前回、『ときめきメモリアル』についてお伝えして以降、今まで出会ってきた沢山のゲームたちに思いを馳せるようになりました。
男性向けゲーム、女性向けゲーム、両性向けゲーム(←どれが該当するのか?)
思い返せばPCからゲーム機まで(おはようからおやすみまで)それこそ徹夜でゲームに勤しんでいた時期があったな……。
そんな中、そういえば昔プレイした乙女ゲームの中に衝撃を受けた作品があったことを思い出しました。
2004年にプレイステーション2のソフトとして発売された『幕末恋華・新選組』。

上記サイト ダウンロード壁紙より
タイトルの通り舞台は幕末、女の子専用(乙女)恋愛アドベンチャーなので、新選組の隊士たちが恋愛相手となる訳ですが……こちらのキャッチフレーズをご覧ください。
新撰組初の女性隊士となり 本気の恋愛を体験するアドベンチャーゲーム
この言葉に、イケメン隊士たちとロマンチックな恋愛が出来るのね、楽しみ! なんて思いながらウキウキとゲームを始めた私……でもそこに待ち受けていた“本気の恋愛”はガチで半端ねえモノだったのです。
今回はそんな、乙女ゲームであって乙女ゲームとは呼べないかもしれない、地雷だらけの作品『幕末恋華・新選組』についてお話しします。
ラブ度外視のストーリー展開
まずは簡単にゲームの概要をご説明したいと思います。
主人公は会津にある小さな町道場の少女。奔放な父が家を出て行き道場は頓挫、母は父を見限って再婚してしまい、会津藩主の姫に仕えることになります。
その後、父に感化されて剣で身を立てたいと望み始めた主人公のために、主である姫が紹介してくれたのが「新選組」。
姫の口添えで新選組初の女性隊士として迎えられた主人公は隊士たちと交流を深め、やがて恋に落ちて行く、という内容。
……身勝手な親のせいで結構苦労してるんだなぁ。
こうして新選組に入隊した主人公。さあ、ここからは恋愛一直線! かと思いきや! 公式サイトのこちらの一節にご注目いただきたい。
そして二人に訪れる、切ない結末――。
たとえ共に朽ち果てても悔いは無い――。このゲームでは、そんな“本気の恋”を体験することができます。
皆さん覚えていますか? これは恋愛ゲームです。なのに何でこんなワードが!? とお思いでしょう。実はこちらのゲーム、史実に基づいてストーリーが展開していくんです。実際に起きた騒動や事件に絡めて隊士たちとの恋物語が描かれて行くんです。つまり……
“恋する相手”次第では大変なことになるんです!!!
付き合う隊士によっては……●●エンドまである

上記サイト ダウンロード壁紙より
という訳で、史実通りに進んで行くデンジャラス空間の中、自分好みの隊士と恋に落ち、想いを育んでいく主人公。
通常の恋愛ゲームであれば、恋をして、様々なエピソードを通じて好感度を上げ、物語の終わりに待っているのはハッピーエンド!
なのですが。こちらのゲームはしつこく言いますが、史実に基づいてストーリーが進むので、恋する二人の結末がハッピーエンドとは限らないのです。そう、例えそれが、ハッピーエンディングだったとしてもです。
例えば上記画像の男、新選組総長・近藤勇。見た目、かなり好みです(個人的意見です)。ですが史実に基づいているので妻子がいます。恋愛ゲームなのに妻子がいます。
恋に落ちる前から不倫確定しているんです!
だったら恋に落ちるなよと言いたい……でも新選組の中心人物を攻略対象から外すことは出来ないですよね。
不倫から始まった恋だから悲恋エンドなのかなと思いきや、まさかの、デスエンド。
しかも彼は死んでしまったけど、その思い出を胸に私は強く生きて行こう! ではないんです。
一緒に切腹してしまうんですよ!!!!! ←これがハッピーエンディングの結末
不倫だけでもドン引きなのに、あり得ねぇ……プレイ当時、ちょっと近藤勇のことが嫌いになりました。
デス度確率→約1/2

上記サイト ダウンロード壁紙より
そんな死と隣り合わせの運命を背負った恋愛対象者たち。史実に~(以下略)ので、沖田総司だって(ビジュアル的には一番好き)、土方歳三だって(長髪設定が無理)、山南敬助だって(唯一の眼鏡キャラなのに!)、藤堂平助だって(結構序盤で)もれなくデスってしまいます。
差があるとすれば、自分も一緒に死ぬか、自分だけ生き残るかの違い。
攻略対象者の約半分がデスるという何とも世知辛い展開……好みのタイプはほぼ死んでしまうので、共に生きてハッピーエンドを迎えられたダーリンは一人しかいませんでした。
そんな唯一の勝者、斎藤一の画像を貼り付けておきます。
ちなみに、沖田総司のルートに入ると当然彼は病で亡くなってしまうのですが、主人公に子どもを残してくれました。さすがは本気の恋愛……って、生々しいな!
新選組に女性が入隊し、隊士たちと恋愛する――この時点で史実をぶっ壊しておきながら、ストーリー展開はガチ、キャラクターにも容赦のないゲーム、『幕末恋華・新選組』。
綺麗ごとだけじゃない、という点である意味リアルな恋愛を体験できるのかもしれません。相手次第では下手したら自分も討ち死にですけどね!
最愛の人を守るため、自ら剣をとり、共に戦う。
たとえ朽ち果てても悔いは無い――
でもできれば朽ち果てたくはない、恋愛ゲームなんだもの……と思わずにはいられない今日この頃です。
(Edit&Text/彩乃)
© 2004 VRIDGE INC. ©2004 D3 PUBLISHER