数多くのヒット作を生み出してきた映画のトランスフォーマーシリーズに新たな衝撃作が発表されました。なんと新作映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』が2022年に公開されることが発表されたのです。

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 この“ビースト覚醒”のキーワードにピンとくる人も多いと思うのですが、本作のベースとなっているのは、トランスフォーマーシリーズの中でも、動物たちがロボットへと変身する『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』シリーズがベースとなっています。

 車から巨大な人型ロボットへとトランスフォームする姿こそおなじみではありましたが、『ビーストウォーズ』は動物たちがロボットへと変身するので、これまでとはまた違った体験が期待できそうで楽しみです。

 ただ、もう一つ気になることがあります。というのもこのベースとなっている『ビーストウォーズ超生命体トランスフォーマー』は、日本では特殊な意味でも有名な作品となっているからです。

◆『ビーストウォーズ』シリーズとは?

 動物たちがロボットへと変身し、正義サイドのサイバトロンと悪役サイドのデストロンに分かれ戦うシリーズが『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』です。

 1997年に『ビーストウォーズ超生命体トランスフォーマー』が放送されて以来、これまでにも複数のシリーズが制作されてきました。ビーストウォーズシリーズにも海外で作られた3DCGアニメシリーズと、日本で制作された2Dアニメの2シリーズが存在するのですが、中でも3DCGで制作されたビーストウォーズシリーズは後述するある特徴からも有名な作品となっています。

 日本では以下の3作品が展開されていますが、内最終作となる『ビーストウォーズリターンズ』は、地上波の放送がされていないので、観たことがないという人も多いかもしれません。

  • 1997 ビーストウォーズ超生命体トランスフォーマー
  • 1999 ビーストウォーズメタルス超生命体トランスフォーマー
  • 2004 超生命体トランスフォーマービーストウォーズリターンズ

 作品内では、敵や味方が寝返ったり、エピソードの途中で死者が続出したりと、シリアスな展開が多め。中でも『ビーストウォーズリターンズ』は、セイバートロン星がメガトロンに征服されてしまい、画的にも終始暗い雰囲気での戦いが繰り広げられます。

 しかし、それはあくまでも海外で制作されたオリジナルのバージョンの話。日本ではローカライズにより一転して独自の作品としてアレンジが施されたシリーズとなっていたのです……。

◆日本だけの『ビーストウォーズ』

 日本で施されたローカライズとは、“吹き替え”

 吹き替え版が用意されるのは、海外アニメーションでは当たり前のことなのですが、『ビーストウォーズ』シリーズがすごいのは、ただ単に吹き替えをするのではなく、原作にはないパロディやアドリブなどを大幅に加えて、独自にコミカルな雰囲気に仕上げているところ。

 中でも、その特異性が発揮されているのが、第2シリーズである『ビーストウォーズメタルス』のリミックス回

 14話の『リミックス・バナナはどこ?』と最終話『ファイナルリミックス・バナナをわすれた!』は、これまでのエピソードを切り貼りして、独自のエピソードを作る半総集編となっており、オリジナルの物語とは雰囲気の異なる内容となっていました。中でも最終話では、吹き替え声優たちによる、しりとり対決やモノマネ合戦が繰り広げられ、本編のあらすじとは大きく逸脱したコメディ作品となっていました。

 このリミックス回が生まれたのは、TVアニメの放送前に、劇場公開作品として2エピソードが事前に日本上陸を果たしていたことにより、欠番となった放送回を埋めるべく、設けられたものだったのですが、あまりの反響の大きさに、続く『ビーストウォーズリターンズ』でも必要はないのに、ディスクリリース時の特典としてリミックス回が追加で設けられるほどでした。

◆『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の吹替はどうなるのか?

 独自のローカライズが人気を博し、そのローカライズ版のファンというまた特殊なファン層が確立してしまっているのが、『ビーストウォーズ』シリーズの日本の現状。

 それを踏まえると、ローカライズ版のファンにとっては、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は別物といえどもどうしてもその吹替版のテンションにかつての『ビーストウォーズ』のものを期待したくなってしまいます。まさに自身もそんなファンの一人なので、初報を聞いた際には、いろんな想像を巡らしてしまいました。

 しかし、ギャグやパロディを盛り込んだ内容にしてくれたら嬉しいと思う反面、冷静になるともし、そのようなノリを投入すると、従来の映画『トランスフォーマー』シリーズとは別物ののテイストになりかねないのが実情です。

 一つの手として、字幕版と吹替版でテイストを変えるという方法があるでしょう。アニメ映画『SING/シング』では字幕版と吹替版で、どちらも別の魅力があるという売り出し方をしていたのが記憶に新しいです。ただ、それは楽曲を日本アーティストによる日本語歌唱にするというアレンジ。『ビーストウォーズ』とも性質が異なるので、正直、すんなりそのローカライズの仕方が通用するかは、怪しいところです。

 今回の邦題には“ビーストウォーズ”というワードが登場していないことからも、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』には、かつてのノリをあまり期待しない方が正解なのかもしれません。その辺りをどうにか今回のローカライズ班が絶妙なバランス感で、かつての『ビーストウォーズ』ファンも懐かしさを感じられる按配になってくれたら嬉しいのですけどね。

 ちなみに『トランスフォーマー/ロストエイジ』では、動物ではないのですが、先行して恐竜の姿から変身するダイナボットというキャラクターたちが登場済み。動物たちの変身前のイメージはもしかしたら彼らに近いのかもしれませんね。

 宇宙船によって、浮遊させられてもがく姿が可愛いので、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の予習にぜひチェックしてみてください。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi


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