◆ゾロの刀が暴走?
そして、事態の急転を迎えたのはここだけではありませんでした。火前坊を差し向けた張本人であるオロチのところにも意外な人物が現れます。戦線には出ずに隠れていたオロチでしたが、三味線の音に引きつけられ、ここで死を偽装されたはずの小紫がまさかの登場。
オロチに優しい言葉をかけます。まさか小紫が鬼ヶ島に上陸していたのか?という驚きに加え、オロチに親しく語りかける素振りは不自然です。カン十郎がおでんに化けて現れる展開があっただけに、もはやこの小紫が何者で、どういう目的で現れたのか全く見えてこない登場となりました。そして小紫の三味線の音色は意外なことにゾロとキングの戦いにも影響を与えていきます。
顔面を強く引っ張り変顔を見せてからその反動で勢いよく嘴を突き刺すキングの新技「貂自尊皇(テンプラウドン)」が炸裂し、またもや恐竜の珍妙な習性が披露されたのですが、ゾロが気にかけるのはキングの異様な頑丈さでした。
斬撃を物ともしないキングの特性も恐竜の特徴なのかと推測するのですが、キングはその頑丈さは“少し特殊”と意味深な答えを返します。
キングの身体の背中が燃えていることなどから特殊な種族と察知し、その特徴の謎を解かないと勝てないと悟るゾロでしたが、そんなゾロのもとに小紫の三味線の音が届きます。その瞬間、ゾロの刀・閻魔が暴走。たちまちゾロの腕から覇気を吸い取ってしまいました。
ただでさえ苦戦している中での事態なだけに、さすがにゾロが心配になります。
キングが何かしら特殊な種族であることはこれまでも触れられてきましたがついにその正体に迫ること。そしてゾロが授かった閻魔がかつておでんしか手懐けられなかった曰くつきの刀であること。さらにオロチの前に現れた小紫は何をしようとしているのか。気になる謎が増えたところでこの回は次回へと続きます。
急展開が続くゾロとキングの戦いですが、次回の第1059話「逆境のゾロ 怪物!火災のキング」でも再びこの二人の戦いにスポットが当たるようです。
今回注目された謎の答えが描かれることに期待したいですね。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
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