで、絵の一つ一つや背景、キャラクターの機微な動き、音楽、何から何まで綺麗に作られているのだから、それを観に行くだけでも十分映画として価値はあるものだと思っています。実際筆者は『響け!』2回見に行っちゃいました……。
今年は京アニが映画に力を入れているのはなんの作品かなと思って調べてみたこと、過去に『涼宮ハルヒの消失』や『聲の形』を観て「京アニの映画」に興味が湧いてきてしまいましたので、今回これからアニメを観て勉強するぞ! という意味も込めて紹介させていただきました。
普段映画館に足を運ぶことが無い筆者がその魅力に取り憑かれてしまった京アニの映画。テレビやパソコンの画面でない、大きなスクリーンと迫力満点の音響の中での世界をもっと早く知っておけば……と後悔している筆者でした。
(Edit&Text/頭皮ぱっしょん)
■参照
*1ヴァイオレット・エヴァーガーデン:完全新作劇場版が2020年1月10日公開 外伝も
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会 ©おおじこうじ・京都アニメーション/岩鳶町後援会2019 ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会