『私、能力は平均値でって言ったよね!』(略称、のうきん)は2019年秋より放送されていますが、あらすじや作品紹介をみる限り、ありふれた設定ばかりで個性がなく、あまり面白そうには思えません。ですが、この作品、実は視聴してみないと分からない良さや個性がいっぱいのアニメなのです。
今回はそんな視聴しないと良さが分からない、アニメ『のうきん』の個性的な面白さについて説明していきます。
個性爆発、異世界×ギャグ×パロディ
異世界転生アニメが大量に放送されている2019年秋。もう異世界転生ってだけじゃ作品の個性として弱くなったと言えるでしょう。
個性のない作品は他の異世界物のパクりとされ注目を浴びるどころか、蔑視される傾向まであります。異世界物が群雄割拠しているからこそ、他の作品に埋れないため、注目を集める作品の個性が必要だと言えるでしょう。
このような状況の中、大胆にも他の作品の力を借りて個性を出そうとしている作品があります。それが『のうきん』です。
『のうきん』の要素を挙げるとすれば「異世界転生」「女主人公」「冒険」「ファンタジー」「ギャグ」などなどありますが、どれもありふれた要素であり、また、それらの要素も他の作品と比べ特別活かされているわけではありません。これらは『のうきん』が他の作品と差別化される個性としては弱いと言えるでしょう。
このように一見個性が無いようにみえる『のうきん』ですが、“パロディネタ”を多用することで他の作品には無い個性を発揮しています。
特に注目したいのは、そのネタの多さです。1話の内にでてくるパロディネタは1個や2個ではありません。時には10個を超える回も存在します。
これまでこれだけパロディネタを多用したアニメがあったかと思うほどです。
一見無個性に思えた『のうきん』、実は異世界×ギャグ×パロディという個性的なアニメだったのです。
ネタが古すぎて“おっさん”にしか分からない?
パロディネタは元ネタを知らないと、ただの意味わからないネタになってしまいます。そのため、作品の要素として扱いが難しいと言えます。
パロディネタを多用したが、読者や視聴者に理解してもらえないなどは、よくある話です。
その原因は読者や視聴者の年齢層が一定ではないことにあります。ですので、有名な作品や最近の作品以外のパロディネタは極力避けられる傾向あるのです。しかし、『のうきん』は敢えて昭和アニメネタのような古いパロディネタを選択しています。
「こんなネタ10代20代の人には分からんやん」
と言いたくなるネタが満載です。
『のうきん』で使われているパロディネタには以下のようなものがあります。
・『ドラゴンボール』ネタ
・『ウルトラマン』ネタ
・『マジンガーZ』ネタ
この3つは昭和を代表するアニメネタと言えるのではないでしょうか。このように、非常に古いネタが多いです。『ドラゴンボール』ネタは分かっても『ウルトラマン』ネタや『マジンガーZ』ネタが分かる若者は少ないでしょう。
『のうきん』のネタは若い層に向けてではなく、30代40代のおっさんに向けたネタであるとも言えます。
本作はアニメを楽しめるだけではなく、懐かしいネタに浸れるアニメです。30代40代のおっさん達は『のうきん』を観て懐かし過ぎるネタを楽しんではどうでしょうか。
ついつい調べたくなるパロディネタがいっぱい
パロディネタが沢山使われるアニメ『のうきん』はネタを知らない世代にも「何かのネタなんだろうな」と分かるほど露骨にパロディネタを使用してくれています。ですので、ついつい元ネタを調べたくなってしまいます。
本作の楽しみ方の一つは視聴後元ネタを調べることだと言えるでしょう。調べてみると案外知っているネタが多くてびっくりするかもしれませんよ。
また、ネタが分かる世代でも、ネタが古いため「知っているけど思い出せない」などとなるかもしれません。
普段はアニメ視聴後、ネットで調べたりしない人も『のうきん』の視聴を機に調べてみるのも新しい発見に繋がり面白いかもしれません。
このように『のうきん』は不思議な楽しみ方ができるアニメと言えるでしょう。
あなたも、アニメ『私、能力は平均値でって言ったよね!』を観て様々なパロディネタを探してみてはいかがですか?
(Edit&Text/天乃ひる)
◆CHECK!!
©FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会