11月3日から上映中の『映画すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』ですが、「全国映画動員ランキングトップ10」(興行通信社調査、2023年11月3日~2023年11月5日、全国動員集計)の2位に入るといったように好成績を記録しています。今作はどんな映画なのでしょうか?
大ヒットとなった映画第一弾の『映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』で脚本を務めた角田貴志さんが、再び脚本に参加しているということから“大人も泣ける”作品となっているのでしょうか?
◆脚本家・角田貴志さんの手がけたエピソードの特徴とは?
『映画すみっコぐらし』のシリーズ化のきっかけを生んだのは、第1作目で脚本を務めていた角田貴志さん。俳優でもあり、デザイナーでもあるという脚本家以外の顔も持つ方です。
映画第二弾『映画すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』には不参加だったのですが、映画第3弾となる『映画すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』で4年ぶりに『映画すみっコぐらし』の脚本へ復帰となりました。
◆今回はこれまた別物? 新作すみっコの新境地
『映画すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』は、前作ともまた違った性質の映画となっていました。
今作では、すみっコたちがひょんなことからおもちゃ工場で働くことになるというお話。
森の中にひっそりとたたずむこの工場は明らかに不自然なわけですが、すみっコたちはそんな工場の“くま工場長”に誘われておもちゃ作りを手伝うことになります。
しかし、やはり何も事件が起きないこともなく、このおもちゃ工場には秘密が隠されており、その秘密が終盤に向けて徐々に明らかになっていきます。
この秘密が終盤で明かされ、そこに一つのドラマが隠されているという点では前作と似ているともいえます。
しっかり大人も想像しなかったようなまさかの真相が用意されており、その真相は思わずホロリとさせられるような切なさも秘めています。
しかし、一方で物語としては前作とはまったく違う筋道を成しています。
今回の映画のタイトルにある“ツギハギ工場のふしぎなコ”というサブタイトルにもひと仕掛けが用意されており、映画を観る前と観た後では少しニュアンスが異なる見え方がします。
クライマックスでは、映画らしい立体的なアクション要素もあったり、今回の映画の注目はそのエピソードの“着地のさせ方”にもあります。
エンドロールで描かれるエピローグの末に、映画の最後にスクリーンに映し出される驚きの仕掛け──今回も思わず唸らせられるような物語となっていました。