◆この話はアニメだけの設定?原作とはつながるのか?
さて、ここで気になるのが、原作を正史としたときに今回のエピソード「淡い記憶 ルフィと赤髪の娘ウタ」は地続きのものとして捉えていいのか? という点。
TVアニメシリーズの『ワンピース』の制作には、原作者の尾田栄一郎氏は基本的にノータッチとされており、鉄をまだ斬ることができない頃のゾロが鉄の鎖を斬っていたりと、後の展開と齟齬が起きるシーンが登場することもありました。
そういった事故的な演出があり得ることも踏まえると、もしかすると今回の映画連動エピソードもTVアニメ限定の独自の展開となる可能性があり得ます。
映画『ONE PIECE FILM RED』こそ、総合プロデューサーに尾田氏が名を連ねていることもあり、今後の原作の展開との強いつながりが明らかになる可能性もあるのですが、今回の放送回に限ってはクレジットに尾田氏の名前が原作者としてしか並んでいないことを考えると、この映画連動エピソードも『ONE PIECE FILM RED』と同列の存在として扱っていいかには疑問が残ります。
そもそも、サウザンドサニー号に麦わらの一味としてジンベエが同乗している展開は、時系列的に考えてもワノ国編以降の物語になるはず。『ONE PIECE FILM RED』と原作の繋がりに関しては、まだ明確な答えが明らかになっていない現状では、余計に今回の映画連動エピソードは特殊な立ち位置にあると言えるでしょう。
そんな中で、次週の放送では引き続き映画連動エピソードが登場。
次回にあたる「新時代の誓い!ルフィとウタ」の予告ではルフィがなぜか号泣している描写が登場しています。今回これだけの驚きの演出が登場したことを踏まえると、次回もいまだ明かされていないルフィとシャンクスの逸話が登場しかねません。
『ONE PIECE FILM RED』は、かなりルフィとシャンクスに踏み込んだ内容となっていましたが、TVアニメシリーズも“連動”と謳うに恥じないサプライズがまだ用意されているかもしれません。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション