◆アイドルをテーマにしたサスペンスホラー──『パーフェクト・ブルー』(1998)
サスペンスホラー作品の傑作アニメーション映画が、1998年にいまは亡き今敏監督が発表した『PERFECT BLUE』(1998)です。
この映画は、アイドルから女優へと転身した少女・未麻が、自身が知らないところで自身になり変わった存在を感じていたり、かつてアイドル時代に自身のファンだった人物の危険性を感じたりと、精神的にどんどん追い込まれていく様子を描いています。
本作ではしっかりと未麻が体験した不思議な体験の“答え”が映画のラストに明かされたり、まだインターネット普及し始めたころの21世紀直前の雰囲気が知れたりと、いま観てもいろんな見所が詰まった映画となっています。
作中ではR15+指定を受けるような過激な描写もあるので子どもの鑑賞には注意が必要なのですが、洋画『ブラック・スワン』(2011)にも影響を与えたのではないか、という曰くもあるほどの整理されたストーリーと演出の充実ぶりはいま見ても色あせない洗練さがあります。
2023年は今敏監督の生誕60周年という節目の年ということもあるので、このタイミングで監督作を振り返って観るのもよいでしょう。