2019年末は『アナと雪の女王2』に始まり、注目のアニメーション映画が目白押しという状況になっていて、アニメ映画好きとしては嬉しい悲鳴をあげたくなる今日この頃。むしろ時間がなさすぎて、そのまま悲鳴が上がりそうになってしまうぐらいです。

 そんな年末の作品で、すごい良かったなぁ、というオススメしたい作品がいくつかあるのですが、ちょうどある点で良いと思った点が似ていたので、今回はそのテーマに沿った2019年末の作品を紹介します。

 そのテーマとは、手!

 手のアニメーションが見せるドラマが印象的な作品が複数作品あったのです。今回はそんな手に注目して欲しいアニメ映画3作品をピックアップいたします。

握った手の意味が返すもの『ぼくらの7日間戦争』

 2019年12月13日より全国上映がスタートした『ぼくらの7日間戦争』が良かった!

 原作は宗田理の小説で、過去には実写映画が公開されたということでその印象が強いという人もいるでしょう。ただ、それを知らないという人もそれらを無理して予習する必要はありません。今回公開されたアニメーション映画版は完全に現代版にアップデートされたまったく新しい物語です。身の回りの大人だけでなく、現代の子供達が戦っていかなければいけない存在に対して主人公たちが、抗って自分をさらけ出す姿を見せた時のカタルシスたるや。必見の仕上がりとなっていました。

 そんな『ぼくらの7日間戦争』でも印象的だったのが主人公の鈴原守くんと、ヒロインと千代野綾ちゃんが手を握るシーン。二人が手を握るシーンは作中2度登場するのですが、1回目と2回目の意味が全然違うのですよね。1度目の手を握るシーンにもたっぷりドラマが詰まっているのですが、そのドラマがあるからこそ、2度目の手を握るシーンの意味の清々しさも変わってきます。反復する二人の握手。二人の気持ちを想像しながら、観て欲しいシーンです。

握るまでの描写が緻密すぎる『冴えない彼女の育てかたFine』

 手を握ることへのドラマもあれば、手を握るまでのドラマが緻密に描かれている作品もありました。それが『冴えない彼女の育てかたFine』

 それは主人公の倫也とヒロインの恵が駅のホームで並んで座りながら会話をするシーンで繰り広げられます。お互いの気持ちを投げ合いながら、会話とともに徐々に指が接触していき、手を繋ぐ……もはやこれは手が演技をしています! なかなかここまで手を握る描写にこだわった作品は観たことがないだけに、ぜひ手のアニメーションの好例として、後世に残していきたいシーンでした。

 本作の公開は2019年10月26日なので、すっかり上映が終わっている映画館もあるでしょうが、ロングランヒット中だったりこれから公開の映画館も多数あるそうです。まだ観ていない人はぜひ最寄りの映画館などで公開されていないか要チェックです。

主人公自体が手!『失くした体』が見せる手の冒険譚

 そして、最後に紹介するのが、手そのものが主人公となるフランスの映画『失くした体』です。

 本作では、ある事件によって体から切り離されてしまった手首が、元の身体を探し求めながら、切り離されるまでの人生を反芻する物語です。

 切り離された手首が主人公と聞くと、なんだか怖い印象を持つ人もいるかもしれませんが、意外とその動きはコミカル。『アダムス・ファミリー』に登場するハンドのように、器用に街中を滑走する手首の姿には、可愛いなんて感情を抱かせられたりもします。史上初の手が主人公の映画というだけでも必見なのですが、ストーリーも沁みるものとなってまして、挫折を経た人や今物事がうまくいっていない人には、素敵なメッセージがつまった結末の作品となっていました。

 本作は2019年11月29日よりNETFLIXにて配信をスタートしていまして、環境さえ揃っていれば、今すぐにでも観ることができる作品です。

 

――以上、手が印象的な2019年のアニメーション映画3作品でした。

 ここまで手が見せてくれるドラマにも千差万別あるのだなぁと思うと、なかなか面白いです。2019年末に限らず、探してみればきっともっとたくさんの良作“手”のアニメーションが出てきそうですね。

 引き続きそんな手が魅せるアニメ映画を探して行こうと思います。これがオススメです、って作品がありましたら、ぜひ教えてくれたら嬉しいです。

(Edit&Text/ネジムラ89)


劇場アニメ『ぼくらの7日間戦争』公式サイト

©2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

劇場版「冴えない彼女の育てかた Fine」| 10/26(土)公開!

©2019 丸戸史明・深崎暮人・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/映画も冴えない製作委員会

失くした体 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

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