『とある科学の超電磁砲』(以下、超電磁砲)って本当に面白いと思いませんか。3期を視聴していても、1期の放送が10年以上前の作品だとは、とても思えませんよね。
<画像引用元:https://toaru-project.com/railgun_t/story/01.html より引用掲載 ©2018 鎌池和馬 /冬川基 /KADOKAWA /PROJECT-RAILGUN T>
1期の人気が高くとも、2期、3期と続けていくうちに、ドンドンと人気が落ちていくアニメも多くあります。
しかし、『超電磁砲』は3期でもまだ根強い人気を誇っています。しかも、2期から7年も期間が空いているにも関わらず。
高校生の時、『超電磁砲』2期を観た視聴者なんてもう社会人ですよ。普通に考えたら「いつまで同じ作品にハマっているんだ」ってなりますよね。
10年も経てば、流行りのノリも変わりますし、視聴者の好みも変わってくるでしょう。
御坂美琴の靴下がルーズソックスからハイソックスに変わっていると指摘された時は、時代の流れに震えたくらいです。
本来なら、これだけ世の中が変化しても人気が続くなんて不思議ですよね。そこには、なにか理由があるハズ。
そこで今回は、『超電磁砲』が10年経った今でも、なぜこれほど人気なのかを物語に注目して考察していきます。
◆ただの日常回なのに満足感が凄い! 物語の構成がしっかりしているのがポイント
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本当に単純な話ですが、『超電磁砲』の人気が高い理由の一つは、1話毎の完成度が高いことにあるのではないでしょうか。
完成度と言うとわかりづらいのですが、言い換えれば満足度が高いです。
作品によっては「いつまでその話しているんだ」って作品がありますよね。「本当にその話必要なの?」みたいな感じでダラダラとキャラクター同士の掛け合いをみせられて、後から思い返してみれば、全く話が進んでいないみたいなことありませんか。全話を通してみれば一応中身がいくつかあって満足できるけど、1話1話だけでは物足りなさを感じるなんてことありますよね。
まぁそれはそれでいいんですが、『超電磁砲』の凄いところは、1話の起承転結がしっかりしていると言いますか、1話の中に見せたいであろうテーマがあり、オチがしっかりしているところにあるのです。
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最近の回でしたら、特に凄いのが第17話でしょう。この話は本編とはあまり関係のない回で、しかも、主人公・御坂美琴ではなくその後輩キャラクターである白井黒子が主役の閑話休題の間にあるような回でした。
そんな回のどこが凄いかと言いますと起承転結の中に、キャラクターの回想、事件の原因、事件解決、なぜ事件の中心になる2人は出会ったのか、今回出てきたキャラクターはなにがしたかったのか、それら全てが含まれていることにあります。
その情報力の多さに、よく1話でまとめたなと感心してしまうほどでした。
しかも、話の中身もちゃんとしており、予知は三次元的な干渉では変えることができないから、白井黒子による、より高次元の干渉によって解決するという、実に学園都市らしい事件と解決方法でしたよね。
物語に作品の色を出しつつ、起承転結の流れもスムーズで、これだけ多くの情報を詰め込んでいれば、そりゃー1話の満足度も高くなるでしょう。
第17話を視聴し『超電磁砲』はよくできた作品だなと改めて思わされましたね。
今回紹介した例は20数話の中のたった1話ですが、1話1話がこのように高い完成度を維持しているため、『超電磁砲』の視聴者は飽きることなく物語を楽しむことが出来るのではないでしょうか。
◆物語に夢がある! 一度は夢に見た技術を題材にしている世界観がポイント
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『超電磁砲』の舞台である学園都市は科学が発展した近未来都市として描かれています。
作品で描かれるその超常の技術は、もう魔法と区別がつかないレベルです。
学園都市は、毎日大事件がおこるほどの治安の悪さを除けは、住んでみたい理想の都市の一つですよね。視聴者が惹きつけられるのも、そういった夢のある舞台設定に秘密があるのではないでしょうか。
例えば、今回の天賦夢路編で登場するインディアンポーカーって凄く面白い題材ですよね。夢を保存して、他の人と共有できるアイテムなんて本当にあったらなぁ、と想像力をそそられませんか。
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青ピが配っていた美少女たちを収めたインディアンポーカーなんてめっちゃ欲しいですよね。
また、佐天涙子が披露していたかくし芸を記憶できるインディアンポーカーも面白そうです。あれがあれば、飲み会の時の一発芸に困るようなことはないでしょう。人気者マチガイナシですね。
『超電磁砲』を視聴していて「あっこれ欲しいかも」と思ったことのある視聴者はたくさんいるでしょう。もしかすると、インディアンポーカーをみて「こんな使い方したいなぁ」「こんな夢みたいなぁ」と想像した視聴者もいるかもしれませんね。
視聴者が長い期間ハマるアニメとして重要なのは、こういった作品について考えたり、想像したりすることなのではないでしょうか。
アニメは視聴している間に、ちゃんと物語について考えているかどうかで感じる面白さが結構変わってきます。また、物語で感じた気持ちの持続時間も変わってくるでしょう。
つまり、視聴者に考えさせたり、想像させたりする作品は長く愛されるのではないでしょうか。
『超電磁砲』はちょっと複雑なテーマを扱ったり、夢のあるテーマを扱ったりします。ボーッと視聴しているだけ楽しめない、この世界観が長く愛される秘訣なのではないでしょうか。
◆全ての話が連なって最終回に向かう! 散りばめられた伏線がポイント
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『超電磁砲』で面白いポイントは、別々の事件だと思っていたことが実は裏で繋がっており、物語の後半で話に関わってくる爽快感にあります。
『超電磁砲』を視聴していて「あーこれにはこんな意味があったのか」と感心したことのある視聴者は多いのではないでしょうか。
今回のインディアンポーカーも実は他者の夢を共有できる娯楽グッツとして以外の目的がちゃんとあります。
序盤では、インディアンポーカーで他者の夢を共有する物語や夢でできたことが現実でもできるようになる物語など比較的平和な話が続きますが、次第にそれを利用し秘匿された技術を盗むなどの悪用方法が登場します。
そう、このインディアンポーカーが作られた目的はこの技術を盗むことにあるのです。正確に言えば、制作者が自分だけでは解決できない問題の答えを、インディアンポーカーを通して探しているのです。
インディアンポーカーの事件が落ち着けば、御坂美琴は別の事件に関わっていきます。しかし、全く別の出来事と思われていたその事件の解決策として用意されていたのが、このインディアンポーカーなのです。物語序盤で出てきたことにはちゃんと意味があったわけですね。
大覇星祭編では、今まで登場しなかった食蜂派閥のキャラクターが大勢でてきましたよね。それらのキャラクターも、ちゃんと後半物語に関わってきました。
『超電磁砲』は、こうして一見独立した関係のない話のように思えて実は1本の大きな流れになっているところが視聴者を惹きつけるのかもしれませんね。
――以上が、なぜこれほど『超電磁砲』は人を惹きつけるかの考察です。
ここでは紹介しきれませんでしたが、『超電磁砲』は非常にキャラクター人気の高い作品でもあります。主人公の御坂美琴などは、何年も人気キャラクター女性部門で1位に輝いていたほどの人気です。
今回は物語の中身が『超電磁砲』の人気に繋がっていると考察しましたが、他にもキャラクター人気やOPやED、BGMの良さ、派手に動く作画と本当に隙のないアニメとなっていますので、ぜひ視聴してみてください。
(Edit&Text/天乃ひる)
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