よかったー!

 2020年3月6日(金)の上映予定だったものの、公開時期未定の延期に入った『映画ドラえもんのび太の新恐竜』が、ついに2020年8月7日(金)に公開することを発表しました。

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 残念ながら、『STAND BY ME ドラえもん2』は公開延期となってしまいましたが、ドラえもんに会えることには変わりなし。未定のままモヤモヤしながら待つ日々と、やっとおさらばできるということで一安心です。

 さて、あとは8月まで予告編を眺めて生き続けるだけのミッションが課せられているわけですが、流石にまだまだ時間がありますので、ここで『映画ドラえもんのび太の新恐竜』について一つ気になる疑問について話していきたいと思います。

 今回の映画がなぜただの恐竜ではなくて“新”恐竜なのかという疑問です

ドラえもんにとって特別な『のび太の恐竜』

 なぜ“新”恐竜なのか?

 まず多くの人が知る答えとして、すでにドラえもんの映画では『ドラえもんのび太の恐竜』(’80)、そしてそのリメイク版『ドラえもんのび太の恐竜2006』(’06)が存在するというものがあります。どちらも『映画ドラえもんのび太の新恐竜』同様にのび太と恐竜の交流を描いた作品です。

 ポイントとして忘れてはいけないのが、この『のび太の恐竜』という映画が、映画ドラえもんシリーズに置いて重要な意味のある作品だということ。『ドラえもんのび太の恐竜』(’80)は記念すべきドラえもんの映画シリーズ第1弾であり、『ドラえもんのび太の恐竜2006』(’06)はレギュラーキャラクターの声優が交代したアニメシリーズの大型リニューアル直後の映画第1弾でした。ドラえもんにおける節目は、『のび太の恐竜』が映画のタイトルを飾ってきたのです。

 そして、この2020年。ドラえもんは新たな節目を迎えます。ドラえもんの映画は2020年で記念すべき40作目という節目を迎え、さらにドラえもん自体は50周年という節目を迎えます。

⇒ドラえもん50周年特設サイト:https://50th.dora-world.com/history/

 長年続いてきたTVアニメの放送枠も移動し、ドラえもんを巡る環境も大きな変化を迎えました。生まれてから半世紀が経った今、『映画ドラえもんのび太の新恐竜』というタイトルで映画を製作したのは、これからドラえもんを新たなステージに進めていこうという制作陣の気概が感じられるのです。

恐竜も新たな節目を迎えている

 そして、もう一点忘れてはいけない理由があります。

 それは恐竜の研究自体が『ドラえもんのび太の恐竜』(’80)の公開時から2020年までの間に、新たな局面を迎えたからです。

 かつては爬虫類の系譜と考えられていた恐竜たちが、近年の研究により、鳥類に近い生き物であることが次々と分かってきました。長い間、巨大なトカゲのようなビジュアルで親しまれてきたティラノサウルスも、羽毛の生えた姿であったということが通説となってきています。現代における“恐竜”は、『ドラえもんのび太の恐竜』(’80)で描かれたような恐竜ではなく、『映画ドラえもんのび太の新恐竜』で描かれるキューとミューのような、鳥に近い姿の“新”説の姿が正しいとされているのです。

 そもそも、細かいことを言えば『ドラえもんのび太の恐竜』(’80)に登場した、フタバスズキリュウであるピー助というキャラクターは、首長竜というグループに属される正真正銘の爬虫類グループの生物で、恐竜とは異なる系統の生き物です。厳密に言えば『ドラえもんのび太の恐竜』というタイトルよりも『ドラえもんのび太の首長竜』というタイトルが正しいのであって、今回の『映画ドラえもんのび太の新恐竜』こそが満を持して、のび太と本当の恐竜との親密な交流が描かれる映画となるのです。

藤子・F・不二雄イズムを引き継ぎながら

 「ピー助って恐竜じゃないじゃん」とか「恐竜って鳥類に近い生き物じゃん」とか重箱の隅をつつくような物言いなのですが、そこをあえて正していこうという姿勢もまたドラえもん映画らしいな、と感じさせます。近年のドラえもん映画は、原作にないオリジナルストーリーながら『映画ドラえもんのび太の南極カチコチ大冒険』では南極大陸に秘められたロマンを語り、『映画ドラえもんのび太の月面探査機』では月への想像力を掻き立てさせてくれました。

 この体験はまさに、かつて藤子・F・不二雄先生が漫画で教えてくれた、世界の不思議や科学の面白さと近いです。キャラクターとしてではなく、ドラえもんの根底に流れる藤子・F・不二雄イズムみたいなものを継承してくれている証拠が、この『映画ドラえもんのび太の新恐竜』“新”に込められているのではないでしょうか。

(Edit&Text/ネジムラ89)


2020年8月7日(金)公開『映画ドラえもん のび太の新恐竜』公式サイト

製作/藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ動画・ADKエモーションズ・ShoPro 配給/東宝

©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020

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