◆「あの有名な監督」も製作に名を連ねる!同時上映短編『骨』もやっぱり不穏
当時こそ、まだ名前の知られた監督ではなかった二人ですが、『オオカミの家』の完成によりその名前が知られるようになっていきます。
まさにそんな『オオカミの家』に衝撃を受けた一人が、あの『ミッド・サマー』などの監督で知られるアリ・アスター監督でした。
『オオカミの家』に魅せられたアリ・アスター監督は、クリスバル・レオン監督とホアキン・コシーニャ監督の次回作に製作総指揮と名を連ねることになるのですが、その作品が今回『オオカミの家』と同時にう上映された『骨』という短編映画です。
『骨』は美術館の建設に伴う調査で偶然発掘された世界初のストップモーション・アニメーション──という設定の短編で、表情のあまり見えない不気味な少女が人間の死体を使って、怪しい儀式を行う様子が描かれる作品です。
こちらも14分ほどの短い作品でありながら、『オオカミの家』に負けず劣らずの不気味さと不穏さをはらんだ映像となっています。
◆今後は続々と全国へ広がっていく『オオカミの家』
スタートこそ上映規模がまだ小さかった『オオカミの家』ですが、9月以降には続々と全国での上映が開始されます。
“アニメーション”という言葉の語源はラテン語で生命などを表す“Anima(アニマ)”という言葉から来ているといいますが、『オオカミの家』も『骨』も、生きていないものに生命を与えるかのようなアニメーションの禁忌的な特性が際立った映像となっています。
改めてアニメーションの黒魔術的な魅力が味わえるという意味でも、体験しておく価値があるのではないでしょうか。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi