◆村のジジーの正体は霜月コウ三郎!? ゾロの故郷の秘密
後半ではさらに謎の存在、村のジジーの素性が次々と明らかになります。この村のジジーが実はくいなの祖父であったこと。シモツキ村自体が海からやってきた海賊が作ったもの……おそらくこの村のジジーがワノ国を違法出国した後に作ったものであろうこと。そして、そんな彼こそが刀鍛治の霜月コウ三郎であることが判明します。
これにより同じくワノ国の刀である和同一文字がなぜイーストブルーの辺境に存在したのかがわかります。刀を作った霜月コウ三郎自身が村にいて、その刀が孫のくいなに譲られ、それをさらにゾロが譲り受けたというのが真相だったのです。
ここで嬉しいのがさらにゾロとくいなの決闘の末、世界一の剣豪になる夢を誓う名シーンが描かれること。このエピソードは19話「三刀流の過去!ゾロとくいなの誓い!」で描かれた内容なのですが、当時の映像を流用するのではなく、新たな作画にて描きなおされています。前回もくいなとの因縁は少し描かれましたが、まさか今週はさらにじっくりとそのエピソードを反芻させてくれるということで、往年のファンにとっても嬉しいサプライズだったのではないでしょうか。
◆王になる男の本領発揮!甦るルフィとの思い出
サプライズはこれだけでは終わりませんでした。さらなる懐かしい場面が登場します。
再び場面は現代へと戻り、立ち上がったゾロは改めて閻魔の扱い方に向き合います。自分勝手に覇気を吸っていたと思われた閻魔でしたが、閻魔はただ実直なだけでゾロの方が実力不足だったと反省します。覇気を放出し続けるのは命取りだと考えをよぎらせるのですが、すぐにそれで良いと考えを改め直します。そしてその瞬間、ゾロの覇気の色が紫色から緑色に変わりました。
このゾロの覇気が変わった瞬間、ゾロを追い詰めようとした百獣海賊団の軍勢が一瞬にして倒れます。それにビクともしないキングもゾロの変化に気づいたようで「王にでもなる気か」と問いかけます。その問いかけにゾロが思い出すのはなんと、ルフィと遭遇し海賊の仲間入りを決めた時のエピソードでした。
刀と引き換えに仲間入りを承諾したかつてのゾロは、自身が世界一の剣豪になる野望を明かし、海賊王になるというルフィはそれぐらいになってもらわないと困ると返します。この二人の出会いが描かれるシーンはなんと第3話「モーガンVSルフィ!謎の美少女は誰?」で登場したものなのですが、もちろんこの場面も現在の作風で新たに描き直されています。『ワンピース』の最初期エピソードを振り返りながらも新事実が明らかになる異色のエピソードとなっていました。
船長と親友との約束を振り返りゾロが新たな極地に到達したところで、第1060話は次回へ続きます。引き続きゾロとキングの戦いを見ていきたいところですが、次回の第1061話「魔神の一撃!サンジVSクイーン」はこちらも忘れてはいけない“人間ではなくなりはじめてしまった”サンジの行く末が気になる戦いの続きが描かれるようです。
幹部戦も大詰めといったところなのですが、すでに第1061話がサンジとクイーンの最終決戦であることが発表されています。次週はサンジファンには必見の放送回となりそうです。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション