学園モノ、日常系アニメは数あれど、こんなにリアルで羨ましい青春モノは久々かもしれない・・・。
思わず壁を殴りたくなるほど甘酸っぱい青春ドラマを見せてくれるアニメ『月がきれい』は、ドラマ『逃げ恥』にも勝るとも劣らない、とにかくムズキュンさせてくれる作品です。
物語は、埼玉県川越に住む小説家志望の文芸部員・安曇小太郎と、陸上部所属の水野茜の2人を中心とした恋愛ストーリー。
中学3年になり、初めて知り合った2人。家族と食事に出かけたファミレスで出くわしたり、運動会の用具係で一緒になったりと、徐々に互いを意識し始めます。
文芸部員と陸上部という一見共通点のない2人。
そんな2人は徐々に仲良くなっていきますが、周りの目を気にして教室ではなかなか話せずにすれ違ってしまいます。
甘酸っぱい2人のやりとりに、
「若いな〜〜〜〜!くそ〜〜〜!」
と思わず壁を殴りたくなる衝動に駆られてしまう……。
今回は、そんな青春成分120%のアニメ『月がきれい』をご紹介します!
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中学生のリアルな描写が上手い!
『月がきれい』は中学3年生という思春期真っ只中の学生を描いたお話。
このお話の“青春感”というのは、高校生ではない、難しい年頃の中学3年生というところにポイントがあります。
ちょっぴり大人になり始めた年齢で部活では後輩を導く側だったり憧れられる存在だったり、それでいて受験もあり進路に悩む時期。
彼氏や彼女ができたり告白するだのしないだのと騒いだり、とにかく話題が尽きない年代です。
主人公の安曇小太郎も水野茜もどこにでもいる平凡な中学生。見た目も派手ではないしイケメンでも美人でもありません。ものすごい特技があるわけでもない。
それでも小太郎は小説家を夢見て小説を書いたり、陸上部の茜は走ることが大好きで大会を目指して部活を頑張る日々。
どこにでもある等身大の中学生の姿が非常にリアリティがあり、共感を呼びます。
小太郎は目立つグループではないけれども友達がいて、お昼と食べながらふざけて笑いあったり、茜は女子グループの中で机をくっつけてお弁当を食べながら友達の彼氏の話を聞く……。
このような何気ない日常風景が劇中において丁寧に描写されています。
また「あるある」シーンもこの作品の面白いところ。
小太郎は自分の部屋の電気についている紐でボクシングの真似事をするのですが、みなさんも身に覚えはありませんか?
また、茜は女子グループ独特の会話やトイレでのヒソヒソ話などで悩まされることがあるのですが、女子のみなさんなら「わかる〜」と頷いてもらえることでしょう。
友達との会話や、親との会話、モブの声まで、
「確かに教室にいた時はあんな光景があった」
「家に帰るとこんな部屋で感じだった」
と思い起こさせられるシーンばかりです。
そんな何気ない日常の表現がとてもうまく、わかりすぎて見てるこちらも胸がざわざわしてきます。
サブタイトルが秀逸
『月がきれい』は毎回サブタイトルに文豪達の作品名が付いています。
ちなみに、メインタイトルの『月がきれい』は夏目漱石がI love you.を「月が綺麗ですね」と訳したことから来ているようです。
まず、第1話は『春と修羅』です。
『春と修羅』は宮沢賢治の代表的な詩ですが、詩の『春と修羅』の内容がアニメのストーリーに関わってくるかと思えば、そうでもないです。
ただ、中学3年生の春になり、これから何かが起きていくといく漠然とした不安や緊張感が『春と修羅』と言うサブタイトルにぴったりハマっているのです。
かと思えば、第5話の『こころ』なんかは、いい感じになってきた小太郎と茜の2人に茜の友達である千夏がかなり関わってきて三角関係に発展しそうなストーリーでした。
『こころ』と言えば夏目漱石著の有名な三角関係の小説です。中学の教科書で読んだという人も多いのではないでしょうか。『月がきれい』でも国語の授業でちょうど『こころ』を題材にしていました。
授業のシーンでさりげなく『こころ』を入れ、またストーリーでは『こころ』のような三角関係を示唆し始める……見終わった後に「だから『こころ』だったんだ!」とすんなり納得出来る内容です。
(ちなみに、2話は『一握の砂』、3話は『月に吠える』、4話は『通り雨』でした。『一握の砂』は石川啄木、『月に吠える』は萩原朔太郎、『通り雨』は森瑤子の作品かと思われます)。
文豪たちの作品は読んだことなくても、皆さんタイトルを聞いたことがあるものが多いと思います。
もちろん内容を知っていればストーリーのヒントを得られるかもしれませんが、サブタイトルの作品を知らなくても、『月がきれい』を見終わった後に「だからこのサブタイトルなのか!」と腑に落ちるものばかりです。
このサブタイトルのつけ方も非常に秀逸ですし、文学好きな方は「次はどんな作品をタブタイトルに持ってくるだろう」とワクワクしてきますよね。