君は、アードマンを知っているか!?
と言っても、知る人ぞ知るというプロダクション名で、日本ではパッと答えられる人も決して多くはないでしょう。アードマンはイギリスのストップモーションアニメーション製作会社です。会社の名前は知らずとも、アードマンが製作したアニメーション作品は、日本人でも多くの人が知っており、『ひつじのショーン』シリーズは特に有名な作品です。
最近では、2021年12月にNetflix向けに『ことりのロビン』という短編作品を発表し、現在進行形で新たな企画に取り組んでいる真っ最中です。
そんなアードマンスタジオが2022年1月17日に会社のロゴをリニューアル。スタジオの仕事や文化、価値観などを踏まえてリブランドを行い、新年をスタートしていくようです。
⭐ We're excited to reveal Aardman's brand-new visual identity! ⭐
The rebrand includes an updated logo and website, showcasing the studio's work, culture, values and people.
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— Aardman (@aardman) January 17, 2022
そんなアードマンスタジオはさらに新たな映像作品の製作に取りかかっていることも発表しました。そしてそのニュースがまた、日本人にとっても「ホントに!」と乗り出したくなるような馴染みのある企画となっていました。2022年以降のアードマンがどんな取り組みを予定しているのか、紹介します。
◆『ウォレスとグルミット』が10年以上ぶりに新作製作へ!
アードマン作品でも、長きにわたって会社の顔として活躍してきたキャラクターが『ウォレスとグルミット』です。発明家である坊主の男性ウォレスと、無口ではありながらウォレスの相棒として活躍してきたグルミットのコンビが活躍するストップモーションアニメーションシリーズです。日本でも、デビュー作のエピソード『チーズ・ホリデー』(1989)やアカデミー賞の短編アニメーション部門で最優秀賞を受賞した『ペンギンに気をつけろ!』(1993)などはTV放送などもされ、初の長編『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(2005)は劇場公開も果たされました。そんな『ウォレスとグルミット』シリーズは2008年に『ベーカリー街の悪夢』という作品を最後に映像作品が作られなくなったのですが、そんな『ウォレスとグルミット』シリーズの新作が製作されることが発表されました。
Exciting news! Wallace & Gromit will return for a new film in 2024, directed by creator Nick Park and Merlin Crossingham.
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— Aardman (@aardman) January 20, 2022
監督には、これまでのシリーズに携わってきたニック・パーク氏と、マーリン・クロッシンガム氏が起用され、2024年に新たな作品を公開する予定だそうです。
そもそも『ウォレスとグルミット』シリーズの新作が長らく製作されなかったのには理由があります。主人公のウォレス役を務めていた、俳優のピーター・サリス氏が長らく療養に入っていたため、アードマン側としてはピーターの帰還を待っている状態でした。しかし、2017年に残念ながらピーター氏はこの世を去ってしまいました。それから約5年、ついに『ウォレスとグルミット』の新たな物語の製作に取りかかるということで、ウォレスのキャストについてもどうしていくのか、今後の発表が気になるポイントとなっています。
◆『チキンラン2』のキャストが発表!日本はどうする?
そしてもう一つ、新たに続報が発表されたのが『チキンラン』の続編『ザ・チキンラン:ダウン・オブ・ザ・ナゲット(原題)』です。
The CHICKEN RUN sequel is coming, and it's called... CHICKEN RUN: DAWN OF THE NUGGET. Hatching only on Netflix in 2023. pic.twitter.com/cSFCYM966Q
— Netflix UK & Ireland (@NetflixUK) January 20, 2022
『チキンラン』といえば2000年のまだアードマンがドリームワークスの傘下で作品を作っていた時代に生まれた長編映画。それから20年以上の時を経て、ついに2023年にNetflix向けに続編が配信されることが発表されています。
2022年に入り、アードマンはこの『チキンラン』の続編に関して、前述の正式なタイトルを発表したことに加えて、新たに吹き替えキャストを発表しています。前作のメル・ギブソン氏やジュリア・サワラ氏に代わって、今作では新たに『シャザム!』のザッカリー・リーヴァイ氏と『クラッシュ』のタンディ・ニュートン氏が、主人公のロッキーとジンジャーを演じます。新たな子どもの鶏が登場したり、平和な島での暮らしを迎えた鶏たちに新たな危機が訪れるストーリーとなるようです。
日本展開をもしするのであれば、日本人としては気になるのは日本語吹替版で誰が声を担当するのか。シリーズ第1作では岸谷五朗さんと優香さんが主人公たちの声を務めていましたが、せめて日本では前作と同じキャストで制作してくれたら嬉しいのですが、どうでしょうか。
◆日本人が気になる作品がもう一本?
『ウォレスとグルミット』と『チキンラン』というビッグタイトル2本が控えているということで、今後のアードマンがとても楽しみなわけですが、日本人としてはもう1本行方が気になる作品があることを忘れてはいけません。
それが海外向けにはすでに2021年の年末にNetflixで配信をスタートした、『ひつじのショーン』のクリスマス長編『ひつじのショーン〜クリスマスの冒険〜(原題:Shaun the Sheep : The Flight Before Christmas)』です。
日本ではロゴや配信ページなどは用意されていながらも2022年1月現在、作品は未配信状態となっています。果たして、我々日本人が置いてけぼりにされている『ひつじのショーン』の新作を観ることができる日は来るのか?2022年のアードマン作品の動向で、忘れないでおきたいポイントです。むしろアードマンやNetflixに、日本向けに配信することを忘れていたなんてオチがないことを祈ります。
〈文/ネジムラ89〉
《ネジムラ89》
アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi