◆往年の国民的アニメでも活躍していた!しんちゃんやまるちゃんにも注目

 そんな湯浅さんの手がけてきた映像たちにどこか見覚えがあるという人も多いのではないでしょうか。今でこそ多数の監督作を持つ湯浅さんですが、まだ監督作などを持つ以前は“あの”国民的キャラクターのアニメの制作にも参加していました。

 有名なのが『クレヨンしんちゃん』です。アニメの『クレヨンしんちゃん』シリーズに携わった人たちの中には『かがみの孤城』の原恵一監督や『ガールズ&パンツァー』の水島努監督など現在も活躍する有名監督たちが実は名を連ねているのですが、湯浅さんもそんな一人です。

 劇場版シリーズなどで唯一監督こそ務めてはいなかったのですが『クレヨンしんちゃんヘンダーランドの大冒険』の設定デザインやクライマックスの追いかけっこシーンなどは湯浅さんの色を強く感じられるものでした。湯浅さんはそんな『クレヨンしんちゃん』でもオープニングやエンディングでも絵コンテや作画として名を連ねています。

 そして、もう一本忘れてはいけないのが『ちびまる子ちゃん』です。実は湯浅さんは最初期のアニメシリーズから参加しており、この頃からオープニングやエンディングでも作画に名を連ねていました。

 今でも続く『ちびまる子ちゃん』の第二期以降の最初のオープニングとなった渡辺満里奈さんが歌う「うれしい予感」の映像では絵コンテと原画も担当。まるちゃんが幻想的な世界や不思議な生き物たちと出会っていく映像はかわいく、強く記憶に残っているという人も多いでしょう。残念ながらこの頃のエピソードを含めて、映像などは現在配信などがされていない視聴困難作品となっています。

 その一方で湯浅さんの『ちびまる子ちゃん』の音楽映像に関連したお仕事で、視聴しやすくなったものもあります。

 長い間、VHSやLD化以降長い間ソフト化がされていなかった『劇場版 ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』(1992)は2022年末にやっとBlu-ray化を果たし、最近では配信サービスでも見られるようになりました。

 『劇場版 ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』では作中にいくつか音楽パートが用意されていて、大瀧詠一さんの「1969年のドラッグレース」や笠置シズ子さんの「買物ブギー」のパートを湯浅さんが担当しています。

 中でも「1969年のドラッグレース」ではまる子が花輪家の車に乗って冒険する様子がまる子の想像を交えて描かれており、車が滑走する様子には今回の『SPY×FAMILY』のオープニングにも通ずる見せ方も登場しています。

 『SPY×FAMILY』Season2のオープニングアニメーションに興味を持った人はここで紹介した映像をチェックしてみると、新たな発見があるかもしれません。

 そして、しんちゃんやまるちゃんの主題歌パートを描いてきた湯浅さんが参加されたということで、『SPY×FAMILY』も今後10年、20年と長きに渡って愛される作品になっていくかもしれません。

〈文/ネジムラ89〉

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《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『TOHO animation チャンネル』より


アニメ『SPY×FAMILY』
©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

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