世界でも稀有な、“空港で行われる映画祭”……今年で第8回を迎える新千歳空港国際アニメーション映画祭が今年も11月5日(金)〜11月8日(月)にかけて開催され、国内の話題作から日本初披露となる長編や短編のアニメーションの数々が上映を果たしました。

 私もわずか、2日間ほどでの参加でしたが現地に足を運び濃密な時間を過ごすことができました。

 今年のプログラムが一体どんなものだったのかをお伝えしたいところですが、実は現地での開催こそ終わってしまいましたが、昨年に引き続き、オンライン上でもいくつかのプログラムや短編作品は視聴できるようになっており、オンライン限定でのプログラムも多数設けられています。

 オンライン開催は現地での上映が終わってからがむしろ本番。ある意味後半戦がまだ始まったばかりだったので、今からでも間に合う今年の注目ポイントをピックアップしていきます。

◆現地上映に限られた長編映画!この作品に注目!

 オンライン開催が実施されながらもわざわざ現地に足を運んだ大きな理由が、なんといっても長編アニメーション映画の上映は現地でしか行われないから。近年上映を果たしたばかりの『映画大好きポンポさん』『音楽』、往年の名作であるヤン・シュヴァンクマイエル監督の『オテサーネク』『アニメーションの神様、その美しき世界』シリーズのセレクション上映などが現地限定で上映されました。

 そして、中でも注目が長編コンペティション。新千歳空港国際アニメーション映画祭の長編コンペティションでは、世界の映画祭で受賞していながら日本未上映の作品の上映や、のちに日本でも上映されることになる映画が結果として先行上映となるなど、貴重な場となっています。今年も4作品がノミネートされ、その中から見事グランプリを受賞したのが、フランス・イタリア合作の『シチリアを征服したクマ王国の物語』でした。

 クマの王の息子が行方不明になったことをきっかけに、クマたちが山から人間たちの住処へ降りてきて、それぞれの営みが変化していく物語が描かれます。

 監督のロレンツォ・マトッティ氏は漫画家であり、イラストレーターということもあってか、各場面の背景や群衆の動きが逐一“デザイン”されていて、映像はさながら動く絵画。上品な印象を受けつつも、子供から大人までが楽しめるエンターテイメント作品になっていました。残念ながらオンライン上映のプログラムには入っていないのですが2022年1月より全国でも順次上映がスタートすることも決定しており、来年早々、要注目の作品が皆さんのお近くの劇場にもやってくるかもしれません。

◆『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のトークイベントを開催!

 ライブ配信形式の企画では、クリエイターの方々に登壇していただき、数々の話題作をどういった意図で制作したのかが語られるトークイベント形式でのライブ配信プログラムも複数用意されていました。

 中でも注目は“『シン・エヴァンゲリオン劇場版』におけるデジタル表現のニューフェイズ”。スタジオカラーのデジタル部で『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作に関わった、小林浩康さん、松井祐亮さん、山田豊徳さんらが登壇し、実際の制作物を披露しながらどう映像を作っていったのかを解説してくれるプログラムとなっています。

<画像引用元:https://www.evangelion.co.jp/news/shineva-4/ より引用掲載 ©カラー ©カラー/Project Eva. ©カラー/EVA製作委員会>

 プログラム開始早々から、司会の高瀬康司さんが時間のことは気にしないでと推している通り、持ってきていただいた素材をふんだんに披露してくれる充実したプログラムとなっており、本来の予定時間をオーバーしてまで登壇してくださった方々がお持ちした素材を披露し尽くしてくれています。

 映像の制作に携わってきたといっても、動きなどを担うモーションデザイン、プリヴィズ(コンピューター上で完成時のイメージを構築していく作業)の制作、各種素材をまとめる特技など、登壇者それぞれのセクションも異なるため、披露した素材に登壇者間でも驚く一幕もあり、制作チームのスケールの大きさも感じられます。

 これらのプログラムは有料のオンライン配信となっており、11月13日(土)21:00まで視聴権を購入することができます。映画を観た人であれば、“あの”シーンがこうやって生まれたのかという体験ができる必見のプログラムとなっています。

▼第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭 LIVE STREAM 配信プログラムページ

https://airport-anifes.jp/live/

◆短編アニメーションの渦に飲み込まれる!オンライン上映会場

 さらに11月9日からはオンライン上映会場がオープンし、現地で上映された短編アニメーションのプログラムの多くを鑑賞ができるほか、マスタークラスにてアニメーション作家の方々のトークプログラムなども合わせて視聴できてしまう充実したプログラムが11月19日(金)まで配信されています。

 今年の短編部門のグランプリを受賞したのはベルギー出身のニコラス・ケッペンズ監督による『Eater Eggs』。ジェイソンとケヴィンの少年二人が、自殺したとされる飼い主が飼っていた鳥たちを捕まえて売ろうとするちょっとシュールな人間ドラマです。

 さらにオタワ国際アニメーション映画祭やレインダンス映画祭など海外の映画賞でもグランプリ受賞を果たし、世界的にも高い評価を獲得している矢野ほなみ監督による『骨嚙み』も出品されており、今回のオンライン上映会場で観ることができます。こちらは新千歳空港国際アニメーション映画祭でも審査員特別賞を受賞しています。

 その他、100作品以上のアニメーション作品が期間中見放題となっており、全てを視聴するのも難しいのではないかとぐらい、こちらも濃密なプログラムとなっています。ミュージックビデオやGIF動画などそのアニメーションのジャンルの幅広さもこの映画祭の特徴の一つとなっています。アニメーションの世界の奥深さを体験するのにも最適な機会となっているのではないでしょうか。

▼第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭 オンライン会場紹介ページ

https://airport-anifes.jp/online/

 

 ――アニメーション映画祭自体は、海外を含めると数多く存在するのですが、日本でとなると非常に珍しく、実はしっかり日本語字幕付きで楽しめるアニメーション映画祭という意味でも特に貴重な機会でもあります。そんな映画祭をせっかく自宅で体験できるのはかなりラッキー。アニメーション映画祭に参加したことがないという人の方が多いと思いますが、ぜひこのチャンスを逃さないでください!

〈取材・文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは『読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレター』(https://note.com/nejimura89/m/mcae3f6e654bd)を配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

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