新型コロナウイルスの猛威は、ついにアニメ映画ファンの心までこうも蝕んできてしまうのか……。

 2020年3月6日公開予定だった『ドラえもんのび太の新恐竜』、そして3月13日公開予定の『2分の1の魔法』が次々と公開延期を発表してしまいました。それだけでも、かなりのショックだったのですが、決定的なダメージを私に与えるニュースが飛び込んできてしまいました。

 東京アニメアワードフェスティバル2020の中止です。

東京アニメアワードフェスティバル2020 中止<画像引用元:https://animefestival.jp/ja/ より引用掲載 ©TAAFEC. All Rights Reserved.>

東京アニメアワードフェスティバルとは?

 東京アニメアワードフェスティバルとは、2014年よりスタートした東京で開催されるアニメの大型イベントです。

 東京国際アニメフェアから分離された東京アニメアワードを決めるコンペティションの他、日本では未公開の状態となっている海外の優れたアニメーション作品や、国内でも話題となっている作品や、往年の名作とされる作品の企画上映などを行なっています。毎年3月に4日間にかけて開催されており、ここ数年は東京・池袋周辺の映画館や施設を会場としていました。

 滅多に観られない作品が観られるということで、今年も楽しみにしていたのですが、新型コロナウイルスの拡大収束のためにも、東京アニメアワードフェスティバル2020は、全プログラムの開催を中止することを発表。しょうがないこととはいえ、非常に無念です。

 幻となってしまった東京アニメアワードフェスティバル2020が、一体どんな企画が予定されていたのかを今回は紹介します。

オープニング上映はあの『AKIRA』だった!

 東京アニメアワードフェスティバル2020の目玉はなんと言ってもオープニング上映。往年の名作『AKIRA』が4Kリマスター版となって日本初上映を予定していました。

『AKIRA』4Kリマスター 画像<画像引用元:https://v-storage.bnarts.jp/sp-site/akira/ より引用掲載 ©1988マッシュルーム/アキラ製作委員会>

 しかも、この上映には当時原画を務めていたアニメーターの井上俊之さん、そして演出も務めた沖浦啓之さんが登壇され、トークショーも行われる予定となっていました。2020年は丁度『AKIRA』の舞台にもなった年。上映するのには、まさに絶好のタイミングだったのですが、残念なことに実現はしませんでした。

コンペティションではレアな作品が多数登場!

 そして、個人的にも特に楽しみにしていたのがコンペティション作品の上映です。長編・短編共に、世界からたくさんの作品が集まり、それらを映画館の大スクリーンで楽しめるというのが、東京アニメアワードの醍醐味といっても過言ではありません。中でも長編コンペディションでは、『ロング・ウェイ・ノース地球のてっぺん』『幸福路のチー』といった近年日本でも上映を果たした傑作がいち早く日本上映を果たしたり、『MUNE』『アナザー・デイ・オブ・ライフ』など未だ日本未公開状態のままの作品が上映されるなど、必見のプログラムとなっていました。

 そして、東京アニメアワードフェスティバル2020の長編プログラム。選出された作品は全部で4作品。

 ロシアの人気映画シリーズ『雪の女王』の最新作『雪の女王:鏡の国』、ベルリンの壁崩壊をそこに住む少女の視点で描いた作品『フリッツィ』、タリバン政権下のアフガニスタンに暮らす人を描いた『カブールのツバメ』、そして車にひかれてしまう犬が一生を思い返すという切ないストーリーの『マロナの幻想的な物語り』の4つでした。いずれも日本での上映が最後になってもおかしくない作品なので、この貴重な上映チャンスがなくなってしまったのは非常に惜しいです。

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ノイタミナ15周年記念プログラムも無念の中止

 その他、今年は2005年よりスタートしたフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」の15周年のタイミングということで、ノイタミナ15周年記念プログラムが予定されていました。初年度に放送された『ハチミツとクローバー』『Paradise Kiss』『怪〜ayakashi〜』といった作品から1エピソードを上映したり、ノイタミナの立ち上げに尽力したプロデューサーの松崎容子さんに登壇いただき、話を聞くトークイベントが予定されていたのです。

 また「“ノイタミナ”15周年記念プログラム ~あなたが選ぶ思い出の3作品~」と題して、オンラインでのノイタミナ作品の投票イベントが事前に行われており、2005〜2009年度部門では『モノノ怪』、2010〜2014年度部門では『PSHYCO-PASSサイコパス』、2015年〜2019年度部門では『BANANA FISH』が1位に選ばれました。本来はこれらの作品もエピソードの上映が予定されていたのですが、プログラムの中止により残念ながら結果発表のみとなってしまいました。

 

――その他、虚淵玄さん原案の長編アニメーション映画『OBSOLETE』の5.1ch上映や、アニメ制作会社が主導し新たに立ち上げるアニメプロダクションPR&リクルート&ファン感謝イベント「アニスタ」など、複数のプログラムが予定されていたのですが、それも全て中止となってしまいました。

 あぁ憎し、新型コロナウイルス。我々にできることも限られてはいますが、情報の取捨選択をしてしっかり周りの人たちと協力していき、1日でも早く事態の収束を目指していきましょう。そして、せっかくだし、どうにかこれらのプログラムを今度こそ再演してくれたりしたら……嬉しいんだけどなぁ。

(Edit&Text/ネジムラ89)


東京アニメアワードフェスティバル2020

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