“短編アニメーション鑑賞”なんて趣味がもっとメジャーになってもいいぐらいに、世界には短編アニメーション作品が無数に存在しているのですが、今回はそんな短編アニメーション界でも特に良かった作品を紹介したいのです。
その名も『マイリトルゴート』!
これ、ホントに傑作です。
“狼と七匹の子山羊”の後日談?『マイリトルゴート』とは?
<画像引用元:https://mylittlegoat.tumblr.com/ より引用掲載 ©Tomoki MISATO / Tokyo University of the Art>
『マイリトルゴート』は、グリム童話の“狼と七匹の子山羊”をモチーフにした短編アニメーションです。
七匹の子山羊といえば、お母さん山羊に留守番を頼まれた子羊たちが、狼の侵入を許してしまい、一匹の子山羊を除いて食べられてしまうというお話です。一人助かった子山羊がお母さんに証言し、お腹いっぱいになって居眠りしている狼のお腹を裂いて、子山羊たちを助けるというオチでした。この『マイリトルゴート』ではそんなお腹を裂いて、子山羊たちを助けるところから始まる物語となっています。
特徴はフェルトで作られたその質感!
<画像引用元:https://mylittlegoat.tumblr.com/ より引用掲載 ©Tomoki MISATO / Tokyo University of the Art>
『マイリトルゴート』の特徴は何と言ってもそのフェルトで作られたパペットたちの質感。
山羊のモコモコした感じがフェルトの質感と合っているのですが、それに加えて、お腹を裂いたりといったショックの強い描写や、狼のお腹の中に居たせいで、胃液で顔がただれた山羊たちのちょっとグロッキーな姿を、ソフトに抑えてくれて作品を観やすくしてくれています。
本作を制作したのは見里朝希さん。本作同様にフェルトで作られたパペットでアニメーションを作られている方です。
見里朝希さんのVimeoアカウント⇒https://vimeo.com/user19185087
実はホラー?ちょっぴり怖いその内容
<画像引用元:https://mylittlegoat.tumblr.com/ より引用掲載 ©Tomoki MISATO / Tokyo University of the Art>
導入からわかるように作品のテイストはかなり不穏。
狼のお腹から救い出した子山羊たちのうち、実は一匹だけ消化されてしまって見つからないという悲しいことが分かります。そして、連れてこられた人間の子供。山羊たちに山羊ではないと疑われたり、留守番中に狼らしき訪問者が現れたりと、キャラクターの可愛いルックに反して、少し怖い雰囲気で物語は進んでいきます。
ちょっとショッキングな映像もあるので、観難いなぁという人も居るかもしれないですが、できれば勇気を持って最後まで観て欲しいなぁというのが正直なところ。
本作、実は児童虐待がテーマにもなっている作品でして、ただ怖いだけのエンターテイメントではないという着地を迎える作品です。コロナによる外出自粛により、昨今は児童虐待やDVの増加やエスカレートが懸念されており、現在進行形で向き合っていかなければいけない問題でもあります。あまりそういった問題を身近に感じられないという人こそ、こういった作品をきっかけに、児童虐待に対する向き合う時間を設けられたら、自分の中に一つの体験として刻まれていくのではないでしょうか。
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2020年6月にオンラインにて期間限定公開中!
そんな『マイリトルゴート』は、『ホフマニアダ ホフマンの物語』という作品と一緒に2019年に上映されたのですが、2020年6月現在では、すでに上映は終了している状況です。
ですが、なんとありがたいことに期間限定の無料配信がスタートしています。
期間は2020年6月19日(金)から2週間限定で、DigiCon6のYoutubeチャンネルにて配信がスタートしています。せっかくの手軽に鑑賞できる機会ですので、ぜひ、多くの人に観て欲しい作品です。
また、見里朝希さんのInstagramアカウントでは、メイキングアートも公開中されています。鑑賞後に観るとより面白いさが増すのではないでしょうか。
見里朝希さんのInstagram⇒https://www.instagram.com/tomoki_misato/
(Edit&Text/ネジムラ89)
マイリトルゴート / My Little Goat - Official Site
©Tomoki MISATO / Tokyo University of the Arts