◆実は今まで権利は別にあった!? 当時の『パンスト』の制作はガイナックス!
実は今回、新規プロジェクトの開始に加えて、原作権をトリガー社がガイナックスから譲り受けたことが発表されました。今回のプロジェクトの具体的な展開内容までは明らかになっていませんが、アニメーションの制作部を持つトリガー社のもとに権利が移ったということで、新作アニメーションの制作には期待したいところです。
そもそもなぜ原作権が移行されるかといえば、『パンティ&ストッキングwithガーダーベルト』は本来トリガー社ではなくガイナックスという会社のもとで作られた作品だからです。
ガイナックスといえば『王立宇宙軍オネアミスの翼』(1987)に始まり、『トップをねらえ!』(1988)、『ふしぎの海のナディア』(1990〜)、そして『新世紀エヴァンゲリオン』(1995〜)など数々の名作を生み出してきたアニメーション制作会社です。
以降も多くのアニメーションを制作してきたのですが、2010年代前半に経営が悪化して2010年代後半にはアニメーションの制作からは手を引くようになりました。そんなガイナックスがアニメーション制作を担っていた時代の最後期のヒットタイトルが今回の『パンティ&ストッキングwithガーダーベルト』だったのです。
◆今回の原作権の移行は妥当?
発表当時にガイナックス制作だった作品の権利が移る例は『パンティ&ストッキングwithガーダーベルト』が初めてではありません。一部の作品はすでに権利者の整理が行われています。
その代表的な例が『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ。本シリーズの原作権は、当時ガイナックスに所属し監督を務めていた庵野秀明氏が2006年に設立した株式会社カラーのものとなっています。
今回の『パンティ&ストッキングwithガーダーベルト』のニュースが、権利関係が移っての新プロジェクトスタートということで、作品の仕上がりが変わってしまうことを心配する人もいるかもしれませんが、今回譲渡を受けたトリガー社は2011年に設立された比較的新しい会社です。
何を隠そうこのトリガーの取締役に名を連ねている一人が、2010年当時に『パンティ&ストッキングwithガーダーベルト』を監督した今石洋之氏です。当時アニメーションを制作していた人が現在活躍しているスタジオへ原作権が移ったわけですから、今回の原作権の譲渡も妥当と言えます。
別物になってしまわないか心配していた人も、安心して続報に期待して良いでしょう。しっかり権利関係を整備しただけに、パンティとストッキングの二人には存分に掟破りの活躍で私たちを驚かせて欲しいですね。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『TRIGGER Channel』より
(c)TRIGGER・今石洋之