◆弱点は「古傷」と「牛乳」──『キン肉マン』
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『キン肉マン』で死に設定といわれることが多いのは、主人公・キン肉マンの「左脇腹の古傷」と「牛乳が弱点」の2つです。
キン肉マンは、3歳のときに三輪車で遊んでいたとき、竹やぶに転落してケガを負っています。そのケガが左脇腹だったため、左脇腹を軽く蹴られただけでも悶えてしまいます。
ウォーズマンとの戦いでは、コンピューター能力でその弱点を見破られ、左脇腹の古傷に攻撃を受けて床を転げ回るキン肉マンの姿が描かれました。
この戦いによって知れ渡ってしまったキン肉マンの弱点。その後、対戦相手たちが弱点を集中攻撃してくるのか……と思いきや、その後のストーリーで左脇腹を意図してねらってくる敵はほとんどいませんでした。
また、「牛乳が弱点」という設定も作中であまり使われなかったキン肉マンの弱点です。
ニンニクを食べてパワーアップするキン肉マンは、ニンニクのにおい消し効果がある牛乳を頭からかけられただけで弱ってしまいます。
効率的にキン肉マンを倒すのであれば率先して使いたい戦法ですが、こちらの牛乳戦法も、その後使用されることはありませんでした。
◆サクラが幻術に向いている──『ナルト』
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サクラは『NARUTO -ナルト-』の少年編で、担当上忍になったカカシから「お前にはやはり幻術の才能がある」と告げられています。
物語が始まってから2年半が経った青年編のストーリーでも、カカシに「サクラは本来幻術タイプだからな……」と言われており、いつか幻術系の大技を習得する伏線だと思われる発言を繰り返していました。
しかし、その伏線は回収されることなく漫画は完結。その結果、読者からは「内なるサクラが幻術だったのでは?」「幻術より物理で殴ったほうが早いからね」といったコメントがX(旧Twitter)などのSNSに寄せられました。
最後まで幻術系の技を習得することがなかったサクラですが、擁護派からは「チャクラコントロールが上手いという点では医療忍術で活かされている」「サスケの写輪眼に幻術要素持っていかれたから仕方ない」という声があがっています。
本編では幻術要素を見せることがなかったサクラですが、その設定を活かすためか、劇場版の『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』で、ナルトにかけられた幻術を解いているシーンが一瞬だけ登場しました。
サクラという名前や、ピンク髪といった画面映えするキャラクターデザインであることを考えると、もし「幻術向き」という設定がお蔵入りになっていなければ、桜吹雪などの可憐な幻術技を使うキャラクターとして活躍していたのかもしれません。
──漫画やアニメ作品には、初期設定がなかったことにされている作品がいくつもあり、設定が変化したことで違和感を覚える場合もありますが、中には「物語を面白くするには仕方なかった……」と、受け入れる人も少なくないようです。
ときには『ドラゴンボール』の天津飯のように、初期設定を持ち出さなかったからこそ「気合い返しの設定はどうした?」とシュールな笑いを読者に届けることもあります。
もし、漫画やアニメを見ているときに矛盾点を見つけたら「知っている? 実は……」と雑談に交えてみると、話のタネになるかもしれません。
〈文/伊藤悠〉