◆アリエルの過去が明らかに──『リトル・マーメイド3』

 2008年に発表された『リトル・マーメイド3 はじまりの物語(3の表記は正しくはローマ数字)』は、アリエルの過去が描かれています。本作も劇場で公開する映画ではなくOVAとして制作されました。

 『リトル・マーメイド2』が第1作目の後日談を描いたのに対して、今度は前日談。プリンセスのアリエルがエリック王子に出会う前の海の王国が舞台となっています。

 トリトン王の妻・アテナは海難事故をきっかけに帰らぬ人となります。彼女の歌声を思い出さぬよう、トリトン王は海底の世界で音楽を禁止にしてしまいます。

 厳しいルールによって縛られるようになってしまったのですが、15歳となったアリエルがフランダーたちとの出会いをきっかけに秘密裏に音楽の楽しさを知り、海底世界に音楽を取り戻すため奔走していく様子が描かれます。

◆ディズニーにとって『リトル・マーメイド』はどんな存在だったのか?

 ディズニーにおいて『リトル・マーメイド』はブランドの復活のきっかけとなる重要な作品の一つでした。

 『白雪姫』や『ピノキオ』などにはじまり長編アニメーション界のトップとして君臨してきたディズニーでしたが、1980年ごろには名作を支えてきたアニメーターたちがディズニーを離れはじめ、以前のような大ヒット作を生み出せなくなっていました。

 そこに登場したのが童話「人魚姫」を題材に、1989年に作られた映画『リトル・マーメイド』です。

 本作は公開後まもなく大ヒット作品となり、それまで一時的に低迷していたディズニーブランドの勢いを取り戻すことになります。

 『リトル・マーメイド』の登場以降、『美女と野獣』や『アラジン』といったヒット作が続き“ディズニー・ルネッサンス”と呼ばれる新たなディズニー作品のブームが起こります。『リトル・マーメイド』はそんな再起の発端となった作品だったのです。

 低迷していたディズニーを立て直し、大ヒットを記録した『リトル・マーメイド』。そんな名作映画の続編がなぜ、知る人ぞ知る作品になってしまったのでしょうか?

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