202275日に燃えこれ学園、稲森のあの生誕祭ライブがおこなわれた。稲森の生誕祭は燃えこれ学園に入ってから4度目。ライブでは稲森がこれまでの自分を振り返り、着実な進歩を噛み締めながらファンへの感謝を綴った。

 稲森はコスチューム制作を得意とする。彼女の特技を生かし、たくさんの衣装を用意した今回のライブ。滅多に見られない衣装も登場する特別なライブのようすをお届け!


 「シンデレラ・クレイム」から始まった稲森のあ生誕祭。メンバーは黒猫衣装で登場。熊野、佐々木、蒼音、三浦、高未はタキシードを身につけ、他のメンバーは黒いワンピースを着ているなど、おそろいの服装にも一人ひとりの個性が見える。メンバーたちは猫のポーズであざとくこちらを誘う。黒猫衣装の「シンデレラ・クレイム」はいつにも増して怪しげだ。彼女たちの色気とかわいらしさが同時に楽しめるパフォーマンスにファンも釘づけになったことだろう。

  会場が暗転すると、今回のために用意されたメンバーたちの特別音声が流れた。猫語を話すメンバーたちのレアなボイスだ。

「にゃにゃ!このままじゃ大変!大変だにゃ〜!!」と當銘が話し出す。メンバーたちが続いてなにやら会話を始める。

「一体にゃにが大変なんですかにゃ」

「確か、12日の鐘が鳴りおわっちゃうと」

「私たちにかかったお・ま・じ・な・いが解けてしまうんだにゃ!」

「それは大変だにゃ!みんな〜みんな〜!」

「にゃにゃにゃ!!」

「大丈夫にゃ、大丈夫にゃ!」

「にゃ〜はっはっはっ!こんなこともあろうかと…準備しといてよかったにゃ!」

「一体なにを準備したにゃ?」

「もしかして…あれじゃないかにゃ?」

「きっとそうだにゃ〜ん」

「そうだにゃ〜」

「し、心配だにゃ…」

「み〜んなにとっておきの魔法をかけちゃうにゃ!せーの!恋の魔法!」

 稲森の掛け声にあわせて「恋の魔法」が流れ出す。メンバーたちは先日お披露目されたばかりの新衣装候補を身に纏って登場。「恋の魔法」は人を好きになる切なさと幸せを飾り気のない言葉で表現された楽曲だからこそ、ストレートに胸に響く。

 3曲目に歌うのは「again」。目まぐるしく雰囲気を変えてパフォーマンスを魅せる彼女たちに豊かな表現力と奥深い人柄を感じさせられる。鼓笛隊を彷彿とさせる新衣装候補で歌う「again」は楽曲のクールな表情をより引き立っていた。

  成田の神秘性を感じさせるバレエダンスで始まった「0(zero) 」。「傷つくことに背を向けてばかりだったけれど」そんな日々を乗り越えて「この夜を越えて」と叫ぶ稲森。彼女の苦悩や葛藤、そしてそれを乗り越えて今がある、その誰にも経験できない彼女なりの人生がその歌声の奥深さを作っているように思える。

 切ない表情のなかに確固たる決意を見せつけるように歌う彼女たち。雨上がりの雲間に陽の光が差し込む情景が見えてくるようだった。

 MCパートでは、Class Yellowのメンバーが稲森お手製のお手製リボンを着けて登場。それを見た熊野が「わたしらリボン全然もらえへんの…」としゅんとしながらコメントし、稲森が「勝手に作るのもどうなのかなって!」と慌てて答え、今度作ってプレゼントすることを約束していた。稲森のリボンの話を受けて、當銘も「私のリボン、のありぃが作ってくれたもので、ずっとつけてます!」と明かす。

 稲森の技術力や、お手製のコスチュームにかける想いをメンバーたちが受け止め、大切にしていることが伝わってきた。燃えこれ学園メンバーたちの絆を再確認できる暖かいエピソードについほっこりする。

