「三日月の舞」徹底考察
※悲しいことに、ブルーレイ特典で付いていた「三日月の舞」の楽譜を引っ越しの際に亡くしてしまいました……。ということで、主に楽譜は覚えている限りの内容となります。ご了承ください。ほんとどこいったんだ(泣)。
ちなみにヤマハミュージックメディアからは、各パートごとの譜面とフルスコアが販売されています。パート譜面は108円とお買い得なので、気になる人は見てみてくださいね。⇒ https://www.print-gakufu.com/score/detail/136344/
では、早速「三日月の舞」の演奏がどのくらいの難易度なのかを考察していきましょう!皆さんも実際の演奏を聞きながら(もしくは楽譜を眺めながら)読んでいただけると嬉しいです。
※文中にある演奏時間は「TVアニメ『響け!ユーフォニアム』オリジナルサウンドトラック 「おもいでミュージック」の「三日月の舞(麗奈ソロVer.)」を基準にしています。
香織版では麗奈版と比べてソロが約5秒短く、第2期の関西突破版では中盤に重きを置いてるため、前半のテンポが早く中盤を長くしているのでお気をつけを。
◆序盤〜トランペットソロ前まで(0:00〜3:01)
まずは序盤からトランペットソロ前まで。
いきなりトランペットのファンファーレです。ハイB♭までは行かないものの、2音下のG(ドレミでいう「ソ」)までが出てきます。
そして意外と難しいのが、全体を通して4/4拍子にもかかわらずファンファーレの終わりと小節の頭が一致せず、また曲調が変わる少し前(1:09〜)から3/4拍子に変わるという変則的な動きを強いられます。
木管はとにかく忙しい、の一言でしょうか。
ファンファーレに続く音階刻みが至るところに散りばめられています。そんなもんで(短いとはいえ)メロディーも入っているわけなので、体力と技術が求められます。クラリネットとか死ぬんじゃないですかねこれ。
中音域のホルン、サックスも結構目立ちます。ファンファーレ部分では対旋律で吠え、木管メロディのフレーズ(1:25〜)ではユニゾン(あってますかね?)で綺麗な音色を出しています。
まぁ正直、吹奏楽の中音域は対旋律が(個人的には)とても美味しいので、吹いていて楽しい! と思う人が多いかもしれないですね。
またこれはどちらかというと曲全体を通してなのですが、低音域(ユーフォニアム、バリトン、チューバ、トロンボーン)もかなりの仕事を任されています。
意外にも部分的にメロディ(0:42〜、1:04〜、2:48〜)が多く、実際楽譜に書いてあるかは覚えていないのですが、大体にアクセントを付けないといけない箇所が多いイメージです。
激しく、リズミカルではあるが4/4拍子にとらわれない動きなので、リズムを保つのも難しいかと思います。
◆中盤 トランペットソロ〜ユーフォニアムソロまで(3:02〜4:51)
序盤とは打って変わって、かなりゆったりとした綺麗なフレーズに変わります。なんともアルフレッド・リード氏の曲のような感覚ですね。
トランペットのソロの難しさは言わずもがな。ハイB♭を出すのも至難の業だというのに、そこからいきなり1オクターブ下の音を出さなければいけません。高音のFやGのキープもなかなか綺麗に聞かせるにはそれ相応の技術が求められます。
当然ここはこの曲一番の聞かせどころなためか、トランペットソロだけで曲全体の1/7も割いています。ソロのを演奏するというだけでも相当なプレッシャーでしょうね……。
参考……香織ソロは約53秒、麗奈ソロは約58秒、関西突破版の麗奈ソロでは約61秒です。そして第一期のソロオーディションで麗奈が吹いた時は驚異の66秒!
あまり作中では触れられていませんでしたが、ソロに対するファゴットのメロディーも美しいですよね。
裏のハーモニー隊以外は休憩ポイントになるでしょう。とはいえ、ソロのあとには一気に盛り上がるところがあるので油断は禁物です。
実は2小節弱と短いオーボエやユーフォニアムのソロ(4:18〜)ですが、短い要素である分かなり目立つところです。またどちらも比較的高い音が出ていますので、ゆっくりな曲でいかに綺麗な音を出せるかがポイントとなるでしょう。
◆終盤 久美子も苦労したあのフレーズが登場(4:52〜6:50)
スネアのリズム刻みから始まる終盤。ここでは低音域による16分刻みのメロディがやってきます。ここは久美子も個人練の時に必死に練習していましたよね。
メロディは違うものの、序盤と似たような構成(木管は音階刻み、低音は複雑なリズムアクセント、中音域は対旋律)になっており、また途中で2/4拍子→3/4拍子(6:18〜)と変則的に変わる部分もあるので、譜面を追っかけるのも難しいように感じられます。
地味にスネアを始めとしたパーカッションのリズム刻みがどこかしらのパートと一緒になっていることが多く、ほとんどがアクセントか16分のどちらかになるので、曲の流れをはっきりとさせる意味も含めて、ここは特に重要な要素なのかなと思います。
最後の金管から始まる音階下りの部分(6:34〜)、かっこいいフレーズに間違いはないのですが、音が揃っていないとふわっと聞こえてしまうところでもあるので、合わせるだけでも相当練習が必要な気がします。
終盤はあまり高い音を出すところは多くない(どちらかというと中音域に集中している? )のですが、そのかわりに序盤と比べてゆったりなフレーズが無く「最後まで全力で突っ走るぞ!」と言わんばかりの忙しさです。
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結論……グレードはずばり「5」でしょう!
激しい→ゆったり→激しいという構成の楽曲は吹奏楽では基本と言えるくらいに多いのですが、この曲はそのギャップがとにかく大きいです。その分、各フレーズごとに求められる力強さと美しさを強く印象付けられます。
そして全体を通して、またどの楽器にも共通して「16分音符の動き」がかなり多いように思えます。木管やトランペットだけならまぁわかるのですが、これは低音域にも容赦なく刻ませる曲なので、もはやそれだけでも難しいと言って間違いないでしょう。
ということで、私はこの曲のグレードは「5」であると結論付けます!
ぶっちゃけ私が今まで演奏したことのあるグレード5の曲(「たなばた」とか「エル・カミーノ・レアル」とかくらいですが)と比較しても、難易度は高い方であると思います。
これを(フィクションであるとはいえ)高校生が吹いてるわけですからね……。
相当な練習を積まない限り、吹くのは難しいですね。
この楽曲を作られた松田氏、そしてそれを演奏された洗足学園音楽大学の皆様に敬意を表します!
(Edit&Text/頭皮ぱっしょん)
『劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』公式サイト
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
『劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』公式サイト
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』公式サイト
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会