この夏、とんでもないロックライブを体験してきましたよ。

 多くの野外フェスの中止が発表される中ではありますが、私が体験してきたライブというのは屋内公演! しかも複数回にわたって実施される上に換気もバッチリ! そんな2021年の夏に味わえるライブというのが、映画館で公演されている劇場版『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』ですよ

 本作は、ゲームシリーズをはじめとして、アニメやライブ、映画など様々なメディアミックス展開をしている『BanG Dream!』こと『バンドリ』シリーズのライブ型劇場版シリーズの第2弾。『バンドリ』といえば、作品に複数の女の子たちのバンドが所属していることでお馴染みのシリーズなのですが、このFILM LIVEシリーズでは、実際に彼女たちのライブを観に来たかのような体験を映画館で味わえるのが魅力のシリーズとなっています。

 実は2019年にも第1弾として『BanG Dream! FILM LIVE』が実施されていたのですが、その際は“参加”しそびれており、今回の『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』が『バンドリ』ライブ初体験でした。実は私、ゲームも音源もほとんど聞いたことがなく、かろうじて直近で劇場公開をしていたエピソード形式の劇場版『BanG Dream! Episode of Roselia』シリーズだけは観ていたので、Roseliaというバンドのことだけを知っているバンドリ初心者状態でした。そんな状態で果たして楽しめるのか? と不安にも思っていましたが……なんてことはない。ものすごく楽しめました。本作、びっくりするほどのライブ再現具合となっており、想像を超えてくるライブが味わ得たのです。果たして、どんな体験だったのかその内容を具体的に紹介します。

◆劇場版『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』の“本当の”ライブ体験!

 2021年8月20日(金)より公開をスタートした劇場版『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』は全国の映画館で楽しめるライブ型の映像体験です。

 ライブのように見せているだけの映像を想像する人もいるかもしれませんが、『バンドリ』シリーズは実際のライブパフォーマンスを実施してきているコンテンツです。その強みを生かして、実は同シリーズのバンドが過去に行ってきた実際のライブの音源がある場合はその音源を、5.1chサウンド(正面+前後左右+重低音スピカーの体制)と新たな3DCGアニメーションで再構築したという企画で、ライブのように見せているというよりも、そもそもこの映画で流れているのは本当のライブの音源なのです。

 そんなリアルな音源だからこそ、ライブとしての臨場感は抜群。音源自体はもちろんのこと、音が聞こえるスピーカーも実施のライブ会場のような聞こえ方を想定して調整しているので、徹底的に音の鳴り方はそのライブに実際に来たかのようなものとなっているのです。

 しかも、その音に合わせて流れる映像は、『バンドリ』シリーズでも長きに渡って豊富な実績を持つ株式会社サンジゲン。昨今の3DCGアニメーションでも、いまだに作り物感が拭えないルックのものも多く存在しますが、今作では自然な立体感で違和感なく可愛いバンドメンバーの演奏姿を楽しめます。しかも3DCGであるが故のメリットとして、カメラがとにかく動く! いろんな角度や映し方、ここぞの表情や演奏姿に至るまでMVを観ているようにドラマティックに観せてくれます。

 もはやここまで徹底していると恐怖すら感じますよ。

◆ここまでリアルにするのか!? ステージ演出!

 劇場版『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』のライブの再現度で驚かされたのは、それだけではありません。なんとこのライブ、アリーナやドーム公演を思わせるような複数ステージ構成となっているのです

 どういうことかというと、『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』の映像中のライブ会場は、観客席を2つのステージが囲むような構成となっており、一方のステージで演奏が行われた後は、続いて反対側のステージでの演奏が始まるという基本2ステージ交代制を導入しています。

 これは実際のアイドルやアーティストのコンサートやライブでも用いられることのあるものでメインステージとバックステージを設けて、一方のステージで演奏を実施している最中にもう一方のステージの準備をしたり、大勢の観客でも満遍なく至近距離でステージを楽しんでもらえるといったメリットがあります。

 しかし『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』は正直な話、アニメの世界。ステージから遠い席の人にも楽しんでもらえるようにするとか、ステージ上のセッティング時間とか、気にしなくても良い世界です。ですが、本作ではわざわざ2ステージ体制で進行していきます

 この2ステージ制にしたおかげで、より実際のライブのような体験に思えるのに加えて、ステージの転換の際にバンド同士の掛け合いが発生したりと、ギミックの一つになっているのもポイント。ステージによって若干ステージのデザインが違ったり、そこまでこだわるのかという違いがあるのも面白いです。

 ちなみに、メインとバックだけでなく、センターステージと呼ばれるライブ会場の中央にステージを設ける例もあるのですが、本作でも序盤から客席の中央になにかしら黒いスペースのようなエリアが見えているのをお見逃しなく。それが何なのか……はもちろん期待して大丈夫です。

◆無念の応援上映形式不可

 スモークやクレーン、演奏しているメンバーの背面に映る映像に至るまで……ここで紹介しきれないほどの演出のこだわりの数々に本当に感動させられっぱなしになるのですが、唯一、本作では悲しい問題が存在します。それは、この『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』では応援上映的な楽しみ方が禁止されていることです。

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 本来であればこういったライブ形式の映像作品であれば、応援上映としてペンライトを振ったり、声出しをしたりして参加形式の上映が実施されるのが定番でした。しかし残念ながら、いまだに新型コロナウイルス感染症の流行はおさまっていないということで、声出しはもちろんのこと、応援グッズを振ったり、さらには手拍子に至るまで禁止ということになっています。

 こんなに楽しい体験を味わえるのであれば、観ているこちらも盛り上げたくなるところですが、今は時勢が時勢ですので我慢のとき。いつかコロナが収束したときにまた再集合して全力で応援できる人を夢見ながら、今は心の中で声援を送りましょう。

 

 ――これだけの体験価値が備わっているので、所属するバンドやメンバーのことを知らなくても全然問題なし。というよりも、むしろ今作で『バンドリ』を初めて知るという人にも「『バンドリ』にはこんな子達が居るのか」と知るきっかけを最良の環境で与えられているようなものです。私もこれを機に『バンドリ』にどんなバンドがあるのかを知ることができました。可愛い女の子が歌う姿が観たいという人から、ライブアニメーションの一つの到達点を観たい人まで、2021年の夏の締めに劇場版『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』を激推しいたします。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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