「東京アニメアワードフェスティバル2016」(TAAF2016)にてグランプリを受賞し、3年の歳月を経て一昨年日本にて公開された際、スマッシュ・ヒットを記録した映画『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』のレミ・シャイエ監督の最新作、映画『カラミティ』の日本語吹替え版キャストが2021年3月5日に発表された。
映画『カラミティ』は伝説の女性ガンマン、カラミティ(厄介者)・ジェーンの少女時代を描いたフランス・デンマーク産のアニメ映画。「アヌシー国際アニメーション映画祭2020」にて最高賞のクリスタル賞を受賞し、2021年3月12日から4日間の日程で開催された「東京アニメアワードフェスティバル2021」(TAAF2021)では、オープニング作品として招待上映されるなど、今もっとも期待されているアニメ映画と言えよう。
本映画で主人公、マーサ・ジェーン役を演じるのは、声優の福山あさきさん。昨年公開のルーマニア・フランス産映画『マロナの幻想的な物語り』の通行人役からの大抜擢となる。
今回、アニギャラ☆REWでは、福山あさきさんへインタビューを実施。マーサ・ジェーン役に決まった際の感想や、役を演じるうえでのこだわり、作品の見どころなどをおうかがいした。
◆マーサは本当に自分に正直で良くも悪くもまっすぐな女の子
――マーサ・ジェーン役に選ばれた時の心境を教えてください。
福山あさきさん(以下、福山さん):去年公開された『マロナの幻想的な物語り』 では、通行人の役をやらせていただきましたが、今回は主演とのことだったので、なかなか実感が沸かなくて夢かなと思いました。
実感が沸かないまま台本と映像をいただいて、映像を見たら本当に景色もきれいで、内容もすごく素敵なお話だったので、この主演をやらせていただけるんだって、すごく嬉しかったです!
――マーサ・ジェーンはどんな女の子ですか?
福山さん:本当に自分に正直な女の子で、良くも悪くもまっすぐで、そうですね、いろんな一面があるなと思っています。イーサンの前では年相応な子供らしさを見せていたり、エリージェやレナの前では少しお姉さんぽく振る舞ったり、旅の途中で男の子のフリをしたり。また、活発的な女の子でもあるので、それ故に「カラミティ」……疫病神って周りから言われてしまうなど、本当にいろんな一面を持っている女の子でした。
<福山あさきさんが演じるマーサ・ジェーン>
◆マーサを演じる時は役を作りすぎずに「ナチュラル」に演じるように気をつけた
――役を演じるうえでこだわったポイントや、役との向き合い方を教えてください。
福山さん:マーサは、本当に素直で正直な女の子だったので、演じる時は役を作りすぎずにナチュラルに演じるように気をつけました。マーサは行動力があってトラブルを起こしやすいですが、普通の子となんら変わりがないのかな、と思って演じています。
また、史実のマーサ・ジェーンはお話上手な方だったと監督から聴いていたので、映画の中で妹や旅団の人たちに旅のお話をするシーンを演じる時は、聴いてる人たちが引き込まれるように、その場に行っているような感覚になるように、ちょっと大げさにお話して、聴いてる人を引き込める演技ができるように気をつけました。
――マーサと御自身が似ているなって思う部分はありますか?
福山さん:周りが何を言おうが自分がやりたいと思ったらやり通そうとする、すごく負けず嫌いなところがけっこう似ているなと思いました。だからこそ、ナチュラルに演じられたのかなと思います。
――逆に魅力を感じた部分は?
福山さん:大人になればなるほど、周りの人の表情をうかがって、言いたいことがどんどん言えなくなると思いますが、マーサの場合、年齢がまだ12歳ということもあり、本当に思ったことをパっと言ってしまいます。その素直さはすごく魅力的であり羨ましいなぁと思いました。とはいえ、言ってはいけないこともあると思いますけど。だから、マーサを演じる中で、クソ頭と言うシーンがあった時は本当にびっくりしました(笑)。このシーンを演じた時、マーサのまっすぐさが眩しく感じました。
◆マーサたちが旅を通して、どんな風に成長していくのかという心の変化を見ていただきたい
――映画『カラミティ』の見どころや、ここに注目してほしい点を教えてください。
福山さん:マーサが旅を通して、どんな風に成長していくのか、そして、周りの人もどんなふうに変わっていくのかという心の変化を見ていただきたいです。また、独特な色彩で描かれた普段の生活では見ることのできないような広大な美しい風景を、マーサと旅をしている気分になって見てほしいです。
――最後に映画の公開を楽しみに待っている方々へメッセージをお願いします。
福山さん:マーサの良くも悪くもまっすぐで素直、時にはがむしゃらに進んでいく姿は、見ている人に勇気を与えてくれるのかなぁと思っています。選択肢は一つじゃなくて、自分の行動次第で、無限にあるんだよっていうことをこの作品を通して届けられたら嬉しいです。
〈取材・文・撮影 /水野ウバ高輝〉
◆映画『カラミティ』作品概要
【ストーリー】
『カラミティ』は、西部開拓史上、伝説の女性ガンマンと知られるマーサ・ジェーン・キャナリーの子供時代(11歳)の物語です。マーサは家族とともに大規模なコンボイ(旅団)で西に向けて旅を続けていますが、旅の途中、父親が暴れ馬で負傷し、マーサが家長として幼い兄弟を含め、家族を守らなければならない立場になってしまいます。普通の少女であったマーサは、乗馬も、馬車の運転も経験がありません。そんなマーサは、少女であることの制約に苛立ち、家族の世話をする義務をよりよく果たすために少年として服を着ることを決心します。女性は女性らしくという時代にあって、マーサの生き方は、古い慣習を大事にする旅団の面々と軋轢を生みます。更にマーサを野獣からの危険から救ってくれた中尉をコンボイに引き入れたことで、盗みの共犯の疑いまでかけられてしまいます。そして・・・。
【作品情報】
■タイトル: カラミティ
■監督: Rémi Chayé レミ・シャイエ
■原題: Calamity, Une Enfance de Martha Jane Cannary
■英語題名: Calamity, a childhood of Martha Jane Cannary
▼公式サイト
▼公式Twitter
https://twitter.com/calamity_movie
2020年|フランス・デンマーク|フランス語|日本語字幕|日本語吹替え|DCP|カラーCS|82分