2018年の夏休み映画として間違いなく注目作のひとつとして数えられるであろう、映画の発表が2017年12月13日に行われました。
その映画こそ、『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』、そして『バケモノの子』など、ヒット作を世に送り出してきた細田守監督のスタジオ地図最新作、『未来のミライ』です。
スタジオ地図の2018年公開予定作品『未来のミライ』
スタジオ地図最新作の長編アニメーション、『未来のミライ』は、2018年7月20日のまさに夏休み映画としてのタイミングで上映となります。
早くも今回の発表に伴い特報も公開となりました。
4歳の男の子“くんちゃん”が、未来からやってきた自分の妹の“ミライちゃん”に出会い、冒険に出るという物語となるそうです。
実はこの『未来のミライ』は、2017年5月に海外メディアVARIETYの細田守監督のインタビュー内にて、『Mirai』のタイトルで存在は公表されており、内容も一部明かされていました。
今回の予告編だけでは明かされていない部分として、ミライちゃんが未来からやってくるだけでなく、くんちゃん自身もタイムスリップして、子供のころの母親や曾祖父に出会うといった内容であることも、インタビューで述べられています。
本作では、監督・原作・脚本を細田守監督が務めるというだけあり、より細田守監督の色の濃い作品になることが予想されます。これが吉と出るか、凶と出るかは、ひとつ注目のポイントかもしれません。
『君の名は。』以前と以後では全く違う日本アニメ映画界
そして別の注目のポイントもあると思います。
前作、『バケモノの子』は2015年に公開されて興行収入60億円近い大ヒットとなり、細田守監督作品としても最大の成績を収めました。
当時は、宮崎駿監督が2013年に公開した『風立ちぬ』で引退を宣言していたこともあり、日本のアニメーション映画の前線で活躍する宮崎駿監督の穴を埋めるのはだれか。それは細田守監督ではないか・・・。そんな雰囲気がありました。
ですが、2017年末の今となっては、状況が変わってしまいました。
そのワケはなんといっても『君の名は。』で大ブレイクを果たした新海誠監督の台頭です。
『君の名は。』は、『バケモノの子』の60億弱どころか、その遥か上をいく250億なんてとんでもない記録をいきなり叩き出してしまいました。
そのせいで、今となっては新海誠監督の方が、細田守監督よりも名前が知られる監督となったと言っても、過言ではないでしょう。これにより2015年と2018年では、細田守監督に対して全く別の風が吹いていると言えます。
――果たして『未来のミライ』は、『君の名は。』という次世代代表作の決定版みたいな作品が出てきている状況下で、どれくらいの支持を受けるのか、もしくは、どれくらいの成績を収めるのか……。全く見当がつかないのですよね。
『未来のミライ』が2018年における日本アニメーション映画界の代表作の一作となるのは間違いないだけに、一体どんな結果が得られるのか、怖くもあるし、楽しみなところでもあります。
細田守監督がこういった状況を気にせず、傑作の完成に徹底しているのか、逆にかなり意識して制作に取り組んでいるのかといった部分も、今後のインタビューなどで語られていくのではないかと思うので、ちょっと聞いてみたいですよね。
この日本アニメーション映画界、本当に何が起こるかわからないです。そこには作品とはまた別にドラマがあり、そこに面白味もあります。
せっかく同じ時代に生まれたのですから、ぜひ2018年もリアルタイムにアニメの風を感じてみてください。そうすれば、作品自体にも別の味わいが得られるのではないでしょうか。
忘れちゃいけないのが、宮崎駿監督がちゃっかり引退宣言を撤回して、リングに再び上がろうとスタンバっていること。
この点でも、未来は予測不可能だよな、としみじみ思いますよね。
(Edit&Text/ネジムラ89)
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