◆冴羽獠が「カンフー」で敵をなぎ倒す──『シティーハンター』
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『シティーハンター』は、今年、実写がNetflixで公開予定となっていますが、1993年にもジャッキー・チェン主演で実写映画が製作されています。
この1993年版は、人気アクション俳優のジャッキー・チェンが冴羽獠を演じたものの、「シティーハンターではなかった」と賛否両論が分かれています。その原因は「ジャッキー・チェンという役者のイメージが強すぎたから」といえるかもしれません。
原作の漫画では銃で敵を倒す冴羽獠ですが、ジャッキー・チェンが演じる獠はカンフーで敵をなぎ倒します。
ジャッキー・チェンが出演する映画といえば、身体をはったカンフーアクションが見どころの一つですが、原作の獠は銃を武器として戦うキャラクターです。そのため、銃アクションがほとんどなかったことで、違和感を覚えた人も多かったといいます。
また、当時人気だったアクションゲーム『ストリートファイター』のオマージュシーンも話題となりました。
このシーンでは、「ジャッキー・チェンの春麗コスプレがかわいい」という声や、「『シティーハンター』じゃなくなっているけど、これはこれで面白い」という意見もあります。
『シティーハンター』は、この作品のほかに、2019年にフランスで作られた『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』という実写映画もあり、こちらの作品は「原作をリスペクトしている」と高評です。
◆人間姿のクッパに8頭身のクリボー──『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』
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人間のような姿をしたクッパに8頭身のクリボー、リアルな恐竜のヨッシーなど、見た人を困惑させた『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』。
『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』は、6500万年前に巨大隕石が地球に落ちたときの衝撃で、人間が住む地上世界と恐竜が住む地下世界の二つの次元に分かれた世界が舞台となっています。
地下世界の支配者として君臨するクッパが地上世界の侵略をたくらむ……という、原作とは一風変わったストーリーであるため、原作のようなファンタジーでポップな世界観を期待していた人は肩を落としたようです。
また、パワーアップアイテムのキノコが、映画ではリアルな菌糸になっていたり、クリボーが8頭身の人間のような姿になっていたりと、リアルさが追求されていることに抵抗がある人もいたようです。
しかし、作中には『マリオカート』を思わせるカーチェイスシーンが登場したり、マリオが原作設定通りに配管工をしていたりと、原作ファンに嬉しいシーンも盛り込まれており、「ゲームの雰囲気とは違うけど、これはこれで面白い」と印象に残ったという感想も見られています。
また、去年の4月に『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が公開された際、この実写映画にもスポットがあたり、アメリカのAmazonの映画&テレビの売れ筋ランキングで1位を獲得しています。
さらに去年の9月には、公開から30周年を記念して「4Kレストア版」が、いくつかの劇場でリバイバル上映されました。
──賛否両論の多い、アニメや漫画の実写化ですが、原作に思い入れがあるからこそ、実写映画のできに不満を持ってしまうのでしょう。
確かに原作と世界観が違かったり、人気キャラクターが登場しなかったりした場合は、ガッカリしてしまいますが、そんなときは「原作とは別物の作品」として割り切って観るのがいいのかもしれません。
原作と別の作品と思えば、意外と面白く実写映画が楽しめるかもしれません。
〈文/伊藤悠 編集/乙矢礼司〉