◆困難なアニメーション制作の世界
良いアニメーションを作るのにはやはり相応の手間がかかるのでしょう。
『ゾン100』の第1話の放送当時は、普通のゾンビ物からは展開を大きく裏切るストーリーや、ゾンビの血液をカラフルにするというポップな演出、そしてよく動くアニメーションのリッチな仕上がりが話題となりました。
しかし、やはりクオリティの維持が難しいのか、結局は最終話がいつ観られるのか分からないという事態に陥ってしまいました。
アニメーション制作を担当しているBUG FILMSは2021年に設立されたばかりのアニメーション制作会社です。これまでにはTVアニメ『古見さんは、コミュ症です。』や『サマータイムレンダ』といった作品の制作協力をしてきましたが、今回が初めてメインで制作を務めるTVアニメとなりました。
記念すべき一作目“なのに”と捉えるか、記念すべき一作目“だからこそ”と捉えるかは人それぞれですが、せっかくこれほどのアニメーションを作ってきた分、ここまできたら制作側の納得のいくクオリティーのアニメーションを時間をかけてでも作り上げ、なんとかして世に送り出してほしいところです。
アニメの作中では当初アキラが、就職先で精神的にも肉体的にも仕事で追い詰められる様子が描かれていましたが、制作裏でも同じようなことが起こっていないか心配です。
──昨今は、アニメーションの制作が間に合わず放送予定が変更となるニュースも珍しくなくなってきました。
良いアニメーションを見させてくれている以上、こういったニュースに怒るだけでなく、視聴者もクリエイターたちの制作環境に目を向けていくタイミングなのかもしれません。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi