2022年の春はやはり『SPY×FAMILY』――!
「ジャンプ+」で連載の同名漫画を『王様ランキング』のWIT STUDIOと、『明日ちゃんのセーラー服』のCloverWorksがタッグでTVアニメ化した企画。
アニメ化以前からすでに人気タイトルだったこともあって、すでに口コミでも話題になっていたり、各所でタイアップキャンペーンが開催されていたりその勢いに圧倒されるわけですが、『SPY×FAMILY』は本編だけでなくオープニングやエンディングもすごい! 作品に合った楽曲と、さらにそれに合ったアニメーションが組み合わさった映像となっているのです。
◆アーニャの好物のピーナッツを思い起こさせるOP
TVアニメ1話ではお披露目されず第2話より解禁となったオープニング映像。
楽曲『ミックスナッツ』を担当するのはOfficial髭男dismの面々です。この曲ではアーニャの好物であるピーナッツを想起させる例えで、お互いに秘密を持ちながらも家族の形を確固なものとしていくフォージャー家にぴったりの、幸せを歌った曲となっています。この曲がTVアニメが始まりと共に流れるだけでもたまらないのですが、この曲に合わせて流れるアニメーションがこれまた秀逸!
サイレンのようなイントロとともに、アメコミ調のスリリングなアニメーションが始まったかと思えば、ボーカルの藤原聡さんの声が入って曲調が一転した途端に、絵本のような可愛いイラストに変化。ほのぼのとした家族の仲睦まじいイラストが立て続けに流れたかと思えば、サビに入った途端に暗転。たちまち、リアルなロイドとヨルがスパイと殺し屋の姿を表して、畳み掛けるように登場キャラクターたちの映えるビジュアルが流れます。
そして、最後には、テーブルを囲むフォージャー家の面々をカメラがぐるぐる回って、本作を象徴するビジュアルのシーンで止まったかと思えば『SPY×FAMILY』のタイトルがどん!と浮かび上がる。まさに見事な演出です。
一つの作品の中に、笑いあり、涙あり、アクションありの家族物である『SPY×FAMILY』という内容を見事にこの1分半に凝縮したと言えるでしょう。
本作の絵コンテ・演出を担当したのは石浜真史(いしはま まさし)さん。
石浜さんといえば、TVアニメ『ホリミヤ』や映画『ガラスの花と壊す世界』などの監督ですが、それ以外にも多くのアニメーションのオープニング・エンディングで絵コンテや演出を担当してきており、『冴えない彼女の育て方b』や『東京24区』などのオープニングでも石浜さんの活躍を見ることができます。
◆EDはアーニャ視点で「スパイファミリー」を追っていくかのような演習
オープニング主題歌がOfficial髭男dismならエンディング主題歌もこれまた豪華!なんと星野源さんの新曲『喜劇』が起用されています。エンディング映像はTVアニメ第3話からお披露目となりました。
激しいオープニングからは一転して落ち着いた曲調でありながら、軽快なリズムが心地よく、これまたエンディングテーマにはぴったりの曲となっています。そして、これまたアニメーションがとても気が利いた演出が盛りだくさんとなっています。
エンディングではアーニャの視点で、「スパイファミリー」が構成する要素を追っていくかのようなアニメーションとなっています。
孤児院に居たアーニャが、スパイ活動を任務とするロイドと出会ったことで、イーデン校へ入学。そしていろんなクセのある登場人物が立て続けに登場したかと思えば、気づくと一人ポツンと取り残されるアーニャ。
そこで、サビに入るとともにロイド、そしてヨルが現れて、一緒に家に帰路に着いたかと思えば、踊ったり、食卓を囲んだり楽しく過ごす三人が描かれます。そして最後には、パジャマ姿のアーニャが夜空に舞い夢の世界へと飛んでいく……多幸感とちょっとした哀愁が詰まった気持ちの良いアニメーションとなっていました。
随所には原作のコミックスを読んでいる人にはニヤリとする演出やアーニャの表情なども仕込まれているのもニクいです。
こちらの絵コンテと演出を担当したのは錦織敦史(にしごり あつし)さん。
錦織さんも『THE IDOLM@STER』や『ダーリン・イン・ザ・フランキス』といったTVアニメの監督を務める傍ら、その他のアニメーション作品でもオープニング・エンディングで絵コンテや演出を担当している方です。前述のTVアニメで担当しているのはもちろんのこと、『約束のネバーランド』1期のオープニングも錦織さんが絵コンテを手がけています。
――そして、ここで紹介している映像はYouTubeにあるTOHOanimationチャンネルにて、公式で映像のノンクレジットバージョンが配信されています。驚くべきことにこれらの映像はあっという間に500万回再生を超える人気動画となっており、その勢いはまだまだ止まりません。ロイドやヨル、アーニャの活躍は本編だけでなく、オープニングやエンディングでも炸裂しているのです。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi