今でこそ原作から大きく逸脱することのないTVアニメ『ワンピース』ですが、序盤で描かれたサンジの過去のエピソードでは、原作ファンがあっと驚く改変がされています。
本来サンジの恩人であるゼフが“空腹のために自身の足を食べる”という原作でも印象深い衝撃の展開があったのですが、このシーンが丸々、別のものに差し替えられていたのです。
◆原作漫画で描かれた自分の足を食べたゼフの決断
<画像引用元:Amazon.co.jp (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション>
「お前……自分の足……食ったのか!?」
この衝撃のシーンを覚えている人は多いでしょう。まだ幼かったサンジがコック見習いだった頃、海賊の船長だったゼフとただ二人、小さな孤島へと漂流してしまうという事態に巻き込まれます。助けが来るかもわからない状況で、あるのはわずかな食料。その状況でゼフはその食料を密かにサンジに全て譲るのでした。
食料がなくなったゼフは、なんとその脚を岩で砕きます。ゼフは自身の脚を食べることで生き延びていくことを選択します。そこまでしてサンジを生かそうとした理由は、実はゼフがサンジと同じオールブルーという夢を持っていたからでした。
“食”が一つのテーマにもなっている、サンジの登場エピソードであるバラティエ編でも、空腹の絶望感やサンジとゼフの絆を表す読者に強い印象を残したシーンでした。しかしこのシーンはTVアニメで、改変されてしまいます。
◆事故で足を失った?TVアニメで改変されたワケ
TVアニメシリーズでこのシーンが登場したのは第26話「ゼフとサンジの夢 幻のオールブルー」です。このエピソードで、サンジとゼフの過去が初めて描かれるのですが、早々に原作にはなかった展開が盛り込まれます。
海難事故に見舞われた直後、幼かったサンジは海へと沈んでいきます。そんなサンジをゼフは救おうとするのですが、その脚を船の残骸に挟まれてしまい、身動きが取れなくなってしまいます。
そこで、ゼフは自身の脚を切り捨てることでサンジの救出をするという決断をするのでした。“サンジを生かすために、その脚を犠牲にする”ということ事態は、変わっていないのですが、脚を失う理由が事故的なものになっているので、犠牲のニュアンスが変わってしまうところが少し惜しいところです。
ゼフがどれだけ空腹に苦しんだのだろう、という極限状態を想像させる展開が損なわれているという意味では残念な改変でした。
とはいえ、自分で自分の肉を食べるというのはかなりショッキングな内容なのは確かです。ただでさえ、当時のワンピースは毎週水曜の夜19時というゴールデンタイムに放送されていました。食卓を囲みながら、放送を見ている子供たちも多いだろう、という配慮などもあっての改変であることは想像できます。