「夏はポケモン!」
というフレーズも今や昔。2020年に劇場公開を果たした『劇場版ポケットモンスターココ』は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、年末の冬公開となり、さらに2021年は久しぶりにポケモン映画の新作が公開されない稀有な年となってしまいました。
『劇場版ポケットモンスターココ』は、ポケモンのザルードに育てられた少年ココが、サトシとピカチュウに出会ったことをきっかけに、ある事件に遭遇し、転機を迎える物語となっており、シリーズ屈指の名作として高い評価を獲得した映画でした。しかし、興行的には時勢の影響もあり、例年のポケモン映画に比べると、興行成績は低く残念に思っていた作品です。
しかし、そんな『劇場版ポケットモンスターココ』にも新たな動きが発表されています。
なんと、海外展開がここにきて続々とスタートしています。どうやって海外に広がっているのか、その詳細を追っていきましょう。
◆Netflixにて全世界同時配信開始!
2019年公開の『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』でも独占配信を担ったNetflixが、今回の『劇場版ポケットモンスターココ』でも、世界配信を実施することを発表しました。
ストリーミングの開始は2021年10月8日。英題は『Pokemon the Movie:Secrets of the Jungle』です。海外版のトレーラーも早々に発表され、10月の注目タイトルの一つとして大々的に世界デビューを果たします。
『劇場版ポケットモンスターココ』といえば、岡崎体育さんが劇中の音楽と主題歌をプロデュースしたことでも話題となり、木村カエラさんやウルフルズのトータス松本さん、フィリピン出身のシンガーソングライターであるBeverlyさんなど多くのアーティストが参加しました。しかし、このトレーラーでは、日本公開時には起用されていなかった楽曲が登場しています。
トレーラーで使われている曲を歌うのは、シンガーソングライターのCyn(シン)さん。ポケモンの25周年を記念してリリースされるコンピレーションアルバム『Pokemon 25 : The Album』にも参加している方です。
そんなCynさんが映画のために新たに『Always Safe』と『No Matter What』という音楽を作り、今回の映画に起用されているようです。ある意味、今回配信される映像は海外展開バージョンになっているということで、すでに日本で映画を観ているという人もぜひ観てみたくなるところが。しかし残念ながら、このNetflix配信の対象国からは日本は外されていて、少なくとも今回は観ることができません。どうにか日本でも、こちらのバージョンが観られる機会を設けて欲しいですね。
◆中国では劇場公開!久しぶりのポケモン映画上映
日本と同じく配信が行われない国があります。それが中国。
そもそもNetflixは中国での展開を行っていない状態なので、対象外となっているのは当たり前なのですが、そんな中国でも、『劇場版ポケットモンスターココ』を観ることができる機会が発表されました。なんと9月10日より劇場公開を実施するのです。
中国でのタイトルは『宝可梦:皮卡丘和可可的冒险』。日本語に直訳すると『ポケモン:ピカチュウとココの冒険』ということで、ピカチュウのパートナーであるサトシと、ココの父親であるザルードが置いてけぼりなタイトルに「えっ」と思ってしまいますが、やはり圧倒的な知名度を誇るピカチュウの名前がタイトルにあるだけで、影響も違うのかもしれません。
中国でのポケモン映画の公開は、『ポケモン・ザ・ムービーXY&Zボルケニオンと機巧のマギアナ』と『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』などの前例はあるのですが、あまり高い成績を残せていませんでした。唯一の例外が2019年に中国でも劇場公開を果たした『名探偵ピカチュウ』で、興行収入は6億元以上という特大のヒット記録を残しています。
『名探偵コナン』や『ドラえもん』といった作品に比べると、ポケモンブランドは映画をなかなかコンスタントに中国上映できていないのですが、今回の『劇場版ポケットモンスターココ』がその突破口となる作品となってくれたら、映画のファンとしては嬉しい所です。
◆日本では7月にディスクリリース済み!特装限定版に注目!
こうして海外での盛り上がりを見ていると、日本での展開がないのはちょっと寂しく思うのですが、むしろ日本は世界に先駆けて一足先に楽しむことができた側なのですよね。逆に今は我慢のターンが回ってきたと考えた方がいいのかもしれません。
そんな日本でも2021年7月に『劇場版ポケットモンスターココ』のディスクリリースがすでに実施されています。DVD、Blu-ray共に発売を果たしているのですが、注目して欲しいのが、Blu-rayの特装限定版。多くの限定特典が付いてくる特装限定版自体は、これまでの劇場版シリーズでも発売を果たしているのですが、今年の初の試みとして、B6サイズに縮小したシナリオ台本が特典として付いてくるのが注目ポイント。こういったマニアックなアイテムを満喫できることが、日本人の特権と言っていいのかもしれません。
――世界という新たな舞台に挑んでいく『劇場版ポケットモンスターココ』。日本興行こそ苦戦を強いられることとなってしまいましたが、今回の世界展開で次なるムーブメントを起こすことに期待です。ザルード父ちゃんが、世界に爪痕を残せるよう、応援してますよ!
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi
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