◆「あの映画」は声優交代の伏線だった?
今年4月に公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』では、海外では俳優のクリス・プラットさん、日本では声優の宮野真守さんがマリオの声を演じています。これはかなり久しぶりのチャールズさん以外の人が演じるマリオでした。
いつもの声ではないマリオに対して、違和感があるという声はゼロではなかったとはいえ、映画は世界的な大ヒットとなり、世界興行収入は1900億円にまで到達していることが別の声のマリオも受け入れられているという証拠ともいえます。そういった結果もふまえ、マリオの声優が変わることを、大々的に報じたのではないでしょうか。
ちなみにチャールズさんもマリオ役ではなく、マリオの父親役やピザ屋の客役で『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』に声の出演をしています。父親という配役の時点でも、実は映画の公開以前からチャールズさんがマリオ役を離れ、次の世代へとその役をゆずっていくことを示唆していたとも、いまとなっては考えられます。
◆「新しいマリオの声」のお披露目はすでに済んでいる?
ここで気になるのは、新しいマリオの声を誰が担当するのかということ。
いまのところ、まだ誰が担当するのかは発表されていませんが、実はチャールズさんが演じていないマリオの声はすでにお披露目されています。それが、今年の10月20日に発売予定のNintendo Switch向けソフト『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』のトレーラー映像。実は本作の映像で、早くもいつもとは違うマリオの声が聞けます。
とはいえ、言われてみればいつもと違うかも……という具合で、しっかりこれまでのチャールズさんのマリオに寄せた声にはなっています。今回のニュースを聞いていなければ、気づかなかったという人も多いハズです。
映画の登場でいつものマリオとはまったく違う“声”のマリオも受け入れられるようになったとはいえ、ゲームのマリオまでもがいきなりイメージチェンジするわけではないところも、これまでの声に馴染みがあった人には安心するポイントです。
3DCG映画などの新たな分野への挑戦や、担当声優の世代交代をしていきつつも、違和感のないように進めてくれるところはマリオファンには嬉しい進め方ではないでしょうか。
2023年という年が『マリオ』にとって大きな“変化”の年であることには間違いないのですが、その切り替えをここまでスマートに行えてしまうところが任天堂のまた見事なところでしょう。
〈文/ネジムラ89〉
※サムネイル画像:Amazonより(画像はイメージです)
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi