2021年冬アニメとして大好評放送中の『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』(以下、無職転生)。
多くのキャラが登場する本作には3人のヒロインがいます。その中でも一番に登場したヒロインがロキシー。主人公ルディに魔術と世界の広さを教えた偉大なる師匠として登場するキャラで、主な登場回は第1話と2話だけですが『無職転生』ではかなり重要なキャラとなっています。
ロキシーは、幼い姿と相反する大人びた様子や、少しドジな一面などが魅力的なヒロインですよね。しかしこのロキシー、第2話以降はしばらくルディと関わることはありません。
そのため今後、本編が進む度にロキシーファンは、次いつロキシーが登場するのかとヤキモキすることになるでしょう。
そこで、紹介したいのが『無職転生』のスピンオフ作品『無職転生 ~ロキシーだって本気です~』(以下、ロキシーだって本気です)。この作品は、なんとあのロキシーが主人公。そして、ロキシーの冒険が描かれたロキシーファン必見の内容となっています。
<画像引用元:https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000059010000_68/ より引用掲載 © KADOKAWA CORPORATION>
◆主人公はあの「ロキシー」!? 過去を描く物語『ロキシーだって本気です』とは?
<画像引用元:無職転生 ~ロキシーだって本気です~ 1 (MFC)> 出版社:KADOKAWA>
『ロキシーだって本気です』は、ロキシーが主人公なだけでなく、本編の過去が描かれているのが特徴です。本作は、ロキシーが生まれた村から旅立ち、様々な苦難を乗り越え冒険していく物語となっています。『無職転生』がルディの人生譚なら『ロキシーだって本気です』はロキシーの人生譚と言えるでしょう。
さて、スピンオフ作品『ロキシーだって本気です』ですが、本作の1番面白い点は本編より20年くらい過去を描いているということ。
……本編より20年前? 「そんなに前にロキシーって生まれているの?」
聡い方なら「あれ、ロキシーって何歳?」と思うのではないでしょうか。
本編で登場したロキシーの見た目は、10歳そこそこに見えましたよね。本人は「すでに成人している大人だ」と言っていましたが、信じていない方もいたのではないでしょうか。それくらい幼い見た目でしたよね。
実はロキシー、『無職転生』初登場時すでに37歳と結構いい年をした女性。見た感じルディのお姉さんのようでしたが、ルディだけでなく、パウロやゼニスよりも年上という面白い設定なのです。
<画像引用元:https://mushokutensei.jp/story/02/ より引用掲載 ©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会>
それもロキシーの種族であるミグルド族に秘密があります。ミグルド族はかなり長命な種族で、非常に成長が遅い。よくファンタジー世界に登場するエルフのようなもので、だいたい100年くらいは今のロキシーの見た目は変わらないと言われています。ロキシーの見た目と年齢が釣り合わないのはそのため。
『無職転生』で登場するロキシーは、見た目は子供、精神は大人の状態で登場しますが『ロキシーだって本気です』では、見た目の年齢そのままのロキシーを見ることできるということです。
『ロキシーだって本気です』の魅力は、そんな年相応のロキシーの可愛い姿がたくさん見ることができる点。様々苦難に直面し、慌てふためくロキシーが非常に可愛らしいです。ロキシーファンの方にとっては必見の内容と言えます。
また『無職転生』と同じように、冒険だけではなくその生活に大きく焦点が当てられていることも本作の魅力。ただモンスターを狩るだけではなく、様々な依頼をこなしていく様子、冒険者の仕事がなければバイトをする姿など、その世界での生活が丁寧に描かれている点は読み応えがあり面白いです。
◆ネタバレなしでアニメの予習ができる 『無職転生』と『ロキシーだって本気です』の共通部分とは?
<画像引用元:https://mushokutensei.jp/story/01/ より引用掲載 ©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会>
『ロキシーだって本気です』は『無職転生』の過去編ですが、本編を知らなくても楽しめるくらい、ネタバレが登場しません。
共通の部分は、主に世界観とロキシーに関することがほとんど。稀に本編にも登場するキャラもいますが、知っていればより楽しめるといったレベルです。
本編と共通の登場人物を補完するエピソードは、本作にはありませんが、本編の方ではロキシーが過去に会ったことがある人物だと紹介されます。そのため『ロキシーだって本気です』を先に読んでおくと、本編を観たときに「もしかしてあの時のキャラ?」と懐かしさを感じることができるでしょう。しかも、本作が本編の20年前なので、時の流れを感じ、なかなか感慨深いものがあります。
『ロキシーだって本気です』で予習できるのは、登場人物だけではありません。むしろ、登場人物よりも、主に世界観を予習できることの方が重要でしょう。
『無職転生』は最初こそ、ルディの平和な生活風景が描かれていますが、どんどん世界が広がっていき、物語中盤では世界中を冒険するようになっていきます。そこでは、冒険で立ち寄った国特有の生活様式や宗教などの固有の文化が登場。『ロキシーだって本気です』では、本編で共通する国もたくさんあるので、事前に読んでおくとより『無職転生』を理解しやすくなります。
例えば、両作品の登場するミリス神聖国ですが、この国は宗教上魔族を排斥しています。このことは、人族であるルディ視点よりも、魔族であるロキシー視点の方がわかりやすいです。
このように、いくつかエピソードを先に知っておくだけで、『無職転生』に対する理解度が大きく変わってきます。先に『ロキシーだって本気です』を読んでおくと、より一層本編を楽しめるハズです。
『ロキシーだって本気です』は、ほとんどネタバレが登場しないと述べましたが、全くネタバレが登場しないわけではありません。唯一1巻の最初のページに、そこそこ重要なネタバレがあります。アニメだけしか、観ていない方はもしかすると「えっマジかよ!?」となってしまうかもしれません。そこだけ注意が必要です。
ネタバレに触れず、どんな内容が書かれているのかを説明すると……。
この『ロキシーだって本気です』は、本編のある地点から振り返る形で過去を描いています。そのため、本編後半の生活風景が少しだけ描かれているのです。たった1ページだけですが、それだけでも読み取れる情報がいくつかあるので、ネタバレ一切なしで本編を楽しみたい方は、注意が必要になります。
<画像引用元:無職転生 ~ロキシーだって本気です~ 3 (MFC) 出版社:KADOKAWA>
◆ロキシーのドジっ子属性が光る! 本作でも登場するドジっ子エピソードとは?
<画像引用元:https://mushokutensei.jp/story/01/ より引用掲載 ©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会>
『無職転生』登場時は、すでに37歳と大人なロキシーですが、年齢にそぐわないレベルのドジっ子属性を持っています。
それは本編でもガッツリ描かれており、初めてルディに魔法の授業を行った際には、ゼニスの大切にしていた木に魔法の試し打ちをしてしまい、大慌てでヒールをかけていましたよね。ごまかしたロキシーでしたが、結局ゼニスに怒られてしまうなんとも締まらない姿が描かれていました。
また、最後の授業でも、水聖級魔術を格好良く唱えたかと思えば、うっかりパウロから借りた馬カラヴァッジョに雷を当ててしまい瀕死の状態にしてしまいます。ここでもヒールをかけごまかしていましたが、このうっかりミスをするのがロキシーの魅力でもあるのです。
それぞれのエピソードにおいて、毎回自分のミスに「はわわ~どうしましょ」と大慌てするロキシーは、とても可愛かったですよね。凛々しい姿と、ドジでお茶目な姿が同居しているのが彼女の魅力とも言えるでしょう。そんな可愛さに惚れ込んだ方もいるのではないでしょうか。
<画像引用元:無職転生 ~ロキシーだって本気です~ 5 (MFC) 出版社:KADOKAWA>
『ロキシーだって本気です』でも、そんな可愛いうっかりが多々描かれています。ここではその一部をご紹介。
▼思い切りが良過ぎるロキシー
生まれながらにミグルド族が使う固有の能力を使えなかったロキシーは、村での疎外感を感じ、14歳にして村を飛び出してしまいます。
しかし、誰にも告げず1人で村を出たロキシーは、遭難寸前の状態に。しかも魔物に襲われ魔力まで切れてしまう緊急事態。通りかかった冒険者に助けられ事なきを得ますが、危うく命を落とすところでした。
肝の据わったロキシーがガチビビリしている可愛いエピソードです。
▼うっかり過ぎるロキシー
冒険者ギルドがある町を訪れたロキシーでしたが、到着してそうそうスリに遭遇する、うっかりを発動させてしまいます。
このエピソードのロキシーらしい点は、早速、都会の洗礼を受けたかに思いきや、一文無しだったので、スリに財布を返してもらうマヌケさ。
スリに「あ! ありがとうございます」とお礼を言うロキシーがなんとも可愛らしい。
▼無防備過ぎるロキシー
冒険者の依頼として子守を引き受けることとなったロキシーは初めてのことに大苦戦。
子供からは無防備過ぎるスカートをまくられパンチラを晒し、赤ちゃんの子守をしていた時にはあまりの無防備さから、ママのおっぱいと間違われて胸を吸われるとんでもない経験をしてしまいます。
このエピソードでは、初めての子守にてんやわんやするロキシーを拝むことができますよ。
――『ロキシーだって本気です』では、本編でも語られることのない、ロキシーの様々な一面が描かれています。本編より余裕のないロキシーが何事にも驚く姿がとても新鮮。しかも、ルディがご神体として拝めているロキシーパンツがチラチラ見えてしまっているところも魅力。
本作は、まだ7巻までしか出版されていないので、本編に比べれば、今からでも非常に追いかけやすいです。アニメ版ではロキシーの活躍はしばらく先になってしまうので、ファンの方はロキシー成分をこの作品で補給してみてください。
▼『無職転生~ロキシーだって本気です~』はこちらから読めます(ComicWalkerにて連載中)
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000059010000_68/
〈文/天乃ひる〉
©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会