『シャーロック・ホームズ』シリーズは発表されてから、なんと130年以上も経つが、いまだ色褪せず世界的に愛されている。それを表すように、現代では『シャーロック・ホームズ』が題材・ベースの映画やドラマは多々ある。
『歌舞伎町シャーロック』もそんな作品の一つだ。
筆者は子供の頃に観た『名探偵ホームズ』(アニメ)を皮切りに、これまで映画からドラマまでさまざまな『シャーロック・ホームズ』関連作品を観てきた。
日本国内でも織田裕二さん主演の『IQ246〜華麗なる事件簿〜』、ディーン・フジオカさん主演の『シャーロック』(現在放送中)など、『シャーロック・ホームズ』をベースとした作品が続々とドラマ化されている。
関連作品は『シャーロック・ホームズ』の原作に沿ったものより、アレンジされたものが多いように思える。
では、『歌舞伎町シャーロック』は、どのようにアレンジされているか。そして、各キャラクターの魅力とは?
今回は『歌舞伎町シャーロック』の主要人物の特徴と設定の違いをオリジナルの『シャーロック・ホームズ』と比較して見ていきたいと思う。
シャーロック・ホームズ(声:小西克幸さん)
シャーロック・ホームズといえば、奇才で奇人といったイメージがある。加えて冷静である反面、驚きの行動力があり、天才的な推理力を持つ。ここまでのイメージは、『歌舞伎町シャーロック』のシャーロックにも当てはまる。探偵の依頼料よりも、捜査に取り組む姿勢の方が重視して描かれているのが、本作のシャーロックの特徴といえよう。
最大のアレンジといえば、「落語好き」という点だ。『歌舞伎町シャーロック』のシャーロックは落語を愛し、落語で推理を語る。
こんな設定今まであっただろうか……? いや、ないだろう!
日本文化を取り入れた斬新さに感動し、そして笑った。
声優オタとしてみると、小西克幸さんの落語の語り調のうまさに心を奪われた。『昭和元禄落語心中』に出ていても違和感がないだろう。
シャーロック・ホームズが落語で推理すること、小西さんの落語こそがこのキャラクターの魅力の一つだ。
ジョン・H・ワトソン(声:中村悠一さん)
筆者はワトソンが好きだ。シャーロックの奇人さに魅力を感じつつも、それを支える彼に魅力を感じる。
医者であること、シャーロックとの共同生活については原作通りと言える。
依頼人としてシャーロックのもとを訪れたわけだが、結果的にシャーロックと共同生活を始めることになるワトソン。シャーロックのペースに飲まれる姿も原作と重なる。
では、『歌舞伎町シャーロック』におけるワトソンの魅力とは? それは、天然な性格というところだ。
第4話の温泉シーンでは、かけ湯につかってしまうなど、常識知らずなのか、天然な様子をうかがわせた。
天然なキャラクターを中村悠一さんが演じているところもまた良い。
ジェームズ・モリアーティ(声:山下誠一郎さん)
モリアーティといえば、シャーロックホームズの宿敵である。表の顔と裏の顔を持つ人物だ。
本作のモリアーティは、鋭い推理力を持っているが高校生である。
一見、愛嬌のある美少年で、シャーロックホームズの原作設定を知らなければ、何の疑いもない、害のない人物に見えなくもない。
また、後述のハドソン夫人いわく、ワトソンが現れる以前、シャーロックが自室に入れたことがあるのは、モリアーティだけだという。
シャーロックに懐いている様子をみせているが、裏では、何を考えているのか……。モリアーティの人物像を考えると、裏の顔が気になる。
アニメ後半はモリアーティの動きにも注目したい。
ハドソン夫人(声:諏訪部順一さん)
もっとも、原作の『シャーロック・ホームズ』と比較し、浮世離れしたキャラクターといえばハドソン夫人だろう。
本作のハドソン夫人は、「歌舞伎町の顔役、オネエ」と、女性オタクをくすぐる要素が満点だ! しかも、声は諏訪部順一さんである。
第1話でハドソン夫人を観たとき、私は「『シャーロック・ホームズ』アニメじゃない……?」と訝しんだ。このキャラクターについては、日本のアニメならではの改変だろう。
岸本卓氏によるシリーズ構成に今後の期待
『歌舞伎町シャーロック』は、日本アニメ映画界のトップといっても過言ではないジブリで活動してきた岸本卓氏がシリーズ構成を行っている。
岸本氏は、『ジョーカー・ゲーム』や『マギ シンドバッドの冒険』や『はねバド!』などのシリーズ構成・脚本を手掛けてきた。
だからこそ、『歌舞伎町シャーロック』も今後に期待せざるを得ない。
モリアーティをどのように使うのか、ワトソンとメアリに恋の発展はあるのか。
基本的に1話完結の事件、第1話より続く「切り裂きジャック」や、ワトソンの依頼内容について、どのような展開を見せるのか。『歌舞伎町シャーロック』のこれからのストーリーからも目が離せない。
(Text/佐東未帆 Edit/白鳥ほたる)
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