つい先日『フルーツバスケット』の再アニメ化の発表がなされたことで「再アニメ化」というワードがどんどん話題になっていきています。

 近年では『封神演義』『魔法陣グルグル』『銀河英雄伝説』、ちょっと前も『HUNTER X HUNTER』がリメイクされる形で放送されていましたよね。

 幾数年の時を経て再び好きなキャラクターが見られるのは嬉しいことです。まぁ、作品によっては賛否両論が起きていたのも事実ではありますが……。「これも再アニメ化してくれ! 」という声がネット上では相次いでいるようです。

 中でも筆者を含め再アニメ化してほしいという声が密かに上がっている作品が『スパイラル〜推理の絆〜』。「月刊少年ガンガン」で1999年から2005年まで連載され、2002年にテレビ東京でアニメ化されました。

 なぜ数多ある作品の中で『スパイラル〜推理の絆〜』を推すのか? 作品の魅力も含めてご紹介いたします!

『スパイラル〜推理の絆〜』とは

 画像引用元:スパイラル―推理の絆 (1) (ガンガンコミックス) 販売元:エニックス

画像引用元:スパイラル―推理の絆 (1) (ガンガンコミックス)

出版社:エニックス

 まずは作品について軽く紹介を。

 『スパイラル〜推理の絆〜』の原作は『名探偵に薔薇を』『虚構推理-鋼人七瀬』などを執筆した推理小説作家の城平京氏。イラストは『異世界ピクニック』などのイラストを手がける水野英多氏。元々は推理漫画ながら後半は「ブレード・チルドレン」と呼ばれる、ものすごく簡単に言うと「すごい少年少女達」との知略の駆け引きから銃撃戦、果てには神様やら悪魔といったファンタジーのような存在まで登場する一風変わった作品です。

 後半に関しては「推理してないやん!」とツッコミを入れたくなるような内容に。それぞれのキャラクターの心情や「事件の解決」に向けての推理よりも「ブレード・チルドレンを救うための解決法」という点での推理に変わるようになり、終始主人公の鳴海歩を始めとした登場人物による葛藤と推理の駆け引きが読者を惹き付けるようになっていました。

 また外伝として4冊の小説が刊行されましたが、こちらは完全なる推理小説。ブレード・チルドレンとの駆け引きなどではない本格的な推理を楽しめる作品となっていました。

 当初は同月刊誌の大人気作品『鋼の錬金術師』がアニメ化される前であり、『ジャングルはいつもハレのちグゥ』と並んで「月刊少年ガンガン」の看板作品の一つとして人気を馳せていた作品なのです。

 なお2001年には外伝として『スパイラル・アライヴ』が始まり、2006年には主人公をブレード・チルドレンの浅月香介と高町亮子、竹内理緒に変えて2008年まで、本作の前日譚としての連載もありました。

 こちらも最初はオリジナルキャラクターによるラブコメ作品だったのですが、いつの間にか本作さながらのミステリアスな作品に変わっていった稀有な漫画になっています。

そのアニメはというと……

 そんな本作、アニメは2002年に2クール、夕方18時から放送が開始されました。

 だったのですが、アニメが放送された時期、原作では一番の盛り上がりとも言えるカノン編(ブレード・チルドレンの1人のカノン・ヒルベルトによる学園内での銃撃戦)真っ只中だったこともあり、当初から存在したブレード・チルドレンの謎や、歩と兄の鳴海清隆とのファンタジーとも言える関係については「全部どっかいった」と言わんばかりな状態でアニメが終了してしまったのです。

 歩の真逆に位置するミズシロ火澄など、銃撃戦以降のキャラクターは名前の一言も出てこず(アニメ終了時点でも出ていなかったのでここは仕方ないのかもしれないですが)、カノンもアニメでは一応ラスボス的立ち位置ではあったのですが、特に何か大きな救いがあったわけでも無い終わり方でした。

 といっても、漫画が連載中にアニメ化するのは当時からも別に珍しい話では無いですし、同じ少年ガンガンで連載されていた近い時期にアニメ化された『東京アンダーグラウンド』や前に述べた『鋼の錬金術師』も、後半からはアニメ独自のストーリーで構成されていました。

 これらはメディアミックスによる原作の販促が一つの目的でもあるため、版権を持つ側としては原作の連載中にアニメ化をするのが一番なのはごもっともなお話でしょう。

 とはいえ、やはり原作ファンからすればちょっと物足りないと言いますか、もっと次に繋げられそうな方法にしてくれても……という気持ちはあるのです。『スパイラル〜推理の絆〜』に限った話ではないのですが。

なぜ再アニメ化要望の声があるのか?

画像引用元:スパイラル~推理の絆~ 1 [DVD] 販売元:SME・ビジュアルワークス
画像引用元:スパイラル~推理の絆~ 1 [DVD]
販売元:SME・ビジュアルワークス

 『スパイラル〜推理の絆〜』を再アニメ化してほしい! その理由は?

アニメ放映当初と原作後半からの展開が大きく異なる

 はっきり言ってここでしょう。

 先述したように、アニメで一番の盛り上がりを見せた(と筆者は思っている)カノン戦以降は学園を舞台にしたドンパチといったシーンは鳴りを潜めます。その後に登場する歩と対をなすミズシロ火澄、彼らの兄の清隆とミズシロヤイバ(ブレード・チルドレンの父)それぞれが神と悪魔という対極の存在であること。歩と火澄は、それぞれ兄達と同一人物(クローン)であるという、『スパイラル〜推理の絆〜』という作品のストーリーが大きく展開していくところ。

 話自体は結構複雑ですし、この記事だけを見た人からすれば「どういうこっちゃ」と思うかもしれません。

 原作も「推理はどこいった」とも言われる所以ではあるのですが、本作の真髄に関わっていく重厚な内容と、真理を知った歩やブレード・チルドレンたちが「これからどうしていくのか」を考えていくという、(普通の学生とは全然違う状況とはいえ)高校生らしい一面も見せていく人間ストーリーでもあるのです。

 といった具合に『スパイラル〜推理の絆〜』がさらに大きな風呂敷を広げてくる! 面白くなってきたぞ! というところの寸前でアニメが終わってしまったので、正直惜しいと思いました。

 歩は世界初のクローン体としての問題上、20歳まで生きることが難しいという絶望を抱きながらも、自分が救われる希望を全て断ち切ってオリジナルである兄に勝利し、ブレード・チルドレンらにも希望を見出させました。全てがハッピーエンドではないものの、彼らが自らの希望を信じて進んでいく姿をアニメでも観てみたいのがファンの心境でしょう。

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実際再アニメ化は難しいかもしれないですが……

 再アニメ化となると、版権側も作品自体のリバイバルによる再ブレイクを狙うのが一つの目的である以上、大きな販促効果をもたらす作品でないと二の足を踏むのは無理もないものだと思います。

 『スパイラル〜推理の絆〜』自体にそこまで大きなインパクトがあるかというと、難しいところではあると思います。

 ただ、やっぱりこの作品は是非とも原作ラストまでアニメ化してほしい、アニメ化する価値は十分にあると、イチファンとして声を挙げたいのです……!

 

――皆さんも、再アニメ化を希望するアニメは数多くあるかと思います。筆者も『フルーツバスケット』の再アニメ化はとても嬉しいです。

 ここから、他の作品にも再アニメ化の流れがやってきて、そこに『スパイラル〜推理の絆〜』が上がってくれるといいなぁと密かに願っております。

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『スパイラル〜推理の絆〜』オフィシャルサイト

©城平京・水野英多/スクウェアエニックス・アニプレックス・創通

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