◆「ギア5」のお披露目はいかに盛り上げるかどうかにかかっている?

 そんな原作派のようなファンにアニメシリーズを観てもらうためのアプローチの例が、ギア5の登場を予告してしまうことです。

 原作漫画で「ワノ国編」のクライマックスを初めて迎えたのは、昨年の3月の「週刊少年ジャンプ」。

 ルフィの新たな戦闘形態としてギア5が登場し、カイドウとの戦いの怒涛の大詰めが描かれました。そこからは少しずつギア5の露出は増えていきます。

 同じ年の8月には原作コミックス103巻が発売され、コミックスの表紙にギア5姿のルフィが早くもお披露目されます。

 そして、そして同じく8月6日より公開された映画『ONE PIECE FILM RED』にも、クライマックスにギア5がサプライズで登場。

 監督の谷口悟朗氏が、映画の制作の佳境にありながらも原作に新形態が登場したことを踏まえて、制作途中の導入は大変ではありながらも、演出として盛り込んでくれました。

 その後に続くコミックスの表紙や、ジャンプのカラー表紙などギア5形態のルフィの露出は拡大。『ONE PIECE』のファンにはギア5の存在自体は、実はすでに多くの人に周知されていると言っても良いでしょう。

 そんな前提を踏まえると、原作漫画のサプライズをそのままアニメーションで再現するよりも、むしろ『ONE PIECE』ファンに訴求するべきは「この日に“あの回”が放送されるよ」という情報の方が重要なのでしょう。

 その証拠に今回の発表でも、わざわざ原作コミックス103巻の第1044話がアニメ化されるという謳い文句が添えられています。

 原作漫画を読んでいない人だけでなく、原作漫画を読んでいる人にも楽しんでもらえるコンテンツとして、TVアニメ『ワンピース』は今後も展開をしていってくれるのでしょう。

 ちなみにギア5登場の8月6日の放送回からは新たにオープニングテーマをSEKAI NO OWARIが担当。17年ぶりにエンディングテーマも復活し、Chilli Beans.の「Raise」が起用されることも発表されています。

 ギア5の登場を機に、アニメシリーズも新たなフェーズに突入するということで、しばらくアニメシリーズを観ていなかった人にも必見の放送回となりそうです。

 多くの「原作派」の人たちを「アニメも観ている派」に引き込む日にもなっていそうです。

〈文/ネジムラ89〉

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《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル 『ONE PIECE公式YouTubeチャンネル』より

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