『NARUTO -ナルト-』では死の描写が数多く登場しますが、ヒルゼンの死をはじめ、敵だけではなく味方側のキャラクターの死も作中、壮絶に描かれています。
さまざまなキャラクターが死ぬたびに、物語の重さが増したといえますが、次の3人はまさに英雄というような死の瞬間を見せています。
◆死に際に大蛇丸の両腕を封印!──猿飛ヒルゼン
猿飛ヒルゼンの死によって、忍の歴史にはびこる憎しみ、恨み、因縁、野望といった暗い思想があらわになり、物語により一層の深みが生まれていったといえます。
ヒルゼンが命を落としたのは、彼の愛弟子である大蛇丸が企てた「木ノ葉崩し」の最中です。
木ノ葉の壊滅を目論む大蛇丸との一騎打ちに挑むこととなり、ヒルゼンはあと一歩というところまで追いつめたものの、それまでの蓄積ダメージと老いによる心身の弱体化、そして目をかけていた大切な弟子を殺めることへの葛藤などが重なった結果、自らは命を落とし大蛇丸の逃走を許す結果となってしまいました。
しかし、一方的にやられたわけではありません。ヒルゼンは自分の命と引き換えに大蛇丸の両腕を封印し、二度と印を結んで忍術を発動させられない体にしてみせたのです。
忍術の解明や禁術の開発に執心していた大蛇丸にとって、それはとても屈辱的な仕打ちだったのだと考えられます。
ヒルゼンは、ナルトの味方側のキャラクターとしては初めて、はっきりとした死の描写があった人物でした。また、木ノ葉崩しの騒動の後に葬儀が執り行われている描写もあり、このシーンは敵も味方も含めて「人の死」が明確に描かれる作品なのだと、読者に強く印象付けたといえます。