◆ゾロとサンジの「あの場面」を見せちゃったのは大丈夫なの?
今回の総集編で一点大丈夫なの? と心配になるのが、第1057話でサンジがゾロに対して電伝虫を使い、正気じゃなかった場合に自分を殺すように頼むシーン。普段はいがみ合う二人ですが、強者同士だからこそ頼むことができる様子が伺える場面なのですが、二人の間だけの会話だからこそ成立したものだったようにも思えます。
この場面でチョッパーにガイド役として「二人ともカッケー」という客観的なコメントを入れさせて「マリモは褒めなくていいんだよ」というツッコミをサンジにさせるのも楽しいですが、この場面のサンジとゾロのやり取りは誰も聞いていないからこそ生まれたとも思えるので、少し違和感があります。
こういったそのキャラクターが見ていないはずの場面を、見てしまった事になるという点は総集編はかなり特殊な放送回と言えるのでしょう。総集編回が1週間限定の見逃し配信を除いて、基本的に映像配信サービスなどでアーカイブされないのは、こういったその場にいなかったはずのキャラクターに見ていないはずの場面を見せてしまうことで、後々の展開に影響や齟齬がないようにという配慮もあるのかもしれませんね。
そして総集編回の最後は前々回の第1060話で覇気の使い方を閻魔に合わせて変えたゾロの場面で終わります。クライマックスとなる次回は第1062話「覇王の三刀流!ゾロVSキング」が放送され、これがゾロとキングの最終決戦になることが告知されています。クイーン戦に続いて、ついに大看板との決着が描かれるだけにどんな展開と映像が用意されているのか、総集編回を用意しただけあって十分に期待できるでしょう。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
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