1985年から1991年にかけて週刊少年ジャンプで連載され、1987年にはアニメがスタートし、シリーズ4作と3本のスペシャルを放映、海外では実写映画・ドラマも制作されるなど、今なお勢いが衰えることのない北条司氏の漫画作品、『シティーハンター』。
2019年2月にアニメの放送30周年を記念して、長編アニメーション映画として復活することも発表されました。これは「シティーハンターLOVE」な身としては黙っていられません!
ということで、今回は長年に渡りファンを魅了してやまない『シティーハンター』の“魅力”について掘り下げたいと思います。
「ハードボイルド」と「コミカル」が見事に融合
まずはざっくりと世界観を。
――舞台は新宿。裏社会で「シティーハンター」と呼ばれる伝説の始末屋(スイーパー)冴羽獠が、超一流の射撃の腕と鍛え抜かれた肉体を武器に、弱きを助け、法では裁けない悪を討つ!
ハードボイルドでシリアスな場面や激しいアクションもありながら、ギャグパートや思わずホロっとするような感動的なシーンも盛り込まれており、加えて依頼人が美女揃いという男子のハートをがっちり掴むことも忘れない、読者のツボを押さえまくったエンタメ感満載の作品。
男子のハートだけ掴まれてもね……というそこの女子! 主人公の冴羽獠はイケメンです!! モチロン、女子にも優しい設計ですのでご安心あれ!
新宿駅東口にある伝言板に「XYZ」と連絡方法を書いてコンタクトを取るという、今それをやると確実に個人情報流出だよね、とか別の犯罪に巻き込まれちゃうんじゃ? と一抹の不安がよぎる依頼の仕方だったりするのですが……まあそれは置いておいて。
登場キャラクターも主人公・冴羽獠をはじめ、劇中で常に100tハンマーを振り回すヒロイン・槇村香、獠のライバルであり悪友で猫と女性にめっぽう弱い伊集院隼人(通称:ファルコン)、獠とは腐れ縁でことある毎に彼を色仕掛けで利用しようとする「警視庁の女狐」こと野上冴子など、一癖も二癖もある個性的な面々ばかり。
依頼を受けるかどうかの基準は依頼人が美女であること、もしくは「心が震えた時」で、請け負う仕事は主にボディーガード。稀に暗殺や警察に相談できない内容の依頼が舞い込むこともあり、依頼人はその都度変わって行く一話完結系。
様々な人間関係が絡み合い、時にはメインキャラクターの過去や生い立ちが関係してくることも。大都会・新宿の街を駆け抜けながら時にシリアスに、そして時にはギャグを織り込みテンポよく物語が展開する、ハードボイルドとコミカルが見事にマリアージュした作品となっています。
ヒーローは無敵であるべし!
シティーハンターを語る上で外せない一押しポイントが、主人公・冴羽獠の圧倒的なヒーロー感!
とにかく彼は強い!!
その強さは例えるなら「水戸黄門」級、スーパーマリオの「無敵マリオ」級! まさに他の追随を許さない最強の存在なのです。
特撮ヒーロー作品でもバトル漫画でもありますよね、主人公が窮地に追い込まれる場面。ジャンプだと『ワンピース』や『ジョジョの奇妙な冒険』、『ドラゴンボール』などでもよく目にしますが、敵があまりにも強すぎて思わず、「あれ……これ、勝てなくね?」と登場人物よりも自分が先に勝利を諦めてしまうことが何度かありました。
「友情、努力、勝利」がテーマのジャンプなのだから、そこは読者が信じなくてどうする! と言いたい気持ちはわかります。わかりますが……、フリーザとか戸愚呂兄弟とか吉良吉影とか半端ないって! 勝てるわけないやん!!
『ジョジョ』のアニメ第3期に至っては新しい敵が現れるたびに「今度こそ無理」と思い続ける日々が続きました。
だがしかし、私に朗報です! 『シティーハンター』ではそんな心配全くいりません!!
だって冴羽獠は誰よりも強いから!!
確かに毎回強敵が現れるのですが、どんな相手だろうとスマホゲームの日課をこなすかの如くさっくりと倒してしまいます。
サイクルとしては水戸黄門と同じです。比較してみると、
【水戸黄門】
各地域で虐げられている人と接触する→悪い奴が浮かび上がって来る→やっつける
【シティーハンター】
依頼人と接触する→悪い奴が浮かび上がって来る→やっつける
ほら同じ!
おまけに獠は超一流のプロのスイーパーなので、命を賭けたバトルシーンでも「どうせ勝つんでしょ、知ってる」という気持ちでアクションに集中することが出来ます。
水戸黄門パターン、万歳!
ぜひ、日ごろのハラハラ感を忘れ、安心しきったノーガード状態で楽しみましょう。
フラフラしていると見せかけて・・・
そして、彼は強いだけではありません。身体能力が高く声帯模写に長けるなど様々な特技を持ち、イケメンで優しくて包容力があって頼もしい……、
もう、惚れてまうやろーーーー!
その上無類の女好き。スケベで基本美女の依頼しか受けず、命を狙われている依頼人を守る口実で自身が管理するマンションの一室に泊めては毎晩夜這いを決行。「新宿の種馬」の異名を持ち、いついかなる時でも考えているのは“美女ともっこり”のこと……。
あれ? 何だかダメ男感が増してきたぞ!
確かにこれだけならただの変態なのですが、冴羽獠は一味違います!
美女とみれば誰かれ構わず手を出しているように見せておきながら、特定の恋人は作らない主義。実際に獠は結構モテていて、依頼人の他にも冴子の妹・麗香や、海坊主の喫茶キャッツアイで働く麻生かすみらから想いを寄せられていますが、決して一線を越えようとはしません。
それは何故か? 槇村香という本命がいるから!
そう、『うる星やつら』の諸星あたるしかり、こちらの冴羽獠しかり、フラフラしているようでいて、皆ちゃっかりオンリーワンを抱え込んでいるのです。
香も依頼人の女性たちに負けず劣らずのスタイル抜群・美女なのですが、獠は香にもっこりしないように意識的に抑えているらしく……自分にとってかけがえのない存在なのにそれを隠しあくまで仕事のパートナーとして接する、でも彼女の身に危険が及べば命を張って守り、そして作中の端々で香への想いが見え隠れする……。
獠は今でいうところのツンデレ気質のようです。
でもそこがまたギャップ萌えというか何というか! 普段態度に出さないからこそたまにデレた時が堪らんのです!! 心の底から……いいなぁ、香。
本編以外でもパラレルワールドを描いた『エンジェルハート』が漫画からアニメ化、その後ドラマ化されるなど、時を越えてなお広がりを見せる『シティーハンター』の世界。
30年以上蓄積されたその魅力はとても語り尽くせません!
そして、映画の情報で一番嬉しかったのが、キャスティングが変わっていなかったところ。
オリジナルキャストで新作が見られるなんて……最高ですね!!
映画の公開までまだ期間があるので、過去作品や漫画で復習をしながら2019年の公開を楽しみに待ちたいと思います。
(Edit&Text/彩乃)
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©北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会