春アニメ『シャドーハウス』は、不思議な洋館(シャドーハウス)を舞台としたミステリー作品。
<画像引用元:https://shadowshouse-anime.com/ より引用掲載 ©ソウマトウ/集英社・シャドーハウス製作委員会>
シャドーハウスには、貴族の真似事をする顔のない一族シャドー家と、彼女らに仕える生き人形たちが住んでいます。
そんな彼女らが住むシャドーハウスには、壮大な陰謀が隠されており……。
◆「影」と「人形」2人の主人公が織りなすミステリー作品
<画像引用元:https://shadowshouse-anime.com/story/?id=01 より引用掲載 ©ソウマトウ/集英社・シャドーハウス製作委員会>
『シャドーハウス』の主人公・ケイトは、シャドー家の1人。彼女らは特異な存在で、その姿は影のようなシルエットでできています。そのため、服以外は真っ黒。その表情すら黒に染まっており、何も読み取ることはできません。
また、その姿だけでなく、感情の高ぶり(よくない感情)によって「すす」と呼ばれる不思議な粉を出すことも彼女たちが特異な存在であることを物語っています。この粉は、彼女らの体と同じ真っ黒で、触れるもの全てを黒く汚してしまいます。そのため、ただ生活しているだけでも彼女らの部屋は「すす」だらけ。それを掃除する存在として、もう1人の主人公・エミリコがいます。
エミリコは「すす」を掃除するケイト専属メイドのような存在。シャドーとは違い人間のような見た目をしていますが、シャドーハウスでは生き人形と呼ばれています。しかし、その見た目はもちろん、生態機能すらも人間そっくり。むしろ、人形と呼ばれる方が不思議なほど。
<画像引用元:https://shadowshouse-anime.com/story/?id=03 より引用掲載 ©ソウマトウ/集英社・シャドーハウス製作委員会>
エミリコには、もう1つ大切な仕事があります。それはケイトの顔役を務めること。この顔役とは、表情の見えないシャドーのために、彼女らが浮かべているであろう表情を代行する、そんな不思議な仕事です。
2つの仕事を持つ「人形」エミリコ、存在そのものがミステリアスな「影」ケイト、本作はそんな2人を主人公とした不思議な洋館での物語。この2人が共に生活し、同時に洋館の異質さにふれていくミステリーが展開されています。
◆見どころはシャドーと生き人形の主従関係にあり
<画像引用元:https://shadowshouse-anime.com/story/?id=02 より引用掲載 ©ソウマトウ/集英社・シャドーハウス製作委員会>
不思議な世界観を持つ作品『シャドーハウス』。本作の面白いポイントは、そんな世界観の1つであるシャドーと生き人形が2人1組で生活しているところ。シャドーハウスには、たくさんのシャドーが生活しており、その数だけ生き人形がいます。この2人は主従関係のようなもので結ばれていますが、ただの主人と従者というわけではありません。キーとなるのは、シャドーハウスの特異な仕事、顔役について。
シャドーは基本的に生き人形を自分の顔役として連れて歩かなくてはなりません。これは一種のマナーのようなものです。この顔役で重要になってくるのが、どれだけ正確にシャドーの表情を模倣できるのかということ。シャドーも生き人形も、それぞれ別の人格を持っているので、同じ表情を作るのは容易ではありません。しかし、それやらせるのが優秀なシャドー、それをこなせるのが優秀な生き人形とされ、シャドーハウスでの格を決めるのです。そのため、シャドーハウスでは時として、シャドー同士が生き人形の優秀さを比べ合うことすらあります。特に成人前のお披露目という儀式では、シャドーと生き人形のシンクロが試されるようで……。シャドーと生き人形の評価はお互いに共有される重要な要素となっています。
<画像引用元:https://shadowshouse-anime.com/story/?id=03 より引用掲載 ©ソウマトウ/集英社・シャドーハウス製作委員会>
切っても切れない関係にあるシャドーと生き人形ですが、これは仲のいいペアもいれば、悪いペアもおり千差万別。性格がそっくりなペアもいれば、全く別の性格をしていることも。
『シャドーハウス』では、シャドーと生き人形が特有の絆を持っており、それぞれの関係が物語を左右する要素になっています。
◆時折見せる不気味な謎や不思議な要素
<画像引用元:https://shadowshouse-anime.com/story/?id=02 より引用掲載 ©ソウマトウ/集英社・シャドーハウス製作委員会>
『シャドーハウス』には、シャドーの存在であったり、生き人形であったり、顔役であったりと数多くのミステリー要素が登場し、シャドーハウスの不気味さ異質さを際立たせています。
基本的に、本作はミステリー作品なので、謎にはちゃんと理由や原因があります。つまり、シャドーが真っ黒な姿をしていることにも、生き人形と呼ばれる従者がいることにも、全て理由があり、それらは物語が進んでいくことで明かされていきます。
シャドーハウスでは、当たり前のようにペアを組まされていますが、シャドーと生き人形が瓜二つのシルエットをしていることもミステリー要素の1つです。シャドーに合わせて人形が作られたのか。それなら生き人形の顔はどこから来たのか、ということも気になるポイントです。
また、シャドーハウスには「こびりつき」と呼ばれる謎の怪物が出現することがあります。この怪物は、シャドーが出す「すす」が集まって生まれる存在とされており、生き人形が毎日掃除をする理由はこの「こびりつき」が出ないようにするため。「こびりつき」は生き人形を襲いますが、一体何のためにどんな目的があって生き人形を狙うのか。
このように『シャドーハウス』には、不気味な謎や不思議な要素が数多く登場し、視聴者を魅了しています。
――ケイトとエミリコの生活を描いたポップな一面と、洋館の不穏さが徐々に顔を出すミステリーな一面の両方を持った『シャドーハウス』。序盤は多くの疑問が生まれますが、それらが解決される後半は多くの驚きに包まれ、ますます本アニメに心惹かれるハズ。
また『シャドーハウス』はミステリー作品ということもあり、推理要素も満載。謎が解明される前に、独自の推理を組み立てながら本アニメを楽しむのもオススメです。
〈文/天乃ひる (@amano_hiru)〉
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