5月20日より『アンダー・ザ・シー~ぼくたち海底王国パトロール隊~』(原題:GO FISH!)がデジタル配信とレンタルをスタートしました。6月3日には、ディスクリリースも控えています。
海底油田によって汚染され始めた海を舞台に、パロットフィッシュのアレックスを始めとした海の生き物たちが事態の解決に動くといった物語。魚たちの王様の側近として、いかにも嫌な魚であるポールという脇役が登場するのですが、このポールが思わぬ改心をするドラマが見どころでもあります。
3DCGの海中の出来事を描いた作品ということで、否が応でも思い出す映画が『ファインディング・ニモ』。本作は2003年に公開されたディズニーピクサー制作の映画でした。改めて、同じく海中をテーマにした3DCGアニメを観ると、同作のレベルの高さを感じます。
本作『アンダー・ザ・シー~ぼくたち海底王国パトロール隊~』のほかにも、これまで多くの海中の生き物を主人公にした3DCGアニメーション映画が作られてきました。そこで今回は、そんな海の生き物たちのできごとを描いた3DCGアニメ映画である“ニモじゃない映画”を集めてみました。
シャーク・テイル
2004年に『シュレック』のドリームワークスアニメーションが制作した映画が『シャーク・テイル』です。
魚のオスカーが、優しいサメを利用してひと芝居打って、魚界のヒーローとなる物語でした。日本では香取慎吾さんが声優を務めて話題になったり、ゲーム化なども果たしていたりと、作品外でもそれなりに大きな展開を見せた映画でした。CGのレベルも高い映画だったと思いますが、残念ながら『ニモ』のようにシリーズ展開が続くような作品にはなれませんでした。
せんすいかんウーリー!
世界50か国以上で放送される海洋アドベンチャーシリーズが『せんすいかんウーリー』。
黄色い小型の潜水艦ウーリーとベスが、海中を舞台に様々な物語を展開する低年齢層向けのアニメーションシリーズです。長編作も複数作作られており、劇場公開なども果たしたシリーズです。
サミーとシェリー七つの海の大冒険
ウミガメのサミーを主人公にした長編映画が『サミーとシェリー七つの海の大冒険』。
砂浜で生まれたサミーがいろんな海の世界を言葉通り"大"冒険する映画です。本作を制作したのは『ナットのスペースアドベンチャー3D』や『ロイヤルコーギーレックスの大冒険』のnWAVEピクチャーズ。世界的規模で公開され、続編『サミーとシェリー2僕らの救出大作戦』も制作されました。
シーフード
小型の生き物が主人公となることが多い海中3DCGアニメの中では珍しく、サメが主人公となって登場する映画が『シーフード』です。
海中の物語かと思いきや、サメがメカを操作して地上の人間との闘いに挑んだりと、予想を超えたアクションを見せてくれる物語になっています。本作はマレーシアと中国の共作作品。出自の珍しさからも、観ておきたい作品の一つです。
フィッシュ・レース
小魚のパイが、同じく魚のコーデリアと出会い恋に落ち、サメに立ち向かう映画が『フィッシュ・レース』。
アメリカと韓国の共作映画でありながら、肝心のアメリカではディスクスルー作品となってしまったちょっと悲しい境遇を持つ作品です。とはいえ、アメリカ以外では劇場公開を果たし、続編『フィッシュ・レース2』も制作されました。
――どうしても『ファインディング・ニモ』の知名度が高すぎるせいで、これらの映画はパクリと評されてしまうことが多いのですが、意外と作品によって描いているテーマも違っていれば、キャラクターの造形であったり、見どころも異なります。
むしろ『ファインディング・ニモ』とどういった違いがあるのかを比較して観てみるといろんな学びがあるのではないでしょうか。
そして、おそらくこれらの作品を観た後に改めて『ファインディング・ニモ』や、シリーズ最新作『ファインディング・ドリー』を観ていただければ分かると思うのですが、本作を制作するピクサースタジオの海中表現のリアリティの追求ぶりに、舌を巻くことになるでしょう。これらの作品が題材が同じというだけでフォロワー扱いされてしまうのも、あまりにもこの『ファインディング・ニモ』というシリーズが、海中3DCGアニメーションの金字塔として君臨し、インパクトを残しているからに違いありません。
果たして、今後“ニモじゃない映画”として認識される海中3DCGアニメ映画は登場することがあるのでしょうか。意外と知名度だけでどうにかなる壁ではないのかもしれません。
(Edit&Text/ネジムラ89)