◆実は鬼門の冬の定番アニメ映画枠!
ただし、今回『SPY×FAMILY』が成功を収めた冬休みシーズンの興行は、なかなかシリーズ作品が定着しない季節でもあります。
春休みシーズンの『ドラえもん』や『しまじろう』、そして『トーマス』。ゴールデンウィークシーズンの『名探偵コナン』と『クレヨンしんちゃん』。夏の『アンパンマン』と『ポケモン』。秋の『プリキュア』。最近では夏休みシーズンからは『ポケモン』映画が作られなくなり、その枠に『クレヨンしんちゃん』が移行しようとしているような様子もありますが、大抵一年のうち定番のアニメ映画シリーズが満遍なく分布しています。
そんな中で唯一、これまでにこれといった定番作品が定着していないのが、年末年始の冬休みシーズンです。
これまで冬に劇場版を公開していたアニメシリーズもゼロではなかったのですが、『とっとこハム太郎』シリーズはアニメシリーズ自体が終了してしまったり、『かいけつゾロリ』シリーズは“毎年”公開とはいかず不定期に冬の映画館に現れたり、たまに時期がズレたりという状況で「冬と言えばこの作品」というアニメ映画シリーズが出てきていませんでした。
そんな中で無事にこの時期の興行で記録的な成績を残した『SPY×FAMILY』は快挙といえます。
もしかすると鬼門の冬アニメ映画の枠として、今後も『SPY×FAMILY』の映画をシリーズ化していくというのは、なくはない選択でしょう。
どちらにしてもそれらの判断はおそらく今回の映画の興行結果を踏まえて決定していくはず。しっかり成功を収めた『SPY×FAMILY』には、何かしらのアニメーションシリーズの次なる展開が控えていることは確信してもよいかもしれません。
もしかすると『しんちゃん』のようにアーニャも30年以上に渡ってアニメシリーズが親しまれる──なんて、ボンドが見据えられないぐらい先の未来もあり得るのかもしれません。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi