今年の夏もホラー映画が多数上映されています。洋画作品では『Pearl パール』や『ヴァチカンのエクソシスト』。邦画作品でも『ミンナのウタ』や『禁じられた遊び』などバリエーションもさまざまで盛り上がっているのですが、実はアニメーション映画でも8月19日から『オオカミの家』というチリのストップモーションアニメーション映画が上映されます。
ピノチェト軍事政権下のチリに実在したコミューンであるコロニア・ディグニダから逃走した女性が、森の中にある家に迷い込んで遭遇する不思議な体験を描いた内容となっており、“怖くて不気味な”映画となっています。たとえ作品の背景を詳しく知らなくとも部屋全体を丸ごと使ってアニメーションを作り上げていく手法にも驚かされる一本でもあります。
本作のようにアニメーション作品でありながらも、子供には少し刺激が強そうな“怖い”作品はこれまでにも実は複数存在しました。そんなしっかりと怖いタイプのアニメーション映画を厳選して3つ紹介します。
◆ホラージャンルを全部つめこんだ?──『アラーニェの虫籠』(2018)
坂本サク監督が、脚本やアニメーション、音楽に到るまでその多くを一人で担った事でも話題になった映画が『アラーニェの虫籠』(2018)です。
女子大生のりん(声:花澤香菜)が怪しい郊外の住宅地に引っ越してきてしまうのですが、周辺では女子高生の連続変死体が発見されたり、住宅地では不気味な住人が次々と現れたりと立て続けに怪しい出来事が発生してしまい、ついにりんにも不思議な体験が降りかかっていくという作品です。
この映画は、幽霊団地ものかと思いきや、サスペンスモノのようでもあり、モンスターパニックのようなエッセンスも取り込みながら、SFを思わせるアイテムも登場したりと、想像以上にいくつものホラー要素を盛り込んだ作品になっており、これ一本で様々なホラー映画のエッセンスを体験できる映画となっています。
今年、2023年には映像をグレードアップしたリファイン版が上映されたり、本作の前日譚である『アムリタの饗宴』が公開されたりとその世界観も広がっている作品となっています。