  そんなふんわりとした温かい空気をガラリと変えて、「ねえ、凍えそうな夜 見上げた星空 白く染まる優しい声のぬくもり」と稲森の語りかけるような歌声から始まる儚くも美しい「オルゴール」が披露された。稲森がパフォーマンスの最中に見せる切ない表情にぐっとくるのは、いつも元気に振る舞う彼女とのギャップにあるのだろう。「オルゴール」は切ない恋の歌。稲森たちが魅せるダンスや歌声から、冬の情景が描き出される。彼女たちの透明感あふれる歌声が雪の結晶に光が反射してきらきらと輝くどこか寂しくも美しい光景を描き出すようだった。

  「のありぃちゃ〜ん!お誕生日〜…せ〜のっ!」と成田が声をかけ、「おめでとう!」とメンバー全員が叫んだ。次曲は生誕祭には欠かせない「お誕生日おめでとう」だ。

 熊野が稲森を抱き寄せ「お誕生日おめでとう!もっともっと一緒にがんばっていこーね!」と語りかける。稲森がメンバーたちと指ハートを送り合う場面もあった。

 「お誕生日おめでとう!」と歌う稲森の笑顔は「自分を見てほしい」という気持ちより、「みんなを笑顔にさせたい」という優しさに溢れている。稲森はカメラの向こうで自分を祝ってくれるファンたち、会場に来てくれたファンへの感謝の気持ちを歌に乗せて届けようとしているようだった。

 歌の最後にはメンバー全員が犬のイラストが描かれた手持ち看板を持って「おめでとう!」とあらためて稲森を囲んで彼女を笑顔で祝った。

 続けて歌うのは「ミラクる☆妄想がーる」。メンバーたちは看板を扇子に持ち替えてパワフルなダンスを披露。今回の間奏では熊野がサングラスと顎髭、天使の羽を装着し、癖の強い見た目で会場を沸かせた。蒼音が特大センスで「1周年」と大きく描かれたものをもってきて、いつのまにか白ジャケットの正装を身につけた高未が選挙戦を彷彿とさせる口調で「ありがとうございます!ありがとうございます!」と叫んで笑いを誘う場面もあった。彼女たちの屈託のない笑顔とネタを披露して得意げになる表情に愛らしさ、一緒にそばに寄り添ってくれるような安心感も感じる。

  だが、燃えこれ学園の魅力は笑いとパワフルさだけではない。力強くも美しい、凛とした歌声が響く。次に歌ったのは「夢幻華」だ。パワフルなステージングを見て、彼女たちがプロとしてこれまでやってきたことを思い知らされる。ステージ上の彼女たちは何よりも輝いていて、そしてどこか遠い存在にも感じる。寂しさというよりは畏敬の念のような彼女たちのへの尊敬の気持ちが沸々とわいてくる。

  歌い終えると、熊野は「歌うことが大好きなのあが作ったセトリだから、いろんなジャンルの歌を網羅できているよね。『オルゴール』の次に『お誕生日おめでとう』を選ぶってすごい!」とギャップの激しい楽曲が隣り合わせになる、稲森の選曲したユニークなセトリを褒めた。「のあの生誕祭も何回かやってるけど、いつまでも後輩」とも語る熊野からは稲森への期待と愛情がうかがえた。

  メンバーが舞台裏に移動すると、満を持してドレス姿をお披露目した稲森。満面の笑顔で会場を見渡し、「みなさん!今日はのありぃ生誕祭を見てくれて、そして会場に足を運んでくれて、見に来てくれて、本当にありがとうございます!今日燃えこれ学園に入ってから4回目の生誕祭になります!」とファンに語りかけ、自筆の手紙を読み始めた。

「今日は稲森のあ生誕祭を見てくれて本当にありがとうございます。去年のお手紙で自分のことが嫌いだと言いました。1年経っても今の自分のことが嫌いなことは変わっていません。ですがみんなのおかげで去年の自分よりは自分の好きなところも見つけることができるようになりました。

 そして最近はTikTokライブのカラオケ配信もさせていただけて、ファンの方がリクエストしてくれるのもすごく嬉しいです。いつもありがとうございます!

