宇宙をテーマにしたアニメには数多くの名作がありますよね。『宇宙戦艦ヤマト』『ガンダム』『トップをねらえ!』『YAT安心!宇宙旅行』『プラネテス』『宇宙兄弟』などなど。宇宙という大きな舞台で繰り広げられるストーリーはとてもロマンに溢れていて、しかも現実に起こりえるんじゃないかとリアルティもあって見応えがある。それは、人間同士や謎の敵との争い、お仕事の話など、親しみやすいテーマが盛り込まれているからだと思います。
現在放送中の『彼方のアストラ』も「遭難」「サバイバル」という分かりやすいテーマを盛り込んだ、オススメの宇宙アニメです。
慌て者ほどうろたえる!
宇宙旅行が身近となった世界。ケアード高校に通うアリエス・スプリング(美少女ヒロイン)は、カナタ・ホシジマ(主人公)と他7名の少年少女達と、惑星キャンプへと出発します。ですが、目的地の惑星であるマクバに着いてすぐに、謎の球体に全員が呑み込まれ、いきなり宇宙空間に放り出されます。偶然近くにあった漂流船に、全員何とか無事に乗り込み命が助かるものの、大きな絶望が待っています。彼らのいる漂流船は、惑星マクバから遠く離れた場所、5千光年先にあったのです。
1光年は約9.5兆キロメートル。5千光年という途方もない距離は、遭難以外なにものでもありません。漂流船をめいいっぱい飛ばして帰還しようにも、3ヶ月はかかる。全員がキャンプ用に持ってきた水と食料を合わせても3日分しかない。助かる道は無い、そんな状況に、仲間内で争いが起こりそうになります。ですがここで、カナタ・ホシジマが止めに入ることで、絶望的な流れが変わり出すんです。
カナタ・ホシジマはケンカを止めに入った後、全員に高らかに宣言します。
「慌て者ほどうろたえる!」
と。
そうか!いっぺんには無理でも、繋いでいけば、とどくかも知れない!
険悪な空気に変な和みが生まれます。何言ってんのこいつ、当たり前の事言ってるだけじゃないですか、と呆れる者、戸惑う者がいるなか、カナタ・ホシジマは、中学生の頃に生徒だけで山で遭難した事を明かします。
「全員で励まし合ったんだ。1人だったら多分死んでた。バラバラになっちゃ絶対だめだ。暗闇なら手を繋ぐしかねえ」
その言葉に、アリエス・スプリングがカナタ・ホシジマの手を握ります。
そこから、また一人、また一人と、皆の手と手が繋がっていく。全員が手を取り合った時、温かな優しい空気に溢れます。でも絶望的な状況は続いています。とここで、カナタ・ホシジマがある事を閃きます。
「そうか! いっぺんには無理でも、繋いでいけば、とどくかも知れない!」
今いる5千光年という場所。まずここから3日で行けて、水と食料を確保できる惑星を見つける。そこで水と食料をめいいっぱい、20日分補給する。そこから20日で行けて、水と食料を確保できる惑星を見つける。これを繰り返していけば、帰れるのではないかと。
それは、惑星を5つ経由すれば実現できる。たった一つだけ、帰れるルートが導き出され、一気に胸熱な展開になっていきます。命は助からない、身動きが取れない絶望的な状況から、帰還するため、生き残るためへと物語が動きだしていきます。
これから9人の少年少女達がどんな困難に立ち向かい、一人一人手を取り合い助け合っていくのか。そして無事に帰還する事ができるのか。5千光年先の宇宙で繰り広げられる「遭難」「サバイバル」に、目が離せません。まだ観てない方は、ぜひチェックしてみてくださいね。新たな宇宙アニメの名作として数えられる、と思いますので!
(Edit&Text/おみくじ)
◆CHECK!!
© 篠原健太/集英社・彼方のアストラ製作委員会