かつて、TVアニメ『SLAM DUNK』は1993年〜1996年にかけて放送され、東映アニメーションはいま上映中の『THE FIRST SLAM DUNK』の公開までの25年以上も『スラムダンク』に手をつけていなかったわけですが、実は本映画、企画としては19年前の2003年の秋にスタートしていました。
つまり東映アニメーションは、TVアニメが終了した数年後にはすぐに再度のアニメーション化を目論んでいて、長い時間をかけてやっとのことで完成に導いたといえます。
昨今、80年代、90年代にアニメーション化していた作品を、現在の技術や新たな布陣で再度アニメ化する例が多いので、ついその流行に乗ったような企画と想像してしまうところですが『THE FIRST SLAM DUNK』は途方もない時間をかけて完成に至った企画だったのです。
◆GOサインが出たのは11年目!? 長すぎる準備期間!
完成までこれだけの時間がかかったのは、当時はまだ監督を務めることすら決まっていなかった原作者の井上雄彦氏側から、長らく許可が降りなかったせいでした。パイロット版を制作し、そのブラッシュアップを重ねて、ついに許可が降りたのが2014年。企画のスタートから11年間近く、作品化できるか分からない状態でスラムダンクの映像化は水面下で進められてきていたのです。
しかし、この11年間が無駄ではなかったのは、現在の映像を観てわかる通り。3DCGアニメーションでスラムダンクのアニメを再現するという方針は、パイロット版の頃には生まれていたそうで、許可が降りた時点ですでに11年分の試行錯誤を経ていたことになります。いくらアニメーション産業が充実している日本とはいえ、10年単位での試行錯誤を得られる作品など稀で、それが結実した本作は異例とも言えます。
そして恐ろしいのはその許可が降りた2014年から、改めてそこから一本の映画としての制作が本格的に進んでいくことにあります。すでに企画が生まれてから11年を経ているのに、そこからさらに10年作り込んでいくのだから、相当な根気がないと実らない映画だったわけです。
ちなみにこれらの企画が進み出すまでの経緯については、今回の映画に合わせて開設された特設サイト「COURT SIDE」( https://www.slamdunk-movie-courtside.jp/ )のプロデューサーである松井俊之氏のインタビューで詳しく語られているので必見です。