 今日のライブはTikTokライブから知ってくれて海外から見てくれてる人もいます。自分がきっかけで燃えこれ学園のことを知ってもらえて好きになってもらえてライブを見ていただけることがこんなに嬉しいんだということを知りました。配信ライブという形になったからこそ、画面の向こうのみんなにも見てもらえてるのがとても嬉しいし、ありがたいことだと感謝でいっぱいです。

 しかし、私は特にこれといった結果を出すことができていません。自分に魅力がないんだと自信を無くして動き出せなかったりして、気がつけば後輩にもどんどん追い抜かれていました。そんな自分が言うのはおかしいんかもしれないんですけど、つうしんぼ1位になることを諦めたくないです。

 だからここからの1年はこの1年間で得た自分の得意なことでたくさんの人に出会って、燃えこれ学園を、そして稲森のあを好きになってもらっていい結果が出せる自分になれるように頑張ります!だから目を離さないようにしてください!

 まずは今日が終わって来週のなぁなさん生誕祭、8月を過ぎればすぐに96日に新宿ReNYさんでのツアー前半戦ファイナルがあります。その日の必達動員目標 300人を絶対に達成したいです。ただついていく自分じゃなくて、メンバーみんなと一緒に進んでいく自分になりたいから、必死に頑張っていくので、見ていてほしいです。

 つまづいて、へこんで泣いてばかりじゃなくて、そこからちゃんと前を向いてメンバーとそして広報委員のみんなと笑顔で進んでいけるように頑張っていきます!」

 と涙ぐみながらも、落ち込んでいてはいけないのだと上を向き、健気に笑顔を見せる稲森。こうした彼女の一生懸命さが人を惹きつける理由なのだろう。

 彼女が一人のステージで歌うのは「myself」。「不安で怖くて笑顔で隠して結局ごまかしてばかりだったけど」という歌詞に過去の自分を重ねていたのかもしれない。「立ち上がれがんばれ私」「いつもほんとの笑顔をくれるこの場所で」と続け、目を赤らめさせながらもまっすぐな笑顔を見せて、全力で歌う稲森。彼女は自分が輝ける場所を見つけたのだ。燃えこれ学園は彼女の居場所であり、彼女が一番に大切にしている場所なのだと、彼女の真剣な歌声から伝わってくる。

「みなさん今日は稲森のあ生誕祭を見に来てくれてありがとうございます!」とファンに訴えかける。赤らめた頬とキラキラした笑顔がまぶしい。

 会場には「新たな未来を切り拓き 頑張れ!踏み出せ!myself!僕らを導く天使のスマイル ハッピーバースディ のありぃ お・め・で・と・う!」と書かれたプラカードをファンが掲げていた。

  身につけていた羽がちょっと剥がれてしまうというハプニングを抱えつつも「myself」を歌い切った稲森は「燃えこれ学園はRe-START TOUR2022Get over the wall〜をツアーでおこないます。ツアーの名前にもあるようにメンバーと広報委員と一緒にたくさんの壁を越えていけるようにがんばります!」と訴え、制服姿に着替えたメンバーとともに「Re-START 」を披露。武道館ライブを目指すアイドルグループとして再スタートすることを決意した燃えこれ学園の覚悟を体現した「Re-START 」。彼女たちの歌声がこちらの心を励ましてくれる。聞いているだけで、いつだって夢をあきらめなくていい、少しずつでも前に進んでいけるというポジティブな気持ちになれる楽曲だ。

 次に歌うのは「Shiny Dream 」。去年の自分より、自分を好きになったと言っていた稲森。「遠く描いたいつかの自分が」そう歌う稲森は遠いと思っていた理想の自分に少しずつ近づいているその道のりの最中にいるのだろう。今の燃えこれ学園のメンバーたちと一緒にいて、自分を知り、自分のいいところを認めてもらえた、そんな経験が彼女を明るく、強くしているのだろう。

  「時の砂」は彼女たちの枯れそうな声で叫ぶ声、激しいダンスに歌詞に込められた情熱が伝わってくる。クールな表情ながら、誰よりも強い情熱を携えた彼女たちの心の動きが歌詞にも表れている。

  次は稲森生誕祭最後の曲。稲森がラストに選んだのは「明日へ」。2022年度から歌割りが大きく変わり、稲森の歌パートが増えたこともあり、稲森にとっては思い出深い一曲でもある。「新しくなったフォーメーションと歌割りの意味をしっかりと受け取って全力で歌います」と訴える稲森。

 「明日へ向かうために」彼女たちはどんなことがあったって夢をあきらめない。少しずつだっていいから前に進んでみせてくれる。稲森がこの1年で少しずつ自分を好きになったように一歩ずつ着実に彼女たちは自分の理想に近づいている。彼女たちが一生懸命だから私たちも頑張ろうとそう心のそこから思えるのだろう。

 「開いた夢の地図 君だけのストーリー」とキラキラした笑顔で歌う稲森。燃えこれ学園のメンバーたちと一緒に描く夢を、ただついていくだけじゃなく、自分も先頭に立って進んでいける強さを身につけたいと願う彼女が自分だけのストーリーをみんなと一緒に紡いでいきたいとそう訴えているようにも聞こえた。

 歌が終わると同時にハッピーバースデーの歌を歌うメンバーたち。

 生誕祭ライブの感想を聞かれた稲森は「あっという間でしたね。1年間考えた生誕祭がすぐに終わってしまいました」と話す。

 熊野の掛け声でメンバーが整列すると、一人ずつ稲森の大好きなところを発表することに。お手製の手持ち看板を持って綺麗に並んだメンバーたち。手持ち看板には稲森への好きなところが書いてある。メンバー一人ひとりが看板を掲げて稲森へ、好きなところをつたえていく。

 山田は「歌声が好き」と答え、

 高未は「優しいところ!」

 三浦は「全力でほめてくれるところ」

 仲川は「発想力豊かな天使」

 蒼音は「勉強熱心なところ」

 佐々木は「一生懸命なところ」

 成田は「全部かわいい〜〜!」と叫ぶ。

 當銘が「何度泣いても立ち上がる根性!」と答え

 熊野は「本当に世話が焼けるところ!」

 と叫び、みんなで「おめでとう!」とあらためて稲森を祝った。

  熊野から今日のライブの感想を聞かれると、稲森は「とっても楽しくて、とっても暑くて、汗だくで〜す」と答える。すかさず高未から「でもいつもなんよな〜」とツッコまれる場面もあった。

  稲森の生誕祭は終わってしまうが、あと1週間もしないうちに當銘の生誕祭ライブが待っている。熊野が「あと1週間ですね」と當銘に話しかけると、當銘は「違いますよ、なぁな日です!」とコメントし笑いを誘った。

  ジェットコースターのようにテンションの振り幅の大きいセットリストで会場を沸かせた稲森のあ生誕祭。彼女の特技、コスチューム制作にちなんだ特別衣装でのライブパフォーマンスも記念的な生誕祭にぴったりの特別な時間を演出してくれた。

 次は當銘菜々の生誕祭。彼女の生誕祭のテーマは「キミの太陽」。元気印らしい明るく楽しいパフォーマンスが待っているに違いない。

〈取材・文/高橋未瑠来 撮影/平島理〉

◆セットリスト

  • シンデレラ・クレイム
  • 恋の魔法
  • again
  • 0(zero)
  • MC
  • オルゴール
  • お誕生日おめでとう
  • ミラクる☆妄想がーる
  • 夢幻華
  • 稲森お手紙MC
  • myself
  • MC
  • Re-START
  • Shiny Dream
  • 時の砂
  • 明日へ
  • MC
  • 校歌